親子で身に付ける、マネーリテラシーのすすめ
8月24日放送の『石塚元章 ニュースマン!!』(CBCラジオ)では、知恵と勇気で今世紀を生き抜く賢者たちを紹介する「21世紀の賢者たち」のコーナーにて、弁護士の菊池幸夫さんが登場しました。『ゴゴスマ~GO GO!Smile!~』(CBCテレビ)や『行列のできる相談所』(日本テレビ)などの人気番組のレギュラーとしても知られています。今回はそんな菊池先生から、こどもとお金のトラブルについての話を伺いました。ネット、ゲーム、SNS。こどもを取り巻く環境が複雑になる中で、私たち大人はこどもとお金とどのように向き合うべきなのでしょうか。
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菊池幸夫先生は中央大学法学部卒業、元司法研修所刑事弁護教官という経歴を持ち、現在番町法律事務所で弁護士を務めています。
その活動の傍ら、福祉やスポーツ活動にも精力的に取り組み、社会福祉法人練馬区社会福祉事業団理事や、公益財団法人日本バレーボール協会の監事、地元小学生バレーボールチームの監督としても活躍中です。
電子マネーやICカードの浸透、課金制ゲームの増加などによって、こどもたちの身近にも潜むようになったお金のトラブル。
菊池先生監修による新著『マンガでわかる! 小学生から知っておきたいお金のトラブル回避術』(主婦と生活社刊)では、豊富な経験と知識を有する先生ならではの切り口で、お金のトラブルへの対処法やそれらを未然に防ぐ方法などが、漫画やイラストを交えてわかりやすく解説されています。
現代のこどもたちが遭遇しやすいトラブルや抱えやすい問題を事例をもとに紹介しつつ、こどもたちの相談に菊池先生が答える形で解説されているため、大人にはもちろん、タイトルにある通り小学生にも読みやすく、お金のことについて考えるきっかけになりそうです。
こども自身にもマネーリテラシーを
菊池「今までの日本って、お金の話を大人がこどもにしなかったじゃないですか」
今回、本を監修するに至った経緯を話し始める菊池先生。
自分のお小遣いや、買い物などで回る世の中のお金の仕組みなど、こどもにとっても身近な存在であるはずのお金ですが、これまでお金の話をすることはどことなく「いやらしい」「下品」「金の亡者」であるかのような雰囲気があり、話すことがはばかられるような空気がありました。
しかし「これからはそれでは駄目」と菊池先生。
上述したお金に関するトラブルの増加・複雑化、また政府によって投資が推奨される現代では、もっと積極的にお金にコミットし、お金の知識をこどものうちから蓄えておく必要があると続けます。
すでに学校では金融に関するカリキュラムが組まれており、その重要性を我々大人ももっと認識することが大切。そんな時代の流れを汲み、親子でお金の話をするきっかけになればと、今回の著書を監修することになったそうです。
なぜトラブルが起こるのか?
コンビニなどの商店や商業施設がどこでも身近にあり、交通系ICカードやプリペイドカードを持つこども達が増えたこと、スマホ所持の低年齢化なども、こどもによるお金のトラブルが起こりやすくなった一因です。
著書の中で紹介されているエピソードは、現代のこどもたちならではの事象が多岐に渡っています。
ゲームの課金に多額を費やしてしまったとか、親からクレジットカードを借りて買い物をした際の困り事だとか、友達と買い物に行った際に支払いを立て替えたことによる諍い。
また手軽で便利なキャッシュレス決済にも気付きにくい落とし穴があり、些細なお金のトラブルから犯罪にも巻き込まれる可能性があると、その危険性を述べています。
また、お金に関する考え方は家庭によって大きく異なります。こどもがお金を使うことについての考え方や、500円に対する価値の感じ方も様々です。
安易な気持ちでこども同士でお金の貸し借りや立て替えなどをした結果、家庭に帰ってから保護者同士の間で問題に発展するということもあるようです。
リスクを抱えるこどもたち
お金にまつわるトラブルに見舞われやすい現代を生きるこどもたち。
しかし「安易にお金から身を引いてしまうことは一層危険」と警鐘を鳴らす菊池先生。
お金のことに関して親子で話し合いやすい環境を作っておくことが最も大切といいます。
こどもが判断に迷ったり困った時、こどもだけの考えで一歩踏み出す前に、保護者に相談できること。当たり前のように感じますが、意外と親子間でお金の話題がタブーになっている家庭は少なくありません。
普段から家庭の中でお金に関して風通しを良くしておくことが、トラブルを未然に防ぐのに効果的なのです。
こどもだけでなく、我々大人もいま一度お金に対する考え方やお金の扱い方を見直し、この社会で生きていく子ども達にどう伝えていくのか、よく検討する必要がありそうです。
(吉村)