「みんなでいっしょにおいしい笑顔」お菓子開発で取り組むSDGs
CBCラジオ『石塚元章 ニュースマン!!』のコーナー「your SDGs~地球の未来~」では、愛知文教女子短期大学の取り組みを紹介しています。8月17日の放送では、愛知文教女子短期大学生活文化専攻2年生の川杉茉奈さん、同じく中野日彩さんを招き、持続可能な未来のための活動について、石塚元章と渡辺美香アナウンサーが伺います。
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川杉さんと中野さんは、1年生の頃から産学連携のプロジェクトに取り組んでいます。
今年2月に開催されたSDGs実践コンテストでは、開発商品の焼き菓子「ぱりまる」や「ことちゃんおとうふアイス」の紹介により、サスティナブル賞を受賞しました。
2年生になって卒業研究として、引き続き産学連携プロジェクトを行なっているというふたりです。
商品開発の背景と歴史
2010年から14年間に渡って続いているこの取り組み、どのような理念で始まったのでしょうか?
川杉「地球にも人にも優しい、『みんないっしょのおいしい笑顔』を実現するために、大豆たっぷりの焼き菓子『ぱりまる』や、プラントベースの『ことちゃんのアイス』などの産学連携の商品を開発していくプロジェクトです」
これまで開発に携わってきた先輩たちの思いを脈々と受け継ぎ、後輩たちはその時代の課題や問題点に少しずつ合わせていく形で、プロジェクトを進めているようです。
「ぱりまる」は2010年、愛知文教女子短期大学と食品会社のおとうふ工房いしかわ(愛知県高浜市)、そして高浜市の連携プロジェクトとして商品化しました。大豆が主原料、小麦・卵・乳不使用のアレルギー対応お菓子として、授産所で製造が始まります。
障害のある方が地域で自立した生活を送るための授産所ですが、工賃が不足していること、また下請仕事が多く経済状況で仕事量が左右されることが問題でした。
そのため、景気に左右されない自社商品で工賃倍増を目指そうという背景もあったようです。
環境問題にも留意したお菓子開発
『ぱりまる』は大豆と米粉からできていて、小麦・卵・乳のアレルギーに対応しています。
川杉さん「アレルギーのある子もそうでない子も、みんなで同じものを食べられることが笑顔につながると思っています」
「みんないっしょのおいしい笑顔」をキャッチコピーに開発がすすめられた商品ですが、アレルギー対応で誰もが安心して食べられるという特徴の他にも、地球に優しいポイントが多くあるようです。
「ことちゃんアイス」はプラントベース、つまり原材料が植物由来のもの。これらは生産の過程で排出される温室効果ガスが少ないため、地球温暖化の抑制につながります。
そして「ぱりまる」は国産原料にこだわっているため、食料自給率の上昇にもつながっているそうです。
またおからを使用することで食品ロスにも貢献しており、開発の過程で様々な環境問題への配慮を工夫してきたことがうかがえます。
いま感じているやりがい
アレルギーや環境問題への配慮の話を受け、「美味しいのはもちろんだけど、美味しいだけじゃないね」と頷く石塚。
「ずっと続けてこられて、今どんなやりがいを感じている?」と問います。
中野「発売して10年以上経った『ぱりまる』をSDGsの観点から見直すと、多くの価値に気が付くことができました。
大豆を使っているのでたんぱく質が豊富で、美味しく、かつ8大アレルゲン不使用であることから、災害時の非常食にもなります。
東日本大震災の後には、ぱりまる募金を行ない、募ったお金で『ぱりまる』を製造し、被災地である陸前高田市などの保育園に10年間送りました」
川杉「年齢やアレルギーの有無を超えて、みんなで同じものを一緒に『美味しいね』と食べることが環境問題への配慮にもつながった。授産所の工賃倍増とやりがいにもつながった。食べることが地球にも人にも優しい社会につながるように、今後も活動を広げていきたい」
食べることは生きることの基本、なくてはならない活動。それがさまざまな課題や問題の解決につながっていることを実感し、その確かな手応えに満足感を感じているふたりでした。
こどもと食にかかわる学校で得た学びを生かし、多様性を重視しながら、誰一人取り残さないで誰もが豊かに暮らすことのできる社会。そんな未来の実現を目指すおふたりの、熱い思いが感じられるコーナーでした。
(吉村)