夜明けまで踊り明かせ!ユネスコ無形文化遺産「郡上おどり」
日本三大盆踊りのひとつとされる岐阜県郡上市の「郡上おどり」は、2022年にユネスコ無形文化遺産にも登録されました。見どころのひとつは、13日から4日間行われ、夜明けまで踊り明かす「徹夜おどり」です。8月13日放送の『CBCラジオ #プラス!』では、光山雄一朗アナウンサーが郡上おどり保存会会の長山田忠平さんに、郡上おどりについて伺いました。
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まず山田会長に「郡上おどり」の歴史を尋ねました。
山田会長「私たちの先祖は山紫水明のこの里に住み、その生活や習慣の感情を素朴に歌や踊りで表現してきたものが郡上おどりです。
江戸時代ころから今日まで430余年に渡って歌い踊り続けてきました。
郡上おどりは戦国時代の後半、八幡城主の遠藤慶隆が、戦いで傷んだ城郭や城下町の町並みの修理をして、住民の人心の安定と平和を願い、楽しむために、当時処々方々で行われていた盆踊りをお宮やお寺の境内、門前町に集めて、踊りぶりをよくして、士農工商の融和をはかり、老若男女、等しく無礼講で健全な娯楽として奨励したことが最も大きいと言われています」
海外へライブ配信
平成8年12月に国の重要無形民俗文化財の指定を受けた「郡上おどり」は、一昨年11月にユネスコの無形文化遺産の登録も受けました。
現在では世界に向けてライブ配信を行なっているとのこと。
山田会長「特に昨年8月13日の徹夜の踊りの時には、カナダのトロントに向けて、こちらは夜中の12時、トロントは昼の12時、同時中継で朝4時まで踊りました。
トロントでは600人から700人の踊りの輪が広がりました」
「郡上おどり」は7月中旬から9月の初旬、30数夜に渡って行われます。
山田会長によれば、踊りの曲目は「かわさき」など全部で10種類あるそうです。
感動の徹夜おどり
放送日の13日夜から始まる「徹夜おどり」についても伺います。
山田会長「特に今夜(13日の夜)から始まる『盂蘭盆会』については、20時から明朝の4、5時まで踊り明かすということで、最も盛り上がります」
踊りの輪は幾重にも広がり、参加しなければわからない一大絵巻だとか。
山田会長「8時ころから始まって、夜中前後はこどもさんを連れた方などで混雑します。けれど、2時、3時ころになると、お囃子と踊り手が一体となって、下駄の音、掛け声が揃って、本当に無心になって踊る姿も神秘的です」
ちなみに踊りが終わるのは早朝4時から5時ごろ。東の空が白々と明けてきて、参加者が「おはようございます」と声を掛け合ってその日の踊り納めとなるそうです。
山田会長「この感動をぜひ味わっていただきたいです」
郡上おどり保存会
山田さんが会長を務める「郡上おどり保存会」についても尋ねました。
山田会長「現在会員は58名。年間通して週1の練習日と市内外への指導、公演を行なっています。年間130回くらい出ます。
特に観光のPRによって、昭和の時代から観光客の増加によって、運営自体、課題が出てきました。
そこで行政、自治会、各種団体、組織、保存会で協議した結果、郡上おどりの運営委員会というのを昭和44年に発足して、踊りの運営をしています」
参加するおどり
山田会長「郡上おどりは『見る踊り』ではなく『参加する踊り』ですから、おひとりおひとりが主役です。自分のスタイルで気分よく、輪に入って、身振り手振りで踊れますので、ぜひ参加していただきたいです」
初心者へのアドバイスももらいました。
山田会長「特に三点セット、下駄、手ぬぐい、浴衣があるといいです。洋服でも参加できますが、下駄とてぬぐいだけでも身につけていただければ、気分上々で雰囲気よく踊れます。
郡上おどりの基本ですが、盂蘭盆の今晩から4日間は先祖供養と御霊の鎮魂です。感謝の心で世界の平和、人類の幸せと安寧を郡上おどりで世界に発信しましょう。ぜひみなさんのご参加をお待ちしています」
(みず)