激辛好きは浮気体質?辛いものを控えた方がいい「脳の錯覚」
夏になると辛いものが欲しくなります。暑くても辛いと食欲が出るのはなぜでしょう?また激辛好きの人には意外な傾向があるようです。6月21日放送のCBCラジオ『北野誠のズバリ』では、発酵が進んだキムチやマーボー豆腐で胃が不調になったという方の相談に、心療内科本郷赤門前クリニック院長で医学博士の吉田たかよし先生が答えます。
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まずは相談の詳しい内容です。
「以前、発酵の進んだキムチを食べたら一発で胃の不調。丸2日ほど何も食べたくなくなりました。
先日、四川風の辛いマーボー豆腐を食べたらまた同じ症状。そこそこ辛いマーボー豆腐はまったく問題ないのですが、今回は何が私の身体に合わなかったのでしょうか?
怖くて辛いものが食べられなくなりそうです」(63歳・女性)
身体にいいとされる発酵。それが進んだキムチで胃が不調になることはあるのでしょうか?
吉田「結構あります。キムチは乳酸菌が発酵したもので一般的には健康にとてもいいものです。便秘、下痢を予防したり、免疫力が高まったり、ストレスを緩和させる効果も見つかっています」
ただ逆に胃に負担がかかって、不快感を生じる人もあるといいます。その原因はなんでしょう?
吉田「発酵の過程で生成する『有機酸』と呼ばれる物質の作用です。
名の通り酸性の物質で、発酵が進むと酸っぱく感じますが、これは有機酸が増えるためです。乳酸菌が作る有機酸は一般的に腸内環境を良くしてくれるものですが、一部の人はこれが増えすぎると胃に合わなくて不快感の原因になります」
カプサイシン
またマーボー豆腐で胃が不調になるのはなぜでしょう?
吉田「カプサイシンが増えると、胃に胃酸を増やして、胃の粘膜に傷を与える作用もあります。実際、大量のカプサイシンで胃炎、胃潰瘍になるという例は結構あります」
ただし、胃に悪影響が出る量には個人差が大きいという吉田先生。
吉田「相談者さんは比較的少ない量で胃がダメージを受ける体質だろうし、あと年齢によってダメージを受けやすくなることもあります。
発酵が進んだキムチで不快になったのも、有機酸だけの問題ではなくて、辛み成分のカプサイシンの作用も加わって不快になったのだと思います」
辛いものは適量に
辛いものは食べ過ぎない方がいいのでしょうか?
吉田「そうなんです。胃に対する唐辛子のカプサイシンの作用はとてもユニークで、カプサイシンの量によって人体には真逆の作用が出ます。
カプサイシンが少ない量だと、逆に胃酸の分泌を抑えてくれて、さらに胃の粘膜の血液の量を増やす作用があるので、胃の粘膜を保護してくれる働きがあります。
夏に食欲がなくなる時があります。夏バテで胃の消化能力が低下してしまうためですが、それでも辛い食べ物だとおいしく食べられる時はありませんか?
これはカプサイシンが胃を守ってくれる効果のためで、実際、南国の料理は辛いものが多いです。
ところが、カプサイシンの量が限界を超えると、胃酸は逆に増えてしまう。胃の粘膜にも傷を与える。量によって胃に対する効果は正反対になります」
辛さは痛み?
吉田「辛さはユニークです。甘い、苦い、すっぱい、しょっぱい、この4つは舌の味蕾という部分で感じ取っている感覚、味覚です」
このうち「辛い」は味覚で感じる感覚ではないという吉田先生。
医学的には、痛みの神経が刺激されているのを脳が「辛い」と錯覚しているそうです。
吉田「カプサイシンの作用は身体を叩いているのと同じようなことが起きます。肩こりで肩を叩いて適度な痛みを与えると血行が良くなって肩こりが治ります。
強く叩きすぎると筋肉が炎症を起こしてしまいます。
それと同じで、適当な量のカプサイシンだと血行が良くなって胃の粘膜を守ってくれるけど、多すぎると炎症を起こして胃炎とか胃潰瘍の原因になってしまいます。
だから、辛いものが好きな人もそこそこの辛さに抑えておくことが胃の健康には大事です」
激辛好きの人は…
激辛料理が好きだという人もいますが、これはどうでしょう?
吉田「これにはアメリカのペンシルベニア州立大学の研究があります。激辛料理が好きな人は普段の生活でも刺激を求める性格の人が多い、というデータが出てきました。
辛い料理が大丈夫だという人も激辛料理までいくと脳が強い痛みとして認識していて、本来は不快に感じるはずです。
にもかかわらず、激辛料理を食べたくなるということは脳が痛みを感じることを刺激として求めているからです」
こういうタイプは好奇心が強く、新しいことにチャレンジしたくなるという人が多いそう。
自信が持てる長所はありますが、ただ刺激を求めて失敗することもあります。
吉田「特に注意して欲しいのは、車を運転する人はついついスピードを出して事故を起こしてしまうリスクが高いです。
恋愛に対しても刺激を求める傾向があり、浮気をしやすいので、注意していただきたいです」
激辛系が好きな人と結婚する時は要注意だそうです。
(みず)