思わず同情!意外なヤリイカの繁殖方法
CBCラジオ『つボイノリオの聞けば聞くほど』は、歴史、宇宙、生物など、さまざまな事象が話題になります。6月13日の放送で紹介したのは、ヤリイカの生態について。刺身で知られるヤリイカですが、5月20日の中日新聞夕刊では、そのオスに早生まれと遅生まれがあり、なんとそれぞれの繁殖方法が異なるのだとか。小高直子アナウンサーが解説し、つボイノリオが感想を漏らします。
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記事によれば、ヤリイカには「早生まれヤリイカ」と「遅生まれヤリイカ」がいて、繁殖方法に違いがあるとのこと。
ヤリイカのオスには身体が大きく他のオスと戦ってメスと交尾するタイプと、身体が小さく戦いを避けつつ、他のメスとオスのペアにこっそり割り込んで繁殖するタイプがいます。
つボイ「ペアにこっそり?なんですか、3Pということですか?」
通常動物界では強いオスがモテますが、ヤリイカ界では人間界と同じように、作戦でどうにかメスをゲットできるチャンスがあるということです。
ヤリイカの繁殖方法
戦うタイプのオスは4月上旬から7月上旬に孵化した「早生まれ」、戦わないタイプは6月上旬から8月下旬の「遅生まれ」だったことがこのたび判明しました。
まずヤリイカの繁殖方法について説明します。
この研究をしているのは東京大学大気海洋研究所。
昨年8月10日に発表したプレスリリースでは、身体の大きい「早生まれ」のオスの精子は小さく、身体の小さい「遅生まれ」の精子は大きいとのこと。
ヤリイカは冬に日本沿岸の岩礁地帯に繁殖のために集まってきて、オス同士がメスをめぐって戦いを始めます。
身体の色をめまぐるしく変えながら大きさをアピールし、多くの場合は、より大きなオスが勝利し、メスに精子が入ったカプセルを渡す「交接」という行動に入ります。
一方、身体の小さなヤリイカは、ペアを作る前のメスや大型のオスとペアになっているメスの隙を狙ってそっと忍び寄り、一瞬のうちにメスの腕の付け根に精子の入ったカプセルをつけます。
つボイ「あまり楽しそうじゃないですね」
大型ヤリイカはメスの胴体の中に腕を差し込んで、精子カプセルをつけるのに対し、小型ヤリイカは腕の付け根につけます。同じ生物でありながら、精子を渡す場所まで違うのは極めて特殊だそうです。
メスの作戦
せっかく気に入ったヤリイカとペアになったメスのヤリイカ。
こっそり割り込んできた小型のオスに強引に精子を渡されて気の毒と思いきや、実はメスが最もしたたかなんだとか。
メスは腕の付け根に精子を溜めておける貯蔵器官を持っています。これがなんと小型ヤリイカ専用なのです。
産卵場の現れるほとんどのメスは小型のオスから精子を受け取っていること、1回の産卵時に複数のオスの精子を利用していることが受精卵の遺伝子解析から明らかになっています。
メスは複数のオスから精子を受け取り、自分の卵と受精させることで遺伝子的に多様な子孫を残しているということです。より確率の高い方法をとっているのです。
小型ヤリイカもあの手この手で子孫を残します。
小高「イカはあの手この手ありそうだものね」
誰が一番したたか?
ヤリイカの寿命はおよそ1年。
冬に繁殖活動をするので、4月上旬から7月上旬生まれが早生まれの大型ヤリイカ、6月上旬から8月下旬生まれが遅生まれの小型ヤリイカ。大型と小型は生まれる時期でカテゴライズされているのです。
小高「小型ヤリイカ、大型ヤリイカ、メスのヤリイカのうちで、メスってしたたかだなあとわかりました」
つボイ「だいたい現実の世界もそうやで。男は翻弄されているのよ」
最後につボイは「小さいヤリイカくんは本当にポイッで満足しているんでしょうか。私はヤリイカにはなりたくない」と本音を漏らしました。
(みず)