世界1位を相手に一歩も引かなかった男——ジャンボ尾崎、通算103勝目を刻んだ和合の死闘
その場にいた全員が、歴史が動く音を聞いた。
伝説の一戦、日豪の怪物が激突
1997年、最終日のティーグラウンド。大会3連覇、そして通算5勝目という偉業を目指すジャンボ尾崎の前に立ちはだかったのは、当時世界ランク1位に君臨していたグレッグ・ノーマンである。
「東洋のマスターズ」とも称される中日クラウンズ。舞台となる名古屋ゴルフ倶楽部 和合コースは、小さく硬いグリーンが牙を剥く難コースだ。この「魔物」の棲み処で、日豪の怪物が激突した。

息詰まる攻防、世界1位との死闘
最終日、わずか1打差でスタートした両者。1番ホールから、ノーマンが強烈なセカンドショットを放ち、世界トップの力を見せつける。しかし、尾崎も一歩も引かない。世界1位の猛攻に負けじと食らいつき、息詰まる一進一退の攻防が繰り広げられた。
勝負の行方が動いたのは後半だ。魔のコースを前にノーマンがスコアを伸ばせない中、尾崎の「王者のプライド」が爆発する。勝負どころのホールで見事にバーディパットを沈め、ノーマンに3打差をつけてみせたのだ。

王者のプライド、世界をねじ伏せた一打
まっすぐ放たれたボールがカップに吸い込まれる鮮やかなバーディフィニッシュ。世界をねじ伏せて掴んだクラウンズ大会3連覇、通算5回目の優勝。そして、これが自身のプロ通算103勝目となった瞬間だった。

「自分の調子がいい限りは、やっぱりこのクラウンズはほかの人に譲るわけにはいかないしね」
試合後、そう語ったレジェンドの言葉には、和合を統べる者としての揺るぎない自信が満ちていた。
ジャンボ尾崎が遺したもの
300ヤード飛ばすことを常識とし、日本のゴルフ界を根底から変えた改革者・ジャンボ尾崎。世界1位を真っ向から打ち破ったその豪快な背中と果てしない探求心は、今の日本ツアーでクラブを振る若手選手たちの力強いスイングへと、間違いなく受け継がれている。クラウンズの歴史に、その名は永遠に輝き続けるだろう。



