歓楽街で生きる女性社長、不動産で見えた「夜の街の現実」
おととしの新型コロナ感染拡大当初、自治体やメディアから感染の中心として名指しにされたいわゆる“夜の街”。 今回は名古屋を代表する“夜の街”錦三丁目で不動産仲介会社を経営する女性社長の姿を追いました。物件を通して見えてくるコロナ禍の“夜の街”の実情とは?
コロナで変貌した“夜の街”
密着するのは、名古屋の歓楽街である錦三丁目「錦三(以下同)」を金髪巻き髪のド派手な格好で歩く女性、生駒妃沙子(いこま・ひさこ)さん。名古屋で繁華街の店舗物件を扱う不動産仲介会社の社長です。
社長歴は6年。錦三だけでもキャバクラやスナックなど、およそ100件の店舗物件を仲介しています。錦の不動産会社で女性社長は珍しく、3児の母でもあります。
生駒さんは錦三にある、ワインラウンジを訪ねました。
店の売り上げは、コロナ前に比べて8割減。経営を圧迫しているのは、月およそ50万円家賃です。錦でも立地が良い場所なので家賃が高いとのこと。
そこで、生駒さんが店舗移転の提案をしました。
コロナ禍で閉店が相次いだために、空きが出たお得な物件です。
店のオーナーは今の店舗を手放し、今年4月から錦三の別の物件への移転を決めました。
広さは今の店舗とほぼ同じですが、家賃は数十万円安くなるといいます。
ラウンジオーナー「再スタートだと思って。新店舗はカウンターになるが、ここでワインのスクールやセミナーをやるのが夢で、それがコロナ禍で叶ったので悪いことばかりじゃないと前向きに考えています」
なぜ錦三で不動産を始めたのか
なぜ、「錦三の不動産の仕事」を始めたのでしょうか。
生駒さんに錦三で夜のお店に働いたことがあるかと聞いてみると、
生駒さん「夜の店で働いたことは、実は一度もないです。でも若い時は歓楽街でずっと遊んでいたから(働くには)抵抗はなかった」
20代の頃はモデルやタレントとして活動していたという生駒さん。毎日夜遊びをして、頻繁に朝帰りをする生活をしていました。親からも心配をされ、見かねた父親に「そうやって遊んでいるなら宅建(宅地建物取引士)を取りなさい!」と言われます。
30歳を前に、自分を変えようと一念発起。半年間勉強に打ち込み、国家資格の宅地建物取引士を取得しました。
生駒さん「(歓楽街は)客として出入りしていたが、今は天職だと思っている。」
恩を返したい、サポートしたい思い
行きつけのスナックに訪れました。
錦三で20年以上スナックを経営しているママは、生駒さんに負けないくらいド派手な女性です。生駒さんとは会社を立ち上げる前からの長い付き合いです。
ママのお店も売り上げは激減。今回の“まん延防止“の期間も休業を余儀なくされています。
ママ「(経営が)厳しい。このままだとお客さん戻ってきません」
コロナの感染拡大当初、自治体から名指しされ、真っ先に規制の対象となった“夜の街”。
生駒さん「錦三丁目はコロナが始まって色んな意味でやり玉に挙げられた。“私たちはまじめにやっているのにそんな風に言われる”とすごく悩んでいる人たちもいっぱいいた」
お世話になった人たちに恩返しがしたい、その人たちの精神的なサポートを含めて自分自身も頑張っていきたいとの思いを語りました。
CBCテレビ「チャント!」2月15日放送から