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新車を買いたいけれど「1年待ち!?」世界的な“車不足”の深刻な理由とは?

新車を買いたいけれど「1年待ち!?」世界的な“車不足”の深刻な理由とは?
CBCテレビ:画像『写真AC』より「車」

「新車を注文したらディーラーから半年待てと言われた」「実家の父親が車を買い替えようとしたら納車まで1年かかるそうだ」。最近、周囲にいる複数の人たちから相次いでこんな声を聞いた。実際、車を買おうにも新車が手元に届くまでに、過去にはなかったほどの長い時間がかかっている。

納車の待ち時間に驚く

CBCテレビ:画像『写真AC』より「車」

トヨタ自動車はホームページで、定期的に「工場出荷時期」の目途を発表している。2022年6月中旬の時点で、例えばファミリー向けの「アルファード」は「注文してから6か月以上」、人気のミニバン「ヴォクシー」も同じく「6か月以上」となっている。“多目的車”として日常の買い物からアウトドアのレジャーまで使い勝手のいいSUV(Sport Utility Vehicle)の「カローラクロス」、さらに小型車「アクア」も「注文してから5~6か月」。さらに具体的な期間が表示されていない多くの車種は「販売店に問い合わせてほしい」とあるので、もっと待ち時間が長い可能性もある。これはトヨタ自動車に限らず各メーカーも同じ、新車がこれまでのようにスムーズに手に入らないのだ。

コロナ禍がもたらした部品不足

理由は、自動車を作る部品の不足である。理由は2つある。ひとつは、2年以上、世界中を席巻してきた新型コロナウイルスの影響。最近の顕著な例としては、中国上海の都市封鎖(ロックダウン)がある。電子部品の工場がまったく稼働しなかった上、コンテナ船などもストップした。部品が足りない。もうひとつ、制御装置など車にとって大切な機能を担う半導体の不足である。実はこれもコロナ禍が関わっているのだが、テレワークなど在宅勤務や、いわゆる“巣ごもり”する人が増えて、半導体を使うパソコンやゲーム機を買う人が増えた。その分、世界的な半導体不足が起きた。コロナ禍で言えば、感染防止などのために公共交通機関の人混みを避けてマイカー通勤する人も増えて、車の需要も伸びている。半導体自体の生産量が需要に追いついていないのである。

中古車と輸入車も足りない

CBCテレビ:画像『写真AC』より「車」

新車だけでない。中古車や輸入車にも異変が起きている。新車が手に入りにくい一方で、中古車人気は急上昇して、値段も上がっている。車種によっては、新車と中古車がほぼ同じ値段という現象も起きている。「新車に買い替えたい」→「すぐには手に入らないようだ」→「仕方ない、もう少し今の車で我慢するか」。こんな考慮の結果、中古車市場に出てくる車も少なくなっているようだ。輸入車にはロシアによるウクライナ侵攻が影を落としている。ヨーロッパの自動車メーカーで、ウクライナ国内の工場から部品を調達している会社もあり、戦争によって工場が稼働できていない。このため部品が少なく、車の製造が遅れている。日本に輸出する車の数も少なくなってしまう。新車、中古車、そして輸入車、すべて不足状態なのである。

特別に暑い夏が訪れそう

上海の都市封鎖は6月1日から全面解除された。これを受けて、トヨタ自動車も国内すべての工場やラインで通常の生産が再開された。ここまでの減産を取り戻すべく、工場のフル稼働が続くが、世界的に自動車部品の調達ルートはまだ混乱していて、落ち着くまでにはもうしばらく時間がかかりそうである。車だけではない。オートバイ、電動アシスト自転車、そしてエアコンなどにも、同じような影響が出ている。気象庁の予報では、2022年の日本列島は高気圧の影響で暖かい空気に覆われやすく、暑い夏になりそうだという。エアコンの払底で熱中症も心配される。

新型コロナ禍にウクライナ情勢、世界を揺るがしている現状は、私たちの暮らしの様々な場面に大きな影響を及ぼし続けている。その行きつく先としての値上げ、これだけはもうご勘弁と切に願う。
        
【東西南北論説風(350)  by CBCテレビ特別解説委員・北辻利寿】

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