埼玉県川口市の一角にある砂利道の路地の謎 都心なのに未舗装のままのワケとは?
全国の道に特化したバラエティ番組『道との遭遇』では、道マニアがイチオシの道をご紹介。今回は、埼玉県川口市の一角にある未舗装だらけの路地の謎に迫りました。
都心なのになぜ未舗装?川口市の一角にある謎の砂利道
荒川を隔てて東京に接する、首都圏の人気ベッドタウン・埼玉県川口市。県内最高層の「エルザタワー55」から150mほど北側にある住宅が密集したエリアには、道で細かく区分けされ、さらに未舗装の砂利道が張り巡らす場所があります。
現在、全国の一般道路の82%以上が舗装(簡易舗装を含む)されている中、埼玉県で最も人口が多い都市で川口駅から徒歩圏内の好立地なのに、その区画は未舗装状態。道マニアも「首都圏で未舗装はかなりレア」と言います。
さらに、道の片側だけが舗装されていたり、区画の端の丁(てい)字路は綺麗にアスファルトで舗装されていたりと、不思議な構造をしています。
工場の社宅が住宅街に 路地が舗装されないワケとは
「エルザタワー55」が立っている場所に、かつて「日本ピストンリング」という会社の工場があり、軍事用の船や航空機などのエンジン部品の製造を行っていたそう。昭和初期に陸海軍の指定軍需工場として建設され、ここで作られた部品は当時の最新鋭の戦闘機に使われたりする国の重要施設でした。
多くの従業員を抱えていたため、工場のすぐ北側に社宅を建設。その場所こそが、未舗装の路地が張り巡らす住宅街なのだそう。
工場と社宅は、昭和59年まで川口市に存在。社宅が無くなったあと、立地の良さから多くの住宅が建設され、細い路地も増加されました。その結果、土地の所有者によって道の権利も分けられることになったのだとか。
かつては社宅しかなかったこともあり、特に道を整備することもなく、当時から砂利道だったと言います。
道を市に返還する話もありましたが、住宅が密集し道幅が狭く、角地である土地の角を切り取って空地にする隅切りが確保できなかったため、現在も私道のままに。予算がかかるアスファルト舗装は、ほとんどされないまま現在に至ります。
それでも20年以上前には、市と交渉の末に補助金を受けることができ、東側の丁字路はアスファルト舗装することができたそう。近くの住人によると、数軒だけ当時の社宅が今も残されているそうです。
6月25日(火)午後11時56分放送 CBCテレビ「道との遭遇」より