温泉が湧き出る廃トンネル 層雲峡温泉に眠る隧道&国鉄士幌線の廃線跡も
ミキの昴生と亜生がMCを務める、全国の道に特化したバラエティ番組『道との遭遇』。今回は全国800か所以上の道を巡ってきた道マニア歴18年の石井あつこさんが、北海道にある“廃道”を巡ります。※ロケを行った層雲峡の廃道・廃隧道は、一般の方は立ち入ることはできません。許可を得た上で、安全を考慮して撮影しています。
整備された廃線跡!切り替えポイントも残る旧「幌加駅」
石井さんと一緒に旅をするのは、北海道在住の一般の男性。
(道マニア・石井あつこさん)
「今回は、有名観光地に眠る不思議な廃道に行ってみたい」
目的の廃道へ行く前に、まずは北海道に来たら見てほしいという石井さんとっておきの場所へ。訪れたのは、上士幌町(かみしほろちょう)。
(道マニア・石井あつこさん)
「士幌線(しほろせん)の痕跡がまだ保存されている場所があり、今もレールが残っている」
昭和14年に、十勝三股(とかちみつまた)から帯広まで全線開通した「国鉄士幌線」。当初は多くの人が利用していましたが、次第に乗降客が減少し、昭和62年に全線廃止となりました。
かつての「幌加(ほろか)駅」があった場所は遊歩道として整備されており、今でも廃線跡が見られます。レールやホームの遺構があり、さらにその先には切り替えポイントが残っています。
温泉が湧き出る廃トンネル!?林道の廃道に眠る「層雲峡隧道」
(道マニア・石井あつこさん)
「層雲峡(そううんきょう)温泉の近くにある、ひっそりと眠る謎めいた廃道へ行きたい」
石井さんが5年前に訪れて衝撃を受けたという廃道を目指します。国道39号の脇から続く山道を歩く2人。「層雲峡エリアとその奥地には膨大な木材資源があり、ここは搬出のために敷かれた森林鉄道の名残」と石井さんは言います。
現在の国道39号のルーツとなる道が完成した昭和初期と同時期に、木材をスムーズに搬出できるよう、石狩川を挟んで「地獄谷」と呼ばれる対岸に林道が造られました。森林鉄道としての活躍はわずか2年。その後は鉄道が撤去されて車道となり、トラック輸送に切り替えられたそう。
(道マニア・石井あつこさん)
「国道と並行しているので国道の旧道と思われがちですが、実は木を切り出して運ぶための林道という、ちょっと変わった経緯を持つ廃道」
さらに草木が茂る山道の先に現れたのは、昭和29年8月竣工の「層雲峡隧道」。中を覗くこともできないほど埋もれているため、隧道の反対側へ行ってみると、入口には「層雲峡隧道」と書かれた扁額が残っています。
(道マニア・石井あつこさん)
「隧道から硫黄の香りがする」
安全を確認した後、2人は隧道内を探索してみることに。20分ほど歩き、中間地点あたりで湧き出す温泉を発見!その先は危険と判断し、断念して引き返します。
昭和29年9月、洞爺丸(とうやまる)台風で層雲峡地域も大きな被害を受け、倒木処理や倒壊した家屋の建て直しのために、木材の運搬が必要になりました。そこで活躍したのが、この「層雲峡隧道」。台風の1か月前に完成していたことが幸いし、迅速に木材を運搬することができ、復興に大きく貢献したそうです。
9月19日(火)午後11時56分放送 CBCテレビ「道との遭遇」より