歯が健康なほど認知症になりにくい!?…専門医に学ぶ!歯の治療法 最前線
サマリーSummary
ドクター:日本大学 歯学部 歯科補綴学第2講座 教授 萩原芳幸
身近な健康問題とその改善法を、様々なテーマで紹介する番組『健康カプセル!ゲンキの時間』。
メインMCに石丸幹二さん、サブMCは坂下千里子さんです。
ドクターは、日本大学 歯学部 歯科補綴学第2講座 教授 萩原芳幸先生です。
今回のテーマは「〜あなたのお悩みに名医が即答!〜歯の治療法 最前線」
人生100年時代。歯は、食べるだけでなく色々な面でとても重要!事実、歯が健康なほど認知症になりにくいというデータもあります。しかし、歯の健康を保つのは意外と大変。実際に50代から失う歯の本数が急増するというデータも…。さらに、虫歯や歯周病などを放置していると、糖尿病・心筋梗塞・誤嚥性肺炎などにつながるおそれもあるといいます。そこで今回は、さまざまな歯の悩みの解決法や治療法を専門医に教えてもらいました。
歯は認知症にも影響する!?
噛む事は、脳の血流を良くするとともに脳に刺激を与えるそうです。そのため、噛む力が弱まると認知症にも影響があるのだとか。さらに、噛む力が弱まって食べられるものが制限される事で、全身に筋力の低下を招きます。それにより、外出が減って気分も低下し病気がちになるなど、負のスパイラルに陥るおそれもあるそうです。
歯の悩み(1)歯がしみる
<知覚過敏症とは?>
先生によると、「風・冷たい物がしみる」「歯ぐきが下がった」「ズキズキとした痛みはない」に当てはまる場合は、知覚過敏症(象牙質知覚過敏症)の疑いがあるとの事。通常、歯の神経は「エナメル質」という硬い素材で守られていますが、何らかの原因でエナメル質が剥がれてしまったり、歯肉が痩せてしまったりする事で象牙質がむき出しになるとちょっとした刺激がしみるようになるそうです。
<知覚過敏症の原因は?>
知覚過敏症の主な原因は加齢による歯ぐきの下がりや、歯ぎしり・食いしばりなどによって歯が削れる事。さらに、女性の場合はホルモンのバランスが崩れる事で歯茎が腫れ、知覚過敏を引き起こす事もあるのだとか。知覚過敏は、放置すると最悪の場合歯の神経が死んでしまい、歯が抜けるリスクもあるそうです。
<知覚過敏症の治療法>
程度によって治療法は異なるそうですが、知覚過敏用の歯磨き粉や塗り薬による治療などがあるそうです。また、しみるからと言って歯ブラシをさぼると、歯の表面に汚れがつく事で余計に刺激が伝わりやすくなり、悪循環を招く事があるのだとか。歯磨きがツラい場合は、ぬるま湯を使って柔らかい歯ブラシで磨くなどの方法もあるそうなので、歯科医院で相談してみましょう。
歯の悩み(2)銀歯が気になる
<笑った時に気になる銀歯>
従来は虫歯治療=銀歯のイメージでしたが、今では白い詰め物もベーシックになっていて銀歯から付け替える事も可能だそうです。
<詰め物・被せ物の代表的な素材は3つ>
詰め物や被せ物に使用する代表的な素材は3つあるそうです。1つは、白いプラスチック素材「レジン」。2つ目は、金属できたいわゆる「銀歯」。そして、強度の高い「セラミック」。保険適用かどうかの基準は素材や場所によってさまざまで、銀歯は全ての歯に保険適用。白いレジンは基本的に前歯のみですが、一部の新素材を使用する事で奥歯も保険適用になるのだとか(※新素材の適用については歯科医にご相談ください)。そして、セラミックは全て保険適用外となるそうです。
歯の悩み(3)歯にものが挟まる
<歯にものが挟まるのは「歯周病」のサイン!?>
「歯にものが挟まる」「歯に隙間ができた」「歯ぐきが下がった」に当てはまる場合は、歯周病の疑いがあるそうです。歯周病は、成人の2人に1人がかかっていると言われる国民病。歯と歯ぐきの隙間から侵入した細菌が歯肉に炎症を引き起こし、歯を支える骨を溶かしてグラグラにさせてしまいます。初期段階ではほとんど痛みがなく、気づきにくいそうですが、進行すると痛みを伴い歯が抜けてしまう事もあるのだとか。先生によると、一度歯周病になると現状からなかなか回復しないので、今の状態よりも悪くしない事が大切だそうです。
<歯周病対策に最適!正しいブラッシング法>
歯ブラシの仕方を適切にするだけで、歯肉が締まり、歯周病の回復が見込める場合もあるそうです。その方法が「つっこみ震わせ磨き」。歯ぐきと歯の境目の歯周ポケットにゴミが入り込むと歯周病になるため、歯ブラシを斜め45度に傾けて、歯周ポケットに歯ブラシを入れます。そのまま小刻みに20〜30回往復させる事で、歯周ポケットから汚れをかき出す事ができるそうです。適切なブラッシングでしっかりと歯周病対策をしましょう。
歯の悩み(4)義歯は何を選べば良い?
歯が抜けた時の治療法「義歯」には、大きく3種類あるそうです。
<選べる3つの選択肢(1)「部分入れ歯」>
部分入れ歯は、残っている歯に金具を引っ掛けるため、入れた感じに違和感があるそうです。良い所は、歯をあまり削らなくて済む所。費用は5千円〜2万円(保険適用あり)。治療期間は、1〜2か月だそうです。
<部分入れ歯のメリット&デメリット>
入れ歯のデメリットの1つは、噛み心地。特に、お煎餅などの硬い物を食べるのは一苦労だそうです。また、金具が見えてしまう事や口に当たって喋りづらいというデメリットもあるのだとか。一方、メリットは簡単に脱着ができるため、手入れが楽な事。安価かつ、日々のお手入れを簡単にするなら入れ歯がおすすめだそうです。
<選べる3つの選択肢(2)「ブリッジ」>
ブリッジは、欠損部の両脇の歯を削って義歯をかぶせます。一番のデメリットは、歯を削る事だそうです。費用は2〜3万円(保険適用あり)。治療期間は、1〜2か月だそうです。
<ブリッジのメリット&デメリット>
ブリッジは、見た目・噛み心地ともにほぼ問題ないそうです。一方で、ブリッジの特性上歯にものが詰まりやすく、歯間ブラシなどによる日々のお手入れが必須なのだとか。見た目や噛み心地は気にしつつ、お手入れをしっかりする自信がある方にはブリッジがおすすめだそうです。
<選べる3つの選択肢(3)「インプラント」>
インプラントは、ボルトを骨に埋めて上から義歯を被せるそうです。費用は30〜40万円(保険適用なし)。治療期間は、3〜6か月だそうです。(※喫煙者・糖尿病・骨粗しょう症・高血圧の方は医師にご相談ください)
<インプラントのメリット&デメリット>
インプラント最大のメリットは見た目と噛み心地。生活する分には自分の歯と全く同じ感覚だそうですが、天然の歯と比べ歯肉との境目の部分に食べ物の残りカスなどが入りやすいため、日々のお手入れが必須だそうです。
(2024年6月23日(日)放送 CBCテレビ『健康カプセル!ゲンキの時間』より)