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危険な咳の見分け方

危険な咳の見分け方

サマリーSummary

ゲスト:天野ひろゆき
ドクター:順天堂大学医学部附属 順天堂医院 呼吸器内科 准教授 医学博士 原田紀宏
秋になると現れやすい症状「咳」。ただの咳だから…と油断してしまいがちですが、長引く咳の中には、ぜんそく・肺炎・肺がんなどの危険な病気が潜んでいる可能性もあるのだとか。そこで今回は、危険な咳の見分け方を専門医に教えてもらいました。

咳の基礎知識

<なぜ咳は出る?>
先生曰く、咳は身体の防御反応。風邪の時に出る分泌物を出したり、入ってきた異物を外に出そうとしたりする時に起こるそうです。

<危険な咳にはどのようなものがある?>
危険な咳の中には、肺がん・肺炎・結核などの命を脅かす病気や、新型コロナウイルスなどの感染する病気、アレルギーによる気管支喘息なども時には命に関わる事があるそうです。

要注意な咳の病気①COPD(慢性閉塞性肺疾患)

<特徴>
・ゴホゴホと痰の絡んだ咳が朝起きた時に出る
・喫煙をしていて息切れが強くなってきた

<COPD(慢性閉塞性肺疾患)とは?>
COPDとは、肺が喫煙などで有害物質に長期間晒される事で組織の一部が壊れ、慢性気管支炎や肺気腫を起こした状態の事。この状態になると粘液が過剰に分泌されて痰となり、それを吐き出そうとゴホゴホと痰が絡んだ咳が出るのだとか。特に眠っている時は痰が出せずに溜まっていくため、朝起きた時に咳が出やすくなるそうです。

要注意な咳の病気②後鼻漏

<特徴>
・ゴホゴホと痰が絡んだ咳が朝起きた時に出る
・鼻水・鼻づまりの症状がある

<後鼻漏とは?>
後鼻漏は、鼻水が鼻の奥へと垂れ落ち、それが刺激となって咳が出てしまう状態。アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎などが原因となるため、その治療が必要になるそうです。

要注意な咳の病気③胃食道逆流症

<特徴>
・食中や食後、食前の空腹時に咳が出る
・胸やけの症状がある

<胃食道逆流症とは?>
胃食道逆流症とは、胃液が食道に上がってきて咳や胸やけなどの症状を起こす病気だそうです。症状がひどくなると炎症を起こし、痛みを伴う逆流性食道炎になる可能性もあるのだとか。胃と食道の間の筋肉が緩んだり、胃液の量が過剰に増えたりする事が原因だそうです。

要注意な咳の病気④喘息

<特徴>
・冷たい空気やペット、花粉などの影響で咳が出る
・呼吸の音がゼーゼーヒューヒュー

<喘息とは?>
喘息とは、アレルギー物質などが原因で気管支の内側に慢性的な炎症が起こり、気道が狭くなる病気。気管支が狭くなるため、呼吸をした時にゼーゼーヒューヒューという音(喘鳴)がするそうです。全国の喘息患者は推計800万人。そのうち、大人になってから発症した人は約7割といわれており、自分では気づいていない潜在患者も多いそうです。諸説ありますが、夜から朝にかけてリラックスした状態になると、副交感神経が優位になって気管支が細くなるため、症状が出やすくなると考えられているのだとか。発作が続いて呼吸不全になると「喘息死」を招く恐れがあり、年間1200人が命を落としているそうです。

<秋は喘息に要注意!>
喘息を引き起こす大きな要因の1つが、家の中に潜むダニだそうです。先生によると、ダニは秋口に多く死ぬため、その死骸やフンを吸い込む事が喘息を発症する引き金になってしまうのだとか。今は症状がない人でも喘息を発症する可能性があるそうです。

<ドクターオススメ!家の中の効果的な喘息対策>
先生曰く、対策の基本はこまめに掃除機をかける事。カーペットは、ダニやホコリが増えやすいので、ホコリが溜まりがちな裏側もしっかり吸い取りましょう。和室の畳もダニが繁殖しやすいので要注意!畳の上にカーペットを敷いたりすると、通気性が悪くなりダニがますます好む環境になるだけでなく、掃除もしにくくなってしまうそうです。また、掃除をした時にホコリなどを吸い込んでしまい症状が悪化する恐れがあるので、掃除中にマスクをしっかりする事大切なのだとか。他にも、ダニが増えやすい布団もしっかりと掃除し、ペットを飼っている方は、寝室を別にする事も大切だそうです。

<喘息の治療に効果的な「吸入薬」>
喘息の治療で使う吸入薬には大きく2つの種類があるそうです。
・症状がない時でも毎日吸入する薬
主にステロイドの薬で、気道の炎症を抑えて症状がない状態を維持する効果が期待できるそうです。
・発作時に使う吸入薬
咳が止まらない時などに使用する薬で、気道を一時的に開く作用があるそうです。

<喘息の最新治療!喘息の原因を狙い撃つ注射による治療法>
喘息の患者さんの9割以上は、吸入薬によって症状が改善するそうですが、なかには難治性喘息といって症状がなかなか改善しない患者さんもいるそうです。そんな方には、注射による最新の治療法もあるのだとか。先生によると、喘息に対して現在4つの注射薬があり、それらの薬剤に含まれる成分が喘息の根本となる炎症物質を狙い撃ちし、気道に起きる炎症を抑えてくれるといいます。結果、気道が狭くなりにくくなり、咳などの喘息症状が改善されるそうです。

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