ヘルペス・帯状疱疹

2022年8月28日(日)放送 【第520回】
ヘルペス・帯状疱疹

サマリーSummary

ゲスト:東貴博
ドクター:中野皮膚科クリニック 院長 医学博士 松尾光馬
唇や目の周りなどに痛みを伴う水ぶくれができる「ヘルペス」。身体に強い痛みが走り身体や顔など広範囲に発疹の症状が現れる「帯状疱疹」。これらは誰でも発症する可能性があり、夏の疲労が溜まるこの時期は特に注意が必要なのだとか。そこで今回は、ヘルペスと帯状疱疹について専門医に教えてもらいました。

身近な健康問題とその改善法を、様々なテーマで紹介する番組『健康カプセル!ゲンキの時間』。
メインMCに石丸幹二さん、サブMCは坂下千里子さんです。

今回のテーマは「~緊急警報!夏の終わりの恐怖~本当は怖い!ヘルペス・帯状疱疹

唇や目の周りなどに痛みを伴う水ぶくれができる「ヘルペス」。身体に強い痛みが走り身体や顔など広範囲に発疹の症状が現れる「帯状疱疹」。これらは誰でも発症する可能性があり、夏の疲労が溜まるこの時期は特に注意が必要なのだとか。そこで今回は、ヘルペスと帯状疱疹について専門医に教えてもらいました。

夏に急増する「ヘルペス」発症のメカニズムと繰り返す原因

ヘルペスとは、ヘルペスウイルスが引き起こす感染症の総称。皮膚などに水ぶくれなどの症状が現れるそうです。

<ヘルペスの種類>
ヒトに感染するヘルペスウイルスのなかで、皮膚に水ぶくれを起こすのは「単純ヘルペスウイルス1型」「単純ヘルペスウイルス2型」「水痘・帯状疱疹ウイルス」の3種類。なかでも多くの人が経験しているのが、唇や目の周りなどに水ぶくれができる「単純ヘルペスウイルス1型」です。主な感染経路は接触感染。その多くは、幼少期に親が噛んだ食べ物を子どもに与える食べ移しが原因の1つといわれているそうです。

<「単純ヘルペスウイルス1型」発症のメカニズム>
顔には、目・上あご・下あごに向けて、3本に枝分かれしている三叉神経があります。単純ヘルペスウイルス1型は、3本の神経がぶつかる「神経節」と呼ばれる部分に潜伏し、普段は免疫細胞に監視されています。ところが、睡眠不足・体調不良・ストレスなどで免疫細胞の力が低下すると、ヘルペスウイルスが神経の中で増殖。すると、神経に沿って移動し、目・鼻・口などの皮膚に到達して水ぶくれを作ります。免疫細胞が復活すると神経節へと戻りますが、潜伏し続けて再発のきっかけを狙っているそうです。

<一度感染すると一生潜伏し続ける!?>
先生によると、ヘルペスウイルスが普通のウイルスと違うのは、一度感染するとその後も体の中に一生潜伏し続けてしまう事。そのため、現在、単純ヘルペスウイルスの保有率は
60代以上で70%以上にものぼるといわれています。また、ヘルペスが再発すると潜伏するウイルス量が増え、さらに再発しやすくなってしまうので症状が出た時にしっかりと治療をする事が大切だそうです。

<ヘルペスウイルスが引き起こす合併症>
ヘルペスウイルスは、痛みを伴う水ぶくれができるだけでなく、合併症を引き起こす恐れもあるそうです。例えば目の周りにできると角膜炎や視力の低下、脳に移行すると「脳炎」を引き起こす事もあるのだとか。ヘルペスウイルスが原因で起こる脳炎は「ヘルペス脳炎」と呼ばれ、致死率はおよそ10%。死に至らない場合でも1/3ほどには記憶障害や身体の麻痺などの後遺症が出てしまうそうです。

免疫力アップと紫外線対策で「ヘルペス」を予防!

先生曰く、ヘルペスの発症を防ぐのに大切なのは、免疫を下げないようにする事。そのため、適度な運動や食事、睡眠などはきちんととるようにしましょう。また、強い紫外線に当たると、皮膚の免疫が落ちてヘルペスが活性化しやすくなるそうなので、顔を含めた全身に日焼け止めを塗り、紫外線対策をするのがオススメ。たかがヘルペスと侮らず、症状が出た際は皮膚科に相談しましょう。

ヘルペスと「うつ病」の関係

先生によるよ、人に感染するヘルペスウイルスは9種類あるそうです。そのなかで「ヒトヘルペスウイルス6型」の「SITH―1遺伝子」がうつ病の発症に関連しているといわれているのだとか。最近の研究でうつ病患者にはそうでない人に比べてSITH―1遺伝子の量が約12倍も多いことがわかっており、現在SITH―1遺伝子の量とうつ病へのなりやすさについて研究が行われているそうです。

50代に急増中!身体に激痛が走る「帯状疱疹」

帯状疱疹は、身体や顔面など広範囲に発疹が起こります。80歳までに日本人の3人に1人が発症するといわれており、いつ誰がなってもおかしくない病気だそうです。

<帯状疱疹の原因>
帯状疱疹の原因は、ヘルペスウイルスの一種である「水痘・帯状疱疹ウイルス」。子どもの頃にこのウイルスに感染して発症するのが「水ぼうそう」です。水痘・帯状疱疹ウイルスは、水ぼうそうになった時から、全身の神経節の中に潜伏しており、それが活性化して出てくるのか帯状疱疹。そのため、身体の免疫力が低下すると単純ヘルペス1型と同様に潜伏していたウイルスが暴れ出し増殖。神経に沿って帯状の発疹ができてしまうそうです。

<帯状疱疹の症状と後遺症>
個人差はありますが、帯状疱疹による痛みは激痛を伴う事も少なくないそうです。さらに、帯状疱疹によって神経に炎症が起こると、神経が破壊されて痛みが長引く事もあるのだとか。また、痛みだけなく脳炎、角膜炎、顔面神経麻痺など、さまざまな後遺症につながる可能性もあるそうです。

帯状疱疹は早期発見がカギ!

先生によると、帯状疱疹は治療が遅れると発疹が広がり、痕を残しやすいだけでなく合併症が生じやすくなると考えられているのだとか。そのため、早期に発見をして治療を行う事がとても大事だそうです。

<帯状疱疹を見分けるポイント>
(1)前駆痛
帯状疱疹による発疹が起こる数日前には、神経の中でウイルスが増殖し炎症が起きているので、予兆として痛みが出る場合があるそうです。そのため、頭痛や腹痛、腰痛などの一見関係なさそうな症状でも、痛みを感じた部分に発疹が出た場合は帯状疱疹の可能性が高いそうです。

(2)発疹に痛みがある
虫刺されやかぶれの場合はかゆみが出る事が多いですが、発疹に痛みを伴う場合は帯状疱疹の可能性が考えられるそうです。

(3)左右片側で帯状である
左右片側に帯状の発疹が出るのが帯状疱疹の一番の特徴だそうです。ただし、稀に両側に出る場合や、軽症だと発疹が1個しか出ない場合もあるので、初めての場合は気づきにくいのだとか。そのため、区別がつかない場合やよく分からない発疹がでた場合は、皮膚科を受診する事が大切だそうです。

帯状疱疹を予防!50歳から受けられるワクチン

帯状疱疹を予防するため、近年ワクチンが認可されたそうです。先生によると、ワクチンは2種類あり、日本では50歳以上の方が接種する事ができるのだとか。自治体によっては補助が出る場合もあるそうなので、気になる方は各自治体に確認してみてください。

<帯状疱疹のワクチン>
(1)生ワクチン
生ワクチンとは、病原体となるウイルスや細菌の毒性を弱めたものを原材料としたもの。免疫力は高まりますが、抗がん剤や免疫抑制剤などの薬を服用している方は接種できないそうです。

(2)不活性化ワクチン
病原体となるウイルスや細菌の感染する能力を失わせたものを原材料としています。一定期間を空けて追加接種する必要があるそうです。

(2022年8月28日(日)放送 CBCテレビ『健康カプセル!ゲンキの時間』より)

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