竜の未来を担え!高橋周平!13年目二軍キャンプスタートからの逆襲
「とある妄想しがちなファンのドラゴンズ見聞録」
CBCテレビ「サンデードラゴンズ」(毎週日曜日午後12時54分から東海エリアで生放送)を見たコラム
「シュウヘイ!!」本拠地の開幕戦、外野席が一面青いユニホームで埋まる中、ひときわ大きく威勢のいい声が隣の席から聞こえてきた。久しぶりに来た球場でも、一瞬にしてどう応援していたか思い出せる熱くて魂のこもった声援だった。そう感じさせたのは、視線の先にあった高橋周平選手自身にも理由があったように思う。『竜の未来を担え』と旧応援歌で歌われているように持ち合わせた打力の真価を発揮するのを、待ち侘びていたファンたちが、紆余曲折の末、もう一度自力で掴み取った開幕戦のスタメンに滾(たぎ)る何かを感じていた。ポテンシャルの高さもさることながら、マイペースなキャラクターも相まって形容し難い魅力を感じさせる選手。だからこそ、ひたすらに熱い声援に揺るぎない結果で応えることが高橋周平ファンにとってかけがえのない喜びであるだろう。
今回のサンドラでは、そんな高橋周平選手の今シーズンのかける決意や、昨シーズンやキャンプのときに感じていたことなどに迫る。
キャンプ読谷スタートに対しての意外な感情
12年目のシーズンだった去年は、86試合出場、打率.215、打点14、プロ入り後初となるホームランなし。この成績は、サードのポジションを争う石川昂弥選手がホームラン13本を打ちスタメンを勝ち取っていったのと好対照だった。
光山アナ「悔しい思いもあったと思いますが、それまでをどう振り返っていますか?」
高橋周平選手「最初は僕も(試合に)出ていましたけど、勝てない状況が続いた中で(石川)昂弥が出るのは勝負の世界では当たり前のことで。悔しい気持ちもありましたけど、しょうがないなという気持ちではいましたね」
本人も悔しさを受け止めたうえで、結果を求めていこうとした覚悟で挑んだ今年のキャンプは、二軍の読谷スタートとなった。さまざまな思いが過ぎる中で、高橋周平選手はその状況を「楽しかったですね」と言い退けた。
高橋周平選手「去年、一昨年は北谷でやらしてもらったんですけど、若い選手中心で練習していたので、自分の時間を見つけて自分の練習をするって形だったんですけど、(今年も)そういうふうになるのかなと思ったけど、初日から特打とかさせてもらったり、特守もいっぱいやらせてもらったので」
光山アナ「見ていると、非常に声が出るようになっているのかなと感じます。この辺りはどうだったんですか?」
高橋周平選手「(読谷にいた)内野手では一番年上でしたし、僕がだらけてしまうとダメだなというのもありましたし、そういうところも見られているんだなと分かっていたし、ああいう環境を作ってくれたことを、今でも感謝している」
目の前にあることと真摯に一から向かい合って3月12日のオープン戦でようやく一軍出場を決めた。ライバルで若手有望株でもある石川選手の存在が大きい中で、オープン戦の打率.391と力強い数字を残し、開幕スタメンという結果をもぎ取っていった。
勝ち取った開幕戦スタメンで毎回感じるもの
そして迎えた開幕戦では、3番サードでスタメンとしてグラウンドに立ち高橋周平選手の復活の狼煙をあげる猛打賞で、長年温めた期待をついに眼前に鮮やかに広げてくれた。
高橋周平選手「何回やっても開幕戦は緊張しますし、地に足がつかないぐらいの感じで毎年やっているけどもうやるしかないと思った。もう本当に1日1日が勝負なので、切り替えてやってます!」
2019、2020年にゴールデングラブを獲得している守備力も衰えるどころか、磨きがかかっている。バッティングでも守りでも試合を通して多くのファンを沸かせている。
光山アナ「ファンの声援はどう感じていますか?」
高橋周平選手「プレッシャーにも成りつつ有難いなと。どんなシーズンにしたいとか、何もないんですけど、1日1日本当に毎日必死にやるだけだなと。それしか考えていない」
高橋周平選手の一貫した目の前のことに誠実に取り組む姿勢がインタビューから強く感じられた。オフシーズンの自主トレも大島洋平選手率いる大島塾から卒業して、後輩の濱将乃介選手を率いる立場で挑んでいたり、フォームの改造をしたり変化もある中で、その姿勢が強固になっていったのが興味深い。その点について、去年までコーチとして見守っていた荒木雅博氏が「レギュラーであり続けるにはどうしたらいいのか?」という質問にこう答えている。
荒木氏「去年(高橋周平は)バッティングの迷いがあって、色々なことを試行錯誤したんですけど、今年はこれっていうのをひとつ見つけて、自信を持ってやれているのでそれを続けること。あとは、怪我をしないでやっていけば大丈夫だと思います。(打撃フォームについては)いいフォームになっていると思いますよ。ちゃんと回転の中でバットを使えるようになっているので、良くなっていると思います」
1日1日必死にやっている高橋周平選手に飛ぶ声援は、どんどんと大きくなるだろう。更なる高みに向かって、壁が立ちはだかっても、誠実でマイペースに揺るがぬ努力が声援に後押しされ結果につながることを切に願う。
澤村桃