高卒三年目での三割バッターへ 立浪竜の申し子・岡林勇希が胸中を激白!躍進の裏に大島の存在あり
【ドラゴンズを愛して半世紀!竹内茂喜の『野球のドテ煮』】
CBCテレビ「サンデードラゴンズ」(毎週日曜日12時54分から東海エリアで生放送)
きびしくなったCS進出
クライマックスシリーズ進出へ向け、挑戦権を獲得する為に乗り越えなければならないベイスターズ、スワローズ6連戦を戦い終えたドラゴンズ。3位に滑り込むためには最低でも4勝2敗、あわよくば5勝1敗の成績で地元バンテリンドームへ戻って来たかっただけに、ベイスターズから3タテを食らう不甲斐ない結果には全身の力が抜ける思いを感じたものだった。
ここまで今季ベイスターズとの対戦成績は3勝15敗1分。完敗という言葉があてはまるほどの見事な負けっぷりを見せている。勝負の世界に“たられば”は禁物だが、もしベイスターズと五分で戦っていれば、CS争いどころか、勝率も5割あたりをキープしていただけになんともやりきれない気持ちでいっぱいである。
いまだ苦しい戦いが続くドラゴンズ。その中でも一服の清涼剤となっているのが若竜の活躍だ。特にドラ打線を牽引する岡林勇希選手の成長ぶりには目を見張るものがある。そこで今週のサンドラは、ゲストコメンテーターの赤星憲広さんも成長を認める岡林選手へ単独インタビューを行い、今シーズンここまでの奮闘ぶりを振り返ってもらった。
身体のへばりを感じた前半戦
三割を打ちたい!走攻守三拍子を兼ね備えた期待のニューヒーローがシーズン終盤へ大目標を掲げた。そして盗塁数、安打数はチームトップを目指していきたいと意気込む岡林選手。高卒3年目での打率3割という史上9人目の快挙へニューヒーローのバットは止まらない!
二十歳で迎えた2022年。岡林選手は開幕スタメンを勝ち取ると、ジャイアンツと三連戦では14打数6安打、打率.429(うち猛打賞2回)というロケットスタートを見せた。
しかし好調は長くは続かなかった。打率は徐々に下降線を辿り、3、4月は.245、5月は.242という低打率に苦しむ結果に終わった。
岡林「前半戦、打っている時もあれば打てない時もあり、調子の波がすごく激しかったことを覚えています。体力の面に関して、へばっていたのかなと。自分の中で未知の世界というか、(試合出場を続けることを)一度も経験したことがなかったので、メンタル面でも色々とキツかった部分もありました」
それでもなんとか一軍にしがみつくと、夏場にようやくその真価を見せ始める。
好転のきっかけは打撃フォームの改造
6月は月間打率.287と上昇の兆しをつかむと、7月はさらに加速。月間打率リーグトップとなる.375の高打率をマークした。打撃向上の要因となったのは一体何だったのか?
岡林「まずは打ち方というかタイミングの取り方が変わりましたね」
きっかけは打撃フォームの改造。
岡林「立浪監督から“バットの構えを顔の前からちょっと前に構えて”とアドバイスをもらったことと、早めに動き出すタイミングの取り方でバッティングが良くなりました」
岡林選手と同じく二番という打順を任されることが多かったドラゴンズOBの井端弘和さんも岡林選手の成長ぶりを認める。
井端「タイミングを(投手に)合わせられるようになったので、大崩れしなくなりましたよね」
そして今シーズン中、モノにした新たな技術を井端さんはしっかり見抜いていた。
井端「二番バッターとしては足の速いランナーがいた中で相手投手のクイックモーションにも合わせられる技術を習得しましたね。これは間違いなく打者にとって一番(高度)な技術。そこがうまくなったので安定した成績を残しているのだなと思います」
シーズン中に習得した技術も日々たゆまぬ努力と練習で培った証と岡林選手は振り返る。
岡林「不調時は“このまま終わる”と思いました。ただ“このままではいけない”と、自分のダメな部分は練習で克服するしかないとバットを振りました。ダメだった時期からここまで成長できたので、すごく良い経験をしたと思っています」
大島に追いつけ追い越せ
急成長の要因はもうひとつ。それはドラゴンズが誇るヒットメーカー、大島洋平選手の存在だ。
岡林「自分は大島さんとタイプが似ていたので参考にしました。試合中でも考えながらやっている姿を近くで見れますし、自分の状態が悪くなった時はアドバイスを聞いたりとかしています。あとは打席の中での配球の読みを聞いて日々勉強しています」
そして忘れてはならないのが、俊足強肩を活かしたディフェンス。立浪監督も太鼓判を押す。
立浪監督「おそらく近い将来、ゴールデングラブ賞を獲れる外野手になるかと思っています」
守備の成長を一番感じているのは誰でもない岡林選手本人だ。
岡林「プロ入りしてから守りが一番3年間で成長したのかなと。1年目は打球の追い方だったりとか、本当に下手でした。その時と比べれば、すごく成長したと思います」
目標の三割達成へラストスパート
9月4日終了時点で補殺数7はリーグトップ。8月7日、バンテリンドームで行われたベイスターズ戦ではビッグプレーが二度も飛び出し、好投を続けていた髙橋宏斗投手を救った。
補殺だけではなく、安打数、三塁打数、そして盗塁数もチームトップの座を走り続ける。今やチームを代表する顔へと成長が止まらない岡林選手。
高卒三年目での三割バッターへ。この秋、偉大な記録の目撃者となれることをドラゴンズファンは願っている。
岡林「三割は目標。頑張って打ちたいと思います」
岡林選手には立浪チルドレンの代表格として、いつかミスタードラゴンズの称号が与えられる存在になれるよう、これからも日々精進し、走攻守に磨きをかけていってもらいたい。
がんばれドラゴンズ!燃えよドラゴンズ!
竹内 茂喜