「平成ナゴヤ球場の逆転劇」ドラゴンズ・サヨナラ男列伝!
2019年3月7日。かつての中日の本拠地・ナゴヤ球場で、一軍のオープン戦が行なわれる。平成最後の年に行なわれる、ナゴヤ球場での一軍の試合を楽しみにしているファンも多いだろう。
平成×ナゴヤ球場
ナゴヤ球場が本拠地としての役目を終えたのが1996(平成8)年。平成になってからドラゴンズがナゴヤ球場で戦ったのは8シーズン。残念ながら優勝は一度もなかったが、それでも昭和の時代に劣らぬドラマティックな試合が数多く生まれた。
中でもファンを熱狂させるのがサヨナラゲーム。平成に入ってからナゴヤドームに移転するまでの8年間、中日はナゴヤ球場で44度のサヨナラ勝ちを収めた。
平成のナゴヤ球場、サヨナラ男は誰か。
平成に入ってからナゴヤ球場でサヨナラ打を放った選手をランキング形式で紹介する。
【6位タイ 中村武志、山崎武司、仁村徹(2本)】
サヨナラ打2本で6位タイにランクインがこの3人。
中村の一発は、今なお語り継がれる試合である。
1991年7月19日の巨人戦。中日は投手陣が崩れ、7回が終わって0-8と敗色濃厚だった。しかし8回、ライアルのタイムリーなどで追い上げ4点差とすると、なおも満塁で中村が代打で登場。木田優夫から、レフトスタンドへ同点の満塁ホームランを放って試合を振り出しに戻すと、延長10回。再び中村が、水野雄仁からサヨナラホームラン。巨人を相手に8点差をひっくり返す、大逆転勝利を収めた。
現役生活では通算7本のサヨナラ打を放った山崎。本拠地をナゴヤドームに移したあとの1999年9月26日、阪神戦での逆転サヨナラ3ランはファンの記憶に残っているだろう。
その山崎の初のサヨナラ打は、1992年8月19日の広島戦。0-0で迎えた9回、2死走者なしからライトスタンドへ運んだ。中日・山本昌、広島・川口和久の息詰まる投手戦に決着をつけるホームランだった。
いぶし銀・仁村徹の初めてのサヨナラ打は、プロ11年目の1994年。ペナントレース終盤、9月23日の広島戦だった。1点ビハインドの9回、立浪が佐々岡真司からタイムリーを放って同点に追いつくと、満塁のチャンスで仁村がライト前へサヨナラヒット。
首位・巨人を猛追する中日は、このサヨナラ勝ちで4連勝。ここから連勝を9に伸ばして巨人を捕らえ、伝説の10.8決戦へとつながった。
【4位タイ 彦野利勝、アロンゾ・パウエル(3本)】
3本のサヨナラ打を放ったのが、彦野とパウエル。
彦野のサヨナラ弾は、痛々しい記憶と共に蘇る。1991年6月18日の大洋戦。延長10回、盛田幸妃からサヨナラ本塁打を放ったものの、一塁をまわったところで転倒。靭帯を断裂する大怪我を負った。本塁を踏んだのは代走に送られた山口幸司。サヨナラホームランで代走が送られたのは史上初のことだった。
1995年の開幕戦は、パウエルのバットで決着がついた。あの「10.8決戦」の”次の試合”。雪辱を期して臨んだシーズンの幕開けは、中日・今中、阪神・湯舟の投げ合いとなった。共に譲らず、前年の死闘の様相そのままに延長戦に突入。延長14回、パウエルのサヨナラヒットで試合が決まった。
ナゴヤ球場最後のサヨナラヒットを打ったのもパウエルである。1996年10月5日の広島戦。逆転優勝へ負けられない中、延長10回、佐々岡からサヨナラヒット。最終的には、翌日のナゴヤ球場ラストゲームで巨人に敗れて涙を呑むものの、ファンの望みを繋ぐ一打だった。
【2位タイ 落合博満、大豊泰昭(5本)】
サヨナラ打5本。勝負強さを見せたのが、この二人。
落合のサヨナラ3ランといえば、1989年8月12日の巨人戦だろう。ノーヒットノーラン目前の斎藤雅樹から放った逆転サヨナラ3ランは伝説となっている。
また、大洋・佐々木主浩からは1991年に逆転サヨナラ3ラン、1992年にはサヨナラヒットと、2本のサヨナラ打を記録。ちなみに落合は中日在籍時、佐々木に対して打率5割4分2厘(24打数13安打)、2HR、11打点と滅法得意にしていた。
平成が始まるのと同じくして、プロのキャリアをスタートさせた大豊は、入団から5年連続でサヨナラ打を記録している。1991年9月23日のヤクルト戦は、試合前に星野監督が辞意を表明。その試合で大豊は、最終回に岡林洋一から逆転サヨナラ3ランを放った。負ければ3位転落となる試合で、ナゴヤのファンの前で意地を見せた。
【1位 立浪和義(6本)】
平成のナゴヤ球場サヨナラ男、堂々の1位はミスタードラゴンズ・立浪和義。ナゴヤ球場では、サヨナラホームランを2本、サヨナラヒットを4本放っている。
1995年には1シーズンで2本のサヨナラホームラン。6月11日の巨人戦で斎藤雅樹からサヨナラ2ラン。9月6日の阪神戦では延長11回、古溝克之からサヨナラホームラン。この試合では6回にも同点3ランを放っており、4安打4打点の大暴れだった。
ナゴヤドームに移ってからもサヨナラ男は健在で、引退までに通算13本のサヨナラ打(サヨナラ本塁打5本、サヨナラ安打8本)を記録。2002年と2006年には、サヨナラ満塁ホームランも放っている。
数々のドラマが生まれたナゴヤ球場で、平成最後の一軍ゲーム。
オープン戦ではあるが、楽しみに待っているファンを魅了する試合を期待したい。
【CBCアナウンサー 榊原悠介
中日ドラゴンズ検定1級。日付からドラゴンズの過去の試合を割り出せる特技を持つ】