目指すは“柳が投げたら絶対勝つ!” 先輩川上憲伸から“エースの心得”を伝承!
「【ドラゴンズライター竹内茂喜の『野球のドテ煮』】
CBCテレビ「サンデードラゴンズ」(毎週日曜日午後12時54分から東海エリアで生放送)を見たコラム」
苦しい時こそ明治魂!エース道を伝授!
ここ一ヵ月ほど勝ち星から遠ざかっているが、間違いなく今季のドラゴンズ投手陣を牽引したのは柳裕也で間違いない。8/18現在、20試合に登板し、9勝5敗、防御率3.31。奪三振率は7.83を記録。うち6勝がチーム連敗ストップの値千金星。前半戦の投げっぷりの良さはまさに“柳が投げれば勝つ”と、多くのファンの心をつかんだことだろう。
後半戦になってもなかなか上昇しないチーム状況、相次ぐ主力選手の戦線離脱はもちろんのこと、5試合勝てない登板が続く柳の状態が気になるところ。今週のサンドラは、明治大の先輩であり、エースとしてドラゴンズの黄金時代を支えた川上憲伸さんが激励を兼ね、可愛い後輩へエース道を伝授した!
昨年とは異なる“3つの変化点”
まず今季順調に成績を伸ばしたことの要因について柳は、二段モーションはもちろん、ストレートが強く投げられていることを一番に挙げた。そしてまたインコースへしっかり決めていることも勝てる理由のひとつとして自身の投球を分析。川上さんも今季の彼の活躍については、柳が挙げた内容同様、強いストレート、そしてインコースへの投球、落ちる球を存分に活かし、まさに“勝てるピッチャー”の投球をしていると評価した。
急成長を遂げた柳について、川上さんは昨年までと比較し、3つの変化点を言い表した。言葉を換えれば、『エースへの歩み』について一点一点、柳へ確認をした。
ガッツポーズはカッコよく
まずは今シーズン、喜怒哀楽が前面に出ているように見える点。柳自身、自然に出ているとの返答に、満足顔の川上さん。自然に出ることイコール、野球に集中している証拠と断言。
『ガッツポーズがカッコ良くなった!見ている方がまさに鳥肌立つような感じ。絶対このまま続けて欲しい!これだけは先輩として言いたい!』
星野仙一さんから川上憲伸さん、そして柳裕也へ。明治魂溢れるガッツポーズの大切さ、重要さを改めて伝授した。
自らを楽にさせるバッティングの向上
また今季のバッティング向上について川上さんは高評価。
『エースという存在になっていくためにはバッティングは不可欠。打てばどれだけ自分自身を楽にさせてくれるか、また乗せてくれるか』
柳もバッティングの必要性を感じ、今年はかなり練習をこなしているという。ピッチャーの気持ちとして相手のピッチャーに打たれたら、そこから崩れるケースが多い。ピッチャーも立派な9番目のバッター。競っている試合こそ、その一打が効いてくるというものだ。
川上さん自身も現役時代の2004年5月15日のベイスターズ戦、両チーム無得点で迎えた7回、レフトスタンドへ2ランを放ち、投げては9回無失点の完封勝利を達成した経験を持つ。投打で勝利に貢献、まさにエースとして本領発揮の働きといえる。まだまだ川上さんと比べると迫力が欠けるものの、是非ともナゴヤドームでの一発を期待したいものだ。
自分自身の判断で野球をすることの大切さ
3点目の変化点には柳も耳にして思わず苦笑。それは…
『ボテボテのゴロを捕って、暴投したことがあったでしょ?調子に乗ったのが、すごくいいと思いましたね!』
ミスプレーに柳自身も“ほめられるとは思わなかった”と正直に返答。川上さんの本心はさらに続く。
『マウンド上におけるフィールディングの“適当感”が逆にいい。というのは、去年までは固い野球をしようとし過ぎているように見えた。たとえばバント処理の時、キャッチャーが“ファースト!”と指示していても、自分がいけると思ったら、セカンドに投げるとか、自分自身の判断で野球をする。そういう余裕を感じれば、より一層ピッチングに集中できると思う』
バッティング同様、フィールディング向上が我が身を助けるかと思いきや、精神論へ導いていく。エース学は深い!
相手エースに勝ってこそ本当のエース
エースといえば、相手チームとのマッチアップに勝利してこそ、自らの価値を高めていく。川上さんは柳へライバルの存在について質問した。選手名こそ柳の口から出なかったものの、はっきりした真意を表した。
『今年オールスターに出たんですけど、色々なチームのエースがいて、超一流のピッチャーと肩を並べられるように、超えて行けるようになったらいいなと思いました』
現在防御率トップのベイスターズ今永投手について、“彼に負けたくない?”との、川上さんの問いにきっぱりと柳は返答。
『負けたくないですね!』
柳が投げれば絶対勝つ
今やドラゴンズに欠かせない存在となった柳。今、どんな思いでマウンドへ上がり、どんな未来を描いているのか?
『 (チームが)連敗して登板機会が回ってくることが多かったので、“俺しかいない!”という気持ちでマウンドへ上がっていた。柳が投げる時は勝つと、多くの人に思ってもらえるようになって、その期待に応え、勝っていきたい』
最後に、個人タイトルを獲るとしたら何が獲りたい?との川上さんからの質問に柳はきっぱりとこう答えた。
『最多勝を獲りたいです!』
エースが投げれば絶対勝つ。ファンはその姿に期待し、球場へ足を運ぶ。その想いに応えてこそ真のエース。川上さんはその重圧をエネルギーに代え、当時首位争いしていたジャイアンツやタイガースばかりと対峙していた。今、柳は川上さんら先輩たちが通った“エース道”のスタートラインへ立ったばかりだ。これからの活躍次第で、17番こそドラゴンズのエースナンバーと多くのファンから言ってもらえる日がやってくる。また多くの子どもたちが17番をつけたユニホームを着て、柳のピッチングを楽しみにナゴヤドームへ訪れることだろう。そうなった時、再び強いドラゴンズが戻ってくることは確実だ。
柳が投げれば絶対勝つ。うん!響きよしっ!
がんばれドラゴンズ!燃えよドラゴンズ!
(ドラゴンズライター 竹内茂喜)