ドラゴンズCS進出へ向け、落合元監督緊急提言! 巻き返しのチャンスは“あると思いますよ”
「【ドラゴンズライター竹内茂喜の『野球のドテ煮』】
CBCテレビ「サンデードラゴンズ」(毎週日曜日午後12時54分から東海エリアで生放送)を見たコラム」
連敗を脱出!勝負の夏を迎えたドラゴンズ
明けない夜はない。そして止まない雨はない。
その言葉は本当だった。
長かった連敗がようやく8で止まった。
まさかまさかの8連勝後の8連敗。
それはまるでジェットコースターのような戦いぶり。しかしこの一勝は酷く淀んだ空気を一掃する大きな勝ち星になったのは間違いない。多くのドラゴンズファンはもちろんだが、監督、コーチ、そして選手たちの多くもきっと安堵したことだろう。ただ既にシーズンは折り返し地点を過ぎ、およそ2/3の93試合を消化。一時は2位タイまで躍進したものの、気づけばAクラスの3位広島まで6ゲーム差の借金9(7月29日現在)。勝負の夏を迎えるドラゴンズ。巻き返しのチャンスはあるのか?かつてチームを4度のリーグ優勝、そして53年ぶりの日本一にも導いた名将、落合博満元監督に今後の展望を聞いた。
抑え不在に一言“鈴木でしょ”
これから体力が消耗する厳しい夏場を迎え、激しいAクラス争いを戦い抜くには万全なる投手陣を揃えたチームが勝ち残るのは明白な話。なかでも絶対的なクローザーの存在が勝利に直結するのは疑う余地もないところ。切れ味鋭い落合節が炸裂した。
『外から見ていて、鈴木に何を期待しているの?彼の力以上のモノを期待し過ぎているのでは。現状の力では点を取られることが分かりきっているのに、何で点を取られたら文句言うのかな』
さらにチームとしての抑えという役割をどう考えているのかという点にも切り込む。
『マルティネスも春先からシーズン途中に抜けることは分かっていたこと。シーズン途中で(クローザー問題を解決する)時間はないだろう。いいじゃん、鈴木で。あと誰がするの?いる?』
絶対的守護神だった岩瀬も起用当初は新米クローザー。何点取られてもいいから、1点のリードを守って帰って来いよと、伝えていたという。
何度も同点にされたり、ひっくり返された試合も幾度となくあったはず。しかし落合氏はきっぱりと言い放つ。
『何でドキドキするの?クローザーは最後の砦だもん。これが崩れたらアウトですよ。そこまでの信頼をしているから何点取られたっていいのよ。全部勝とうとは思っていないって』
ベンチに座る将は岩瀬を信じ、マウンドへ送る。そしてその信頼をいかに継続させるかを考え、投げ続けた。使う身、そして使われる身それぞれ、その“覚悟”があってこそ、クローザーという重責が務まると言いたかったのではないだろうか。
浮上のカギは小笠原!そして根尾の評価は?
また落合氏はチーム浮上のカギを握るのは小笠原慎之介を指名。彼の潜在能力の高さを買い、ここ数年ケガで満足に投げられなかった苦労が良い財産になればと明言。絶対数の足らない先発陣の穴を埋め、エース級の活躍を見せることができれば、CS進出への道もぐっと開けてくる。
そしてドラゴンズファンとすれば気になるのはスーパールーキー根尾の評価だろう。落合氏は一軍起用について時期早々との考えのようだ。
『まだ1年目だよ。んなもう、打てるわけねぇーよ、あのバッティングで。フフフ。ちょこっと見たけど、この子は打てないと思ったもん。現状ではね』
と、バッサリ。ただ助言も忘れない。
『ただひとつ言えるのは“教えてくれる人のことを真に受けるな”ということだね。守備は教わっていい。つぶれていった選手を何人も見ているから。(自分のスタイルを)自分で見つけりゃいいんじゃない?』
そんな冷たいこと言わないでよ、落合さん(笑)。ウチの期待の一番星。こそっと教えてあげてよと思ってはみるが、しかしそれも根尾本人を惑わす機会となるわけか。根尾よ、自分を信じて精進するがよい!
求めるのは勝利の確率を高める野球
8連敗中、1点差負けがなんと5試合。あと一歩の試合を何度も落とし、また大量リードを追いつかれ、逆転負けを喫し、ここまで何度も悔しい思いを味わってきた。そんな戦い方にこそと落合氏は自論を展開。
『5、6点差が離れていたら、走ってはいけない、送りバントはいけないって誰が決めたの?痛い目に遭っているんだよ、みんな』
実際6月16日のマリーンズ戦、5点リードした9回無死1塁。バントで送ることをせず、強行に出てダブルプレーでチャンスを潰した。その裏、6失点を喫し、サヨナラ負けという苦汁を飲んだ。
『どこも経験しているのに、でも手を打たないでしょ?それが分からない。何にビクついているのか。勝たないといけないという大前提があって、石橋を叩いて渡る、それを放棄しているんだから。負ける試合が出てきても何らおかしくない』
この日ゲストコメンテーターで登場した井端氏も同意したこの考え。相手をいかに早く諦めさせるか。そのためには一点一点積み重ねていく。大量リードに周りはセフティーリードというが、現代野球ではそんな考え方は通じないと、落合氏はきっぱりと言い切る。
28日のベイスターズ戦はどこか常勝落合ドラゴンズの野球の匂いを感じたものだ。初回ビシエドの先生犠牲フライから始まり、3回には無死1、3塁でビシエドのダブルプレーの間の得点、そしてなおも2度の犠牲フライでの得点。タイムリーヒットなしでの総得点で勝利を挙げる。派手好みの野球ファンには物足りない内容かもしれないが、勝つことが最大なるファンサービス(落合氏の明言)と信じる私は、勝つために各々選手がやるべくことをしっかり行う野球スタイルが続いていけば、必ずやまた連勝モードに突入してもなんらおかしくない話だ。
『今年のセリーグを見ていたら、どこでも連勝連敗しているわけだから。連勝がないところが下にいるわけでしょ?このまま順調にいく保証はどこにもない。ドラゴンズの巻き返しのチャンスはあるかって?あると思いますよ。やりようによっては』
最後に問いを残すあたりさすが落合氏だ。
まるで、
『あとは自分で考えなさい、剛。お前ならやれるって』
そんな愛の言葉が聞こえてきそうだ。
CS進出へ何が何でも勝ち進め!
がんばれドラゴンズ!燃えよドラゴンズ!
(ドラゴンズライター 竹内茂喜)