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「世界のホームラン王」からお墨付きをもらった若竜・石川昂弥がスゴイぞ!

「世界のホームラン王」からお墨付きをもらった若竜・石川昂弥がスゴイぞ!

沖縄の読谷球場で場外に飛んでいく胸のすくような打球を見ていると、ふと「お墨付き」という言葉が浮かび、思わず笑みが浮かんでしまう。権威や地位のある人から与えられた“証明書”。そう、“彼”は「お墨付き」をもらった選手なのだ。それも日本プロ野球史に残る大打者から。
“彼”すなわち、ドラゴンズのドラフト1位ルーキー石川昂弥(たかや)選手である。

王貞治さんの石川昂弥獲得戦略

「皆さんをだましてでも、と思ったんだけど」
2019年10月、プロ野球ドラフト会議直後の福岡ソフトバンクホークス、王貞治会長の言葉である。指名した選手のことではなく、抽選で外した選手のことを最初に話し始めるほどに、欲しかった選手だったのであろう。愛知県・東邦高校のスラッガー石川昂弥選手のことだ。
日本一を続ける最強球団ソフトバンクホークスは、このドラフトで、球界注目の投手・佐々木朗希投手(岩手・大船渡高校)の指名が確実と予想されていた。実際、そう思わせる発言が球団幹部からも度々あった。このため、石川選手を1位入札した瞬間、ドラフト会場が大きくどよめいた。
結果は地元のドラゴンズが3球団競合の抽選に勝って、石川選手を獲得したのだが、そこで冒頭の王会長の言葉である。実は石川選手の指名はかなり早い段階、夏の前には決めていたというから驚きである。その上で周囲を煙に巻いたのだ。
通算本塁打868本の世界記録を持つ“世界のホームラン王”も認めた打者、その打者は背番号「2」のドラゴンズブルー姿で元気にキャンプを過ごしている。

ホームラン連発に感嘆の声

石川選手のプロ初キャンプは2軍からスタートした。
初日のフリー打撃練習、石川の打撃が早くも爆発した。仁村徹監督をはじめとする2軍の首脳、球団関係者、つめかけた大勢のファンの注目の中、57スイングで実に15本の柵越えだった。
背番号「2」の勢いは止まらない。3日目の初シート打撃では、三塁線を破るツーベース。内角の球をうまく肘を使っての快打は、1軍のキャンプ地・北谷球場から視察に来ていた与田剛監督の目の前での披露だった。ドラフト会議で自らクジを引き当てた期待の選手だけに、与田監督も嬉しかったに違いない。石川選手は続く翌日のシート打撃でも、今度は右中間にツーベースを放った。さらに2月6日のフリー打撃では59スイングで柵越えはほぼ半数の28本。文句なしである。
石川選手は練習試合にも早々に登場する。どんなバッティングを見せてくれるのか。
ドラゴンズファンは噛みしめる「あの王さんが欲しかった打者なのだから」と。
続いてしみじみと喜ぶ「ドラゴンズに入ってくれて良かった」と。
そして心から期待する「早めに1軍で起用してほしい」と。新時代へ向かうためにも。

根尾昂2年目の決意と猛練習

「サンデードラゴンズ」より根尾昂選手(C)CBCテレビ

2軍キャンプで輝く背番号「2」に負けじと、1軍キャンプでは背番号「7」が躍動している。根尾昂選手である。
石川選手と同じように、高校時代から全国的な注目を集めてドラゴンズ入りした。ルーキーイヤーは自主トレ中のけがもあって、満足な春季キャンプが送れなかっただけに、とにかく練習、練習、練習の日々である。
守備は、外野のセンター、内野のショートとセカンドと多彩なポジションをこなしている。打つ方もシート打撃の後に屋内練習場で個別のティーバッティングなど猛特訓、本人がシーズンオフのCBCテレビ『サンデードラゴンズ』で、
「守れるだけでレギュラーを獲れるとは思っていない。守れて打てないとドラゴンズのレギュラーにはなれない」
と力強く語ったことを、まさに自ら実践しているキャンプと言える。

こんなグッズを作ってほしい!

根尾昂選手と石川昂弥選手、2人の名前に共通する漢字は「昂」である。「あがる」または「日がのぼる」という意味を持つ。
このキャンプ、ドラゴンズ選手グッズは前年を上回る勢いで売れているそうだ。
真ん中に大きく「昂」の一文字、その両サイドに「7」と「2」の背番号と2人の名前。もしこんなフェイスタオルがあったら絶対に購入するのに、と思い描く2020年キャンプ序盤である。若竜の台頭でドラゴンズに新たな“日が昇る”時が心から楽しみだ。 

【CBCテレビ特別解説委員・北辻利寿】

※中日ドラゴンズ検定1級公式認定者の筆者が“ファン目線”で執筆するドラゴンズ論説です。著書に『愛しのドラゴンズ!ファンとして歩んだ半世紀』『竜の逆襲  愛しのドラゴンズ!2』(ともに、ゆいぽおと刊)ほか。

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