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ドラゴンズ「交流戦」は苦手ではない!先入観の落とし穴とは?

ドラゴンズ「交流戦」は苦手ではない!先入観の落とし穴とは?

ドラゴンズファンの友人がつぶやいた。
「まもなく交流戦が始まるなあ。ドラゴンズ、交流戦は弱いからなあ」
間髪入れずに言い返した。
「違うよ。ドラゴンズは交流戦、決して苦手ではないよ。通算成績も実は・・・」

交流戦はパ・リーグが圧倒

2005年(平成17年)に始まったプロ野球のセ・パ交流戦も15年目を迎えた。
12球団はそれぞれ6月4日から23日までリーグを越えた18ゲームを戦う。プロ野球の再編問題をきっかけに始まった交流戦も今ではすっかり定着した。ファンとしてはいつもと違った相手とのゲームに興味もあるが、一方で少々興味をそぐ形で定着してきているのが両リーグの対戦成績である。圧倒的にパ・リーグが強い。過去14年でセ・リーグが勝ち越したのは2009年だけで、あとはすべてパ・リーグが勝ち越している。昭和の時代は「人気のセ、実力のパ」などと言われていたが、今ではパ・リーグも人気球団が多く「人気もパ、実力もパ」とも言える。このところの交流戦を見る限り「頑張れ!セ・リーグ」とハッパをかけたくなる。

実はドラゴンズは大健闘

セ・パ交流戦の通算成績(2005年-2018年)(C)CBCテレビ

さて中日ドラゴンズである。14年間の通算成績は163勝163敗10分で、勝率は5割ジャスト。1年前までは勝ち越していたのだが、2018年の昨シーズンで貯金をなくしてしまった。それでも健闘と言える。
というのは、12球団の通算成績で上位6位に入っているセ・リーグのチームは、6位のドラゴンズと4位の讀賣ジャイアンツだけしかないからである。阪神8位、ヤクルト9位、広島11位、横浜DeNA12位と交流戦を苦手とするセ・リーグの中ではよく戦っている。強いのだ。ちなみに通算の1位は福岡ソフトバンクホークス、勝率6割を唯一超えている。やはり強い。※通算成績表参照
そんな頑張っているドラゴンズなのだが、ファンの間でも「交流戦は苦手」と思ってしまうのは、やはり過去からの「先入観」なのだと思う。

先入観と誤解の真相とは?

ドラゴンズが落合博満監督の下で連覇をめざした2005年は、交流戦で15勝21敗と大きく負け越し、ペナントレース失速のきっかけになった。交流戦元年のことだけに、その時の“悪夢”がファンの脳裏に焼き付いてしまった。
記憶に新しいのは昨シーズン2018年である。7勝11敗と4つの負け越し。
オネルキ・ガルシア投手(現・阪神)が福岡ソフトバンクホークスを完封したり、松坂大輔のコンディション不良で急きょプロ入り初先発した藤嶋健人投手が埼玉西武ライオンズ相手に初勝利を挙げたり、好ゲームはあった。
しかしその一方で、松坂投手が6回無失点に抑えていたオリックスバファローズとのゲームでリリーフの鈴木博志投手が8回に打ち込まれるなど逆転負けが多かったことや、北海道日本ハムファイターズに13対2とメッタ打ちされて大敗したゲームなど、ファンの心に深い傷として残るゲームが、負け越し4つという成績と共に「交流戦は苦手」と思ってしまう原因になっているのであろう。その傷はまだ生々しい。先入観とはそういうものだ。

新首脳陣の采配に注目!

今季のドラゴンズベンチは、東北楽天イーグルスで昨シーズンまで2軍の投手コーチだった与田剛監督をはじめ、伊東勤ヘッドコーチ、村上隆行打撃コーチ、そして阿波野秀幸、赤堀元之両投手コーチら、これまで以上に、パ・リーグで活躍した顔ぶれが多い。
けが人が後を絶たない現在のドラゴンズだが、若手を中心に新鮮な戦力が活躍している。パ・リーグ野球に精通している首脳陣がどんな采配をふるって戦うのか。
「ドラゴンズは交流戦に強い」という先入観ではない“事実”を胸に抱いて、いよいよ始まる戦いを応援したい。

【CBCテレビ論説室長・北辻利寿】

※中日ドラゴンズ検定1級公式認定者の筆者が“ファン目線”で執筆するドラゴンズ論説です。著書に『愛しのドラゴンズ!ファンとして歩んだ半世紀』『竜の逆襲  愛しのドラゴンズ!2』(ともに、ゆいぽおと刊)ほか。

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