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ドラゴンズ開幕ダッシュならず!「勝ちは劇的、負けは悲惨」不思議なゲーム続く

ドラゴンズ開幕ダッシュならず!「勝ちは劇的、負けは悲惨」不思議なゲーム続く

期待した開幕ダッシュは今季もできなかった。2021年シーズン、中日ドラゴンズは9試合を戦って3勝4敗2分、わずか1つだが借金生活に足を踏み入れてしまった。与田剛監督勝負の3年目、開幕3カードから見えてきたものは?(数字は2021年4月5日現在)

勝ち試合は劇的、負け試合は悲惨

強いのか弱いのか、不思議なゲームが続いている。
開幕戦の広島東洋カープに鮮やかな逆転勝ち。続くカードの讀賣ジャイアンツ、そして阪神タイガースとそれぞれ1勝を挙げたが、このいずれも逆転勝ち。往年の“粘り竜”が戻ってきたと、ドラゴンズファンは歓喜した。しかし、それが続かない。勝ち試合の素晴らしさの一方で、負け試合の多くはあまりにひどい。この落差に戸惑ってしまう。
真っ先に思い浮かぶのはやはり「打てない」ことだろう。勝負どころで「あと1本が出ない」打線は、前年までとほとんど変わっていない。ここまでのチーム打率.215、チーム得点24、いずれもリーグ最下位どころか、12球団でも最下位である。大島洋平選手が開幕から9試合連続のヒット、ダヤン・ビシエド選手も高い得点圏打率をキープしているが、チャンスでの勝負強い1本が出ていれば、勝敗の数は入れ替わっていたはずだ。

根尾よ再びスタメンをつかみ取れ!

「サンデードラゴンズ」より根尾昂選手(C)CBCテレビ

勝負の3年目と本人も位置づけて、開幕スタメンを勝ち取った根尾昂選手だが、ここまでは期待外れである。本拠地バンテリンドーム ナゴヤでのジャイアンツ戦で逆転の決勝タイムリーを打ち、プロ初のお立ち台ヒーローインタビューにも登場した。この瞬間のドームの大歓声、そして当夜の全国ニュースでどの局も紹介していたように、やはり“全国区”の選手である。
しかしここまで25打席でヒットはわずか3本、打率は.136。これではスタメンで出場し続けることはできないだろう。根尾選手以外の有望な若手も1軍ベンチにいる。ここ2試合のスタメン落ちはやむを得ない。チーム1の練習量を誇る根尾選手のことだから、毎朝毎晩、打撃練習に汗を流していることだろう。過去2年と違ってチャンスは与えられ出場機会も得たのだから、あとは自分でつかみ取るしかない。
ただ、特筆すべきは、根尾選手の3安打とドラゴンズの3勝が一致していることである。「根尾が打てば、チームも勝つ」。若干20歳にして、そういう星の下にいる選手ということだろう。

先発投手の奮起が待たれる

「サンデードラゴンズ」(C)CBCテレビ

質量を誇るリリーフ陣は好調だ。ライデル・マルティネス投手の合流が遅れているものの、「抑えの切り札」の座は祖父江大輔投手がしっかりと守っている。前評判も高かったが、
鈴木博志投手の力強い復活、藤嶋健人投手の安定感、又吉克樹投手の球のキレ、次々と名前が挙がるほどの充実ぶりだ。
しかしその一方で、逆の意味で際立つのが先発陣である。沢村賞の大野雄大投手と6年目の飛躍にかける小笠原慎之介投手の両左腕はゲームを作っているが、9試合戦って、先発投手の誰にも勝ち星がつかない“異常事態”が続く。柳裕也投手、そして初の開幕マウンドに立った福谷浩司投手も手応えある投球を見せ始めたので、いずれ先発投手たちが白星を挙げる日も近いはずだが、シーズンは長い。開幕から続くリリーフ陣のフル回転はできる限り回避したい。梅津晃大とジャリエル・ロドリゲス、先発が期待されるこの2投手の1軍合流が待ち遠しい。

野球が変わった!「9回延長なし」

新型コロナ禍2年目のシーズンは「延長戦なし、9回打ち切り」という特別ルールが設けられた。観客上限1万人に制限されたバンテリンドームのスタンドで2試合を観戦したが、まったく別物の野球を見せられているような感覚だった。ベンチの打つ手が早い。残るイニング数によっては、先発投手も早い回で交代する。出塁した4番打者にも躊躇なく代走が出る。監督はじめベンチ采配の見せどころである。自軍ベンチの戦力を知り尽くした上で、先を見据えてのゲーム運びが求められる。シーズンが進むにつれて、この「采配力」の差ははっきりと見えてくるはずだ。2軍、球団によっては3軍まで含めた、チーム保有戦力全体をいかに1軍の指揮官が掌握しているかも大切である。選手の入れ替えにも注目したい。
「延長戦なし、9回打ち切り」試合を球場観戦した感想を述べると、実は意外にすんなりと受け止めることができた。勝敗が決着するまでとことん延長戦を戦うルールならともかく、これまでも打ち切りルールはあった。引き分けもあった。ならば9回までを目一杯戦うことも良い。「先手必勝」の緊張感も実は新鮮だった。他球団ではコロナ感染した選手たちが出始めているが、シーズンが無事に進んでくれることを願ってやまない。

「今は辛抱」と与田監督は語る。もちろん、シーズンは始まったばかりである。ただ、10年ぶりのペナント奪還をめざすために欠かせないのは、勝ちにこだわる“勢い”である。竜の元気な波乗り姿に期待したい。開幕“第2ラウンド”の猛ダッシュを待つ。

【CBCテレビ特別解説委員・北辻利寿】

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