必要なのは『野球を知ること』福留孝介がドラゴンズにもたらす刺激
「とある妄想しがちなファンのドラゴンズ見聞録」
CBCテレビ「サンデードラゴンズ」(毎週日曜日午後12時54分から東海エリアで生放送)を見たコラム
本拠地開幕カードも終え、9回打ち切りというルールの中でつぎ込める戦力が多くなったため終盤まで緊張感の続く試合が増えている。そんな今年の戦いで印象的なのはそこに到るまでの先発ピッチャー陣の辛抱強い投球だ。登板後のコメントを見ても、援護がなかったことに対してではなく純粋に投球内容を吟味するような談話が多く試合をどう作り上げるかが鍵となることを意識していると感じる。4月4日の試合では、先発の小笠原慎之介投手が5回2/3を投げ2失点と先発投手の責任は果たしつつも援護がなく黒星を喫してしまった。9試合終えて未だ先発投手に勝ちがついていないが、ローテ二巡目の投手陣は前回の登板から改善の対策とその結果が出始めているところ。打撃陣の調子も上がってこれば、自ずと安定する気配もある。そんな打撃のキーマンとなる福留孝介選手のインタビューと、川上憲伸氏が提言する先発陣の課題に今週のサンドラは迫っていく!
福留孝介「野球を知ること」がドラゴンズに必要なこと
福留孝介は、14年ぶりの復帰となるドラゴンズを2軍の読谷キャンプからスタートさせた。43歳という年齢も考えるとベテランのスロー調整となるところを、初日から若手に引けを取らないキレを発揮していた。ドラゴンズOBの吉見一起、井端弘和、川上憲伸、岩瀬仁紀も口を揃えて出るからにはレギュラーを本気で取りに来ると語っている。しかし福留本人はこう話す。
「それはチームの流れであったり、状態であったりいろんなことが起きるので、その中で言われた時に自分のベストを出せるようにしておくということの方が最初から出るとか、後から行くとかっていうことを考えるよりも大切かなと思っています。」
そう語る通り、練習試合やオープン戦で四球や犠牲フライを含めた場面に適応した野球を実践。その結果を出した上で、チームメイトにベンチでアドバイスをしているシーンも見受けられた。
そんな福留孝介が今のドラゴンズに必要だと思うことを語った。
「野球を知ることじゃないですか。サインが出る前に選手一人一人が勝つためにはどうしたらいいかということを追求して考え出したらもっともっと上に行けるのかなと思います。」
黄金時代を築いた選手であり、43歳という年齢で実績を残す選手が発する言葉の説得力は強い。その福留選手に川上氏が期待することは『ここぞの長打』。その理由についてこう解説する。
「代打で出ることが多いと思うが、時にはフォアボール、ヒット。相手のチームが実際何を嫌がるか選んでやって行くと思うんですけど。でもいま、2点差でフォアボールというよりも長打で一気に一点とってさらにチャンスがあるというのができるバッターが(福留)コウスケくんしかいないじゃないですか!」
経験を一番効果的に発揮できる役割であり、その打撃センスから期待されるのが試合を決める長打となる。またそこから若手選手たちも間近に体感できる伝説から沢山のことを吸収してほしい!
川上憲伸が先発ローテ陣を徹底分析!KKチェック!
福留選手が提言するように、『野球を知ること』をもっとも求められる立場なのは先発陣かもしれない。オープン戦でも、福留選手が降板後の柳裕也投手にベンチで一生懸命話をしている姿は印象的だった。ドラゴンズが勝ち進むために先発陣に何を求めるか川上氏は6投手を徹底分析する。
・小笠原投手 MAX150kmの直球を軸に、気迫のこもった投球を見せ6回被安打5無失点と結果を残した。
◎「とくに球威、躍動感、完璧なんですよね。この試合もピンチあったけど力でねじ伏せたところが大きいですよね。」
・大野雄大投手 立ち上がりは苦しんだものの終盤までにはしっかり立て直し 7回被安打5失点2とどんな時でも試合を全うする地力が感じられた。
○「調子はめちゃくちゃよくはないんですけど、特に巨人で打たれちゃいけないクリーンナップは抑えてましたしレベル的にはいいんじゃないですかね。」
・勝野昌慶投手 立ち上がりに一発を含む3失点、2回以降は立て直すも3回1/3被安打5失点3と課題の残る投球となった。
△「ちょっと角度を感じなかったですね。もともと角度のあるピッチャーなんで。もっと上から下に叩き込めればらしく投げられると思いますね。」
・松葉貴大投手 昨年負けなしのバンテリンドームナゴヤでテンポの良い投球を披露するも、エラー絡みで失点があり5回0/3 被安打6失点3となった。
○「彼らしい投球といいますか、マイペースに投げ込んでいますし。これからの課題は変えどころかと思います。」
・福谷浩司投手 開幕試合5回4失点、4月2日阪神戦5回3失点 直近の阪神戦ではエラーの絡む3失点はあったものの自責点は0、降板後ではあるが、逆転を呼ぶ展開を作る投球となった。
○「結構開幕前にフォーム変えましたよね。(大きく変えたけど、)だいぶ本来の投球に近づいてますね。」
・柳裕也投手 3月28日広島戦4回3失点、4月3日阪神戦8回無失点 直近の阪神戦では勝ちがつかなかったものの強力な阪神打線相手に堂々の投球を見せた。
◎「今年2試合しか投げてないんですけど、こうも変わるかっていう。フォームもですね、もともと縦振りなんですけど、下半身が若干横にひねって腕が最後について来るといった感じで。バッターから見ると変化球、ストレート全部同じに見えると思う。」
川上氏の見立てでは、全体的にこれから期待できる投球ができていることがうかがえる。オープン戦では12球団ワーストの防御率5.50と不安も残る内容だったが、それぞれの課題を着実に乗り越えていることが感じられる内容がその証だろう。ビジターでも借金1と悪くない滑り出しの中、今後が楽しみだ。
先発投手陣についての3つの提言!キーマンは小笠原慎之介投手!
『先発要員は7人欲しい』:打たれても2軍の調子のいい投手と入れ替えずロングリリーフにすべき。
「2軍で結果出たからすぐ1軍ではなくて、セ・リーグ他の球団もピッチャー陣良くないんですよ。先発が打たれたっていって、すぐリリーフ陣に切り替えて消化試合にしない。何とか先発を早めに変えて、リリーフ陣で5、6回を持ちこたえればいいかなという。」
『先発にジャリエル・ロドリゲスを加えろ』:昨季も十分に力を見せた選手。球威やパワーもあり何より相手に向かって攻めて行く姿勢が良い。
「(ローテの)6人の中のどこかに入れて欲しいなと思います。ロドリゲスはもともと先発型、気持ちを前面に出して行くピッチャーだから役割は大きいです。」
『キーマンは小笠原』:コンディションを維持して、1年間ローテーションを守れ!
「僕は個人的に、小笠原投手がチームのローテーションを守ってしっかり10勝以上してくると、彼の立場からすると、チームをくっと変えることができると思うので。」
小笠原投手の後がないという覚悟が2試合の登板だけでもひしひしと伝わってくる。チームにもたらすものは結果以上に大きいものとなるだろう。番組内でファームでの活躍が取り上げられた筆者一押しの石岡諒太選手も、ヘルニアの手術もあり育成選手としての登録だが、4月2日までの成績で打率.571と強烈な結果でその覚悟の強さを示せている。一、二軍ともにそんな覚悟を持った闘いがあるからこそ、選ばれた出場できる選手たちからも緊張感がほとばしるのだろう。ナゴヤ球場でも4月下旬には有観客試合となるので、ますます目が離せないドラゴンズを強い気持ちで見守っていきたい!優勝目指して闘い抜けドラゴンズ!
澤村桃