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これぞ名古屋の味噌の味!伝統と進化をあわせ持つ「島正」の魅力

これぞ名古屋の味噌の味!伝統と進化をあわせ持つ「島正」の魅力
CBCテレビ:画像「デララバ」

名古屋めしには味噌を使った数々の名物料理があります。そのうちの一つ「どて焼き」を島正(しましょう)は創業以来、多くの人に愛される形のまま現在まで作り続けてきました。八丁味噌を使ってじっくりと煮込んだ「味噌おでん」は名古屋名物として古くから根強い人気を誇りますが、大正時代には「どて焼き」という名で親しまれていました。その発祥と言われているのが名古屋市中区にお店を構える「島正」。今回は伝統の味を受け継ぎながらも時代に合わせて進化し続けてきた同店の魅力をご紹介しましょう!

CBCテレビ:画像「デララバ」

島正を語るうえで欠かせない「どて焼き」とは?

島正と言えば「どて焼き」と言われるほど同店にとって名物料理ですが、創業当初の屋台時代にはどて焼きは提供しておらず、2代目のご主人・喜邑(きむら)定彦さんが研究を重ねて作り上げたものとのこと。「どて焼き」とメニューに「焼き」が付いているため、知らない人からすると焼き物かと思ってしまいますが、その正体は「味噌おでん」。

牛スジ肉や大根などを八丁味噌で煮込んだもので、鍋のふちに味噌を土手のように盛り、火にかけて焦がしながら煮込むことからこう呼ばれるようになったと定彦さんは語る。こうして誕生した島正のどて焼き。一方、島正自体はどのように誕生したのでしょうか。

島正の歴史その①~島正の前身「屋台きむらや」~

島正は1949年(昭和24年)に2代目店主である定彦さんの両親、信彦さん(故人)・きよ子さん夫婦が屋台「きむらや」として創業したのが始まりです。現在の島正はカウンター席の賑わいと厨房内のテキパキとした動きの一体感が心地よく、アットホームな雰囲気。島正の始まりが屋台だったからかもしれません。

では、屋台時代の島正(以下きむらや)はどのような姿だったのでしょうか。
きむらやは大正時代から多くの屋台が立ち並んでいた広小路通にありました。1973年(昭和48年)3月31日をもって都市景観の整備と道路事情により屋台は姿を消しますが、最盛期の1960年(昭和35年)には400軒以上の屋台が朝まで賑わいを見せていました。きむらやは当時の広小路屋台街の一角を担っていました。

島正の歴史その②~島正の名前の由来~

1960年(昭和35年)、きむらやに転機が訪れます。新国劇の看板役者・島田正吾さんがきむらやを気に入り、新国劇のマークにサインをした、地面に届くほど長い暖簾を贈ったのです。この暖簾はきむらやのもう一つの旗印となりました。次第にお客さんたちが、その暖簾から「島正の店」と呼ぶようになったことで、きむらやは店名を「島正」に改めることになったといいます。

こだわりが詰まった島正の美味しさの秘密

島正のどて焼きにはおでんの定番である練り物は一切ありません。具自体には味があまりないものを使い、さらに時間をかけて炊いて元の水分を抜き、かわりに味噌の味を染み込ませます。定番メニューは、大根、豆腐、こんにゃく、玉子、里芋、牛すじ。その中でも外せないのが大根です。

大根はなんと約10センチという分厚さ。八丁味噌特有の濃い茶褐色が染み渡った大根は、箸で割ると芯まで見事に“赤味噌色”に染まっています。味が濃いのだろうと思いきや、これが驚くほどすっきりとした味わい。味噌の甘辛さ・コクは意外にも強すぎず、大根の甘みを引き立てる役割を果たしています。

大根の仕込みには 10日間かけ、アク抜きに 3日、味噌を染み込ませるのに一週間煮込んでいます。全く煮崩れせず、大根のしゃっきり感が保たれている一方で、口に入れるとほろほろと溶け出す柔らかさ。これは、火にかけて寝かす、をくり返すからこそ“しみしみ”と “しゃきしゃき”を両立させることが出来るのだという。その他の具材もそれぞれ仕込み方を変えているため、どの具を選んでも島正のこだわりのどて焼きを楽しむことができます。

どて焼きだけじゃない!洋食と掛け合わせた島正の名物料理「どてオムライス」

島正の名物料理はどて焼きだけではありません。どて焼きから派生・進化した人気メニューが存在します。それは丼物料理の「どてオムライス」です。白ご飯の上に牛スジ、青ネギ、そしてふわとろ食感のオムレツをのせ、八丁味噌をとろりとかけた、なんとも食欲をそそる見た目。ふわとろ卵とまろやかな八丁味噌、ゴロゴロした牛スジのボリューム感。すべてがマッチした最強の逸品「どてオムライス」ですが、誕生のきっかけは常連客の思い付き。

「かつて、牛すじのどて焼きをご飯にかけたどてめしとオムレツが別々にあって、2000年頃に常連さんから『どてめしにオムレツのっけてよ』と言われて生まれたんですよ」と4代目の喜邑竜治さんは語る。洋食のオムレツともマッチしてしまう八丁味噌の懐の深さ、屋台時代から受け継ぐ客との軽妙なやり取り、意見を即座に取り入れる柔軟さ、反応を見てレギュラーメニューのリストへ入れる商いのうまさなど、これぞ島正といった特徴をあわせ持って誕生したのが「どてオムライス」なのです。

また、どてオムライスのオムレツが半熟卵に差し替わった「どてめし」も魅力的。白身を割るととろ〜りとした黄身があふれ出し、元々まろやかな味わいの牛スジと味噌にさらに黄身のまろやかさが加わる。とにかくまろやか尽くしの絶品料理。その他にも串焼きやポテトサラダといった一品料理も絶品で、一度訪れたら何度も通ってしまうこと間違いなしです。

伝統を守り、時代に合わせて変化し続ける「島正」

1973年(昭和48年)に屋台が全面廃止となったあと、島正は店舗を構えたものの、お客さんとの触れ合いを重視してカウンター席しか設けなかった。現在のどて焼きも屋台時代と変わらないが、2代目のご主人・喜邑(きむら)定彦さんは「昔はそれほどいい素材がなかったはず。当時のものをこの場にもってきても旨くないでしょ。嗜好も変わったはずだし、味付けは微妙に変えてるよ」と語る。 伝統の味を守り、こだわりを貫きながらも、お客さんとの会話を通して時代に合わせ味に変化をつける。島正はいまも進化を続けているのだ。

店舗名
どて焼き 島正
住所
〒460-0008 愛知県名古屋市中区栄2-1-19
営業時間
17:00~22:00
定休日
土曜・日曜日、祝日
電話番号
052-231-5977
ライター名
ゆぺ
※記事内容は配信時点の情報となります。

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