一度見たら忘れられないCMでおなじみの「若鯱家」名古屋流カレーうどんを広めた知られざる秘密とは?
「ちゅるちゅるうまうま」と軽快な音楽が流れるCMでおなじみの「若鯱家」。カレーうどんが名物で、ファミリー層にも人気があり、ショッピングモールでもよく見かけますよね。今回は若鯱家の知られざる歴史と秘密に迫っていきたいと思います。
知られざる若鯱家創業から今までの歴史
スパイシーでとろみがあり、太めのうどんが特徴の若鯱家のカレーうどん。元々うどん屋さんが開発したのではないかと思うほど本格的な味わいの若鯱家ですが、始まりは広告代理店でした。創業者である高橋靖裕氏(以下高橋氏)が生まれたのは広告代理店を営む家庭。大学を卒業後、家業を引き継ぎ、経営者としての道を歩みます。
1987年、無類の麺好きだった高橋氏は副業として知人と3人で若鯱家第1号店を栄にオープン。実はカレーうどんの元祖として知られている北区黒川の「本店 鯱乃家」に若鯱家のルーツがあるのではないか、という説もありますが、本店 鯱乃家の店主は創業から何代も入れ代わっており、その真偽は定かではないようです。
若鯱家の名物 CM は広告代理店時代のノウハウから生まれた?
若鯱家のCMといえば一度聞いたら耳から離れない「ちゅるちゅるうまうま〜♪」の歌声とテンポのいいBGM。カレーうどんを広めたいという高橋氏の発案で制作が開始され、1998年からCMがスタート。子供の心をつかむフレーズと曲に親子で外食しているシーンを盛り込んだCMや、ショッピングモールへの店舗展開により、家族連れの顧客層への浸透をはかったそうです。これは創業者が広告代理店を経営していたことから、広告の重要性を理解していたのではないかと副社長である高橋雅大氏(2023年9月時点)は語っています。
若鯱家が広めた「名古屋流カレーうどん」の秘密
カレーうどんといえば全国的にも認知されており、特に珍しい料理ではありません。しかし、若鯱家のカレーうどんは関東などで食べられているカレーうどんとは違った特徴があります。
1.とろみがあってスパイシー
そもそもカレーうどんは明治時代に東京で生まれ、全国に広まったと言われています(名古屋市公式観光情報「名古屋コンシェルジュ」参照)。名古屋以外のカレーうどんは魚介出汁をベースとし、片栗粉を少量使用したとろみがさらっとしたものが主流。しかし若鯱家では、鶏ガラと魚介出汁を使用したWスープ。さらには若鯱家門外不出のオリジナルブレンドのスパイスと、片栗粉ではなく小麦粉を使用した、刺激的かつとろみの強い出汁が特徴。
2.とろみのある出汁に負けない太めのうどん
温かくとろみのある出汁につかったうどんはすぐに伸びてしまいます。しかし讃岐うどんのようなコシの強さではカレー出汁との一体感が生まれない。そこで若鯱家では適度なコシで太さ約1センチの極太うどんをカレーうどんに採用。そうすることで歯応えが楽しめるだけでなく、カレー出汁とうどんが絶妙に絡み合うように設計されているそうです。
教育とフードロス低減にも取り組む若鯱家
若鯱家では持続可能な社会のため、SDGsにも力を入れています。外食チェーンは新卒での入社が少ない。そこで若鯱家では大学生のインターンシップを導入。これは大学の単位としても認められるだけでなく、5日間のインターンプログラムの中でチームを組み、若鯱家の経営理念を理解し、実店舗の見学や市場の把握、原価計算や、調理工程をふまえたメニューづくりまでのプロセスを加味した上で、最終的に新メニューを高橋知子社長にプレゼンするというもの。単に現場で働くだけではなく、経営理念から店舗でのオペレーションに至るまでを伝えることで、外食業界の活性化に繋がる取り組みを行っています。
それだけにとどまらず、外食産業において大事なのがフードロスの低減。若鯱家では新メニュー開発時にフードロス低減を意識するのはもちろんのこと、名古屋の老舗菓子メーカーの桂新堂とともに、同社のえびせんべい製造工程中に出る海老の頭と、若鯱家のうどんの端材とを合わせて「サスティナブルえびせんべい」を開発したりと、食にかかわる企業として使命感を持ち、これからも外食産業活性化の一翼を担っていくことでしょう。
ライター
KENTA
#名古屋めしデララバ