カリッパリッ!クロワッサンのような食感の「春巻き」表皮の秘密は…?
あつあつの炒飯やジューシーな焼き餃子、ときどき無性に食べたくなる味がある!それが大衆中華料理店、通称「町中華」。そして、人気町中華には必ず長年愛されてきた「常連メシ」が存在するもの。そんな常連客が唸る「看板メニュー」は、一体いつ、どんな瞬間、生まれたのでしょうか?
町中華「常連メシ」の誕生秘話を番組で“独自調査”しました。今回は、クロワッサンのようなパリッとした皮の「太平閣の春巻き」です。
春巻きと白米のみ注文!?老若男女に愛される看板春巻き
名古屋・円頓寺本町商店街のすぐ隣にある『中華料理 太平閣』。混み合う店内を覗いてみると、ランチのセットメニューを食べる客たちで大賑わい。
(客)
「すいません!春巻き一つ!」
老若男女に愛されている春巻きは、そのおいしさからお土産に買っていく人もいるほど。春巻きを食べる客からは口々に「春巻きの概念が変わる!」という言葉が。
セットとは別に、単品で春巻きを注文する客たち。皆、口いっぱいに春巻きをほおばり、満足気です。一人の女性客は、なんと「単品の春巻き」と「ご飯」のみをオーダー。よっぽど、この店の春巻きが好きなようです。
(客)
「パリパリした食感もちっとした食感が絶妙ですね」
「普通の春巻きじゃない。野菜が多くて、春巻きらしからぬ…何に近いって、クロワッサンみたいな外皮」
クロワッサンに似ている春巻きとはどんな春巻きなのでしょう?
個性的なパリパリ食感の秘密は「たまご」で作られる皮!
60年前から円頓寺本町商店街の人たちに愛されてきた、個性的な食感の春巻き。今は、先代から店を引き継いだ28歳の大原慶子さんが店を切り盛りしています。
そして、個性的な食感の表皮の正体は「たまご」!
中華鍋で焼いた薄焼きたまごを春巻きの皮に使用しています。中に入れる具材は、タケノコにキャベツ、豚ミンチ。しょうゆ、塩、酒、ごま油などでしっかり味をつけ、具材をぎっしり詰めるのが太平閣流の春巻き。
(何十年も通う・常連客)
「昔から、お父さんの代から通っている。味は変わってない!」
「肉汁にうま味がギューッと!まわりのたまごが良いバランス!」
客を虜にする「たまご春巻き」のルーツ
20代の店主が、店を継ぎ人気となった、こだわりの春巻き。三女である慶子さんが、その味を継承したのにはワケがありました。
先代店主、父・松一さんの体調不良がキッカケで、昭和38年から地元民の胃袋を支えてきた『太平閣』は、2年前やむなく閉店。一度は、店を閉じることに賛成した慶子さんでしたが…
(店長・大原慶子さん)
「お客さんのいない店がガランとしてさみしくて」
いざ閉店して気づいたのは『太平閣』が慶子さんの“生活の中心”だったということ。
(店長・大原慶子さん)
「お父さんの味を懐かしんで来てくれる客を大事にしたい」
また、みんなが笑顔で集まる店をつくりたいと慶子さんは、『太平閣』復活の決意をしました。
祖父から父へ、父から娘へ引き継がれ、これからも
『太平閣』を継ぐべく、それまで歩んできたフレンチの道を断念し、病床にあった父親に見守られながら、父の味を継承。姉や親族の力を借りて、2022年8月にリニューアルオープンしました。
(商店街の人たち)
「子ども時代から知っている子なので、頑張っている姿がうれしい」
「あの子はすごい頑張り屋」
60年前、祖父の代に、春巻きの皮をたまごで代用し生まれた『太平閣』のたまご春巻き。
(店長・大原慶子さん)
「昔から春巻きといえば、太平閣のたまご春巻きだった」
残念ながら父松一さんは、4月に他界。
「たまご春巻き」は祖父から父、父から娘へと引き継がれ、これからも、常連客を喜ばせます。
CBCテレビ「チャント!」5月30日放送より