もはや飲み物!?「白いあんかけチャーハン」の“やさしい”味わいに迫る!
熱々のチャーハンやジューシーな焼き餃子、ときどき無性に食べたくなる味がある!それが大衆中華料理店、通称「町中華」。そして、人気町中華には必ず、長年愛されてきた「常連メシ」が存在するもの。そんな常連客が唸る「看板メニュー」は、一体いつ、どんな瞬間、生まれたのでしょうか?町中華「常連メシ」の誕生秘話を“独自調査”しました。
「ドロドロしない」「スッと消えちゃう」シメに食べたいチャーハン?
今回の常連メシは「白いあんかけチャーハン」。さっそく、名古屋市中村区の「日の出飯店」を訪ねたところ、肝心な「白いあんかけチャーハン」がメニューにありません。しばらく、常連客が食事を楽しむ様子を観察していたところ、ようやくお目当ての「あんかけチャーハン」が登場。そこから堰を切ったように「あんかけチャーハン」が次々と各テーブルに運ばれていきます。
(男性の常連客)
「飲んだ後、シメで食う。打ち合わせで決めてある」
どうやら皆さん、シメに「あんかけチャーハン」を注文したかったよう。そのビジュアルは、しっとりとしたほくほくのチャーハンの上に、溢れるばかりの“白いあん”がかかっています。
チャーハンと白いあんとの相性は絶妙なようで…
(女性の常連客)
「全然ドロドロしない。スッと消える」「飲める!飲み物」
白いあんの独特の食べ心地は、客たちから「飲み物のよう」と例えられるほど。
最大の特徴「白さ」はどこから来ているのか?
あんは自家製の中華スープに、塩、コショウで味を調え、片栗粉でとろみ付けされています。さて、最大の特徴である「白さ」は、どこから来るのでしょうか?
(女性の常連客)
「(Qなぜ白い?)卵白ですよね、卵白」
白さの秘密は、「卵白」をあんに溶いて入れているからでした。ゆっくり、卵白を注ぎ込むと、まるで白い中華スープのようになります。
(店長・田和瀬宣隆さん)
「全卵だとこうならない、ゴテゴテになる」
卵をそのまま使わず、卵白だけであんを作るからこそ、口の中でとろけて消える、サラサラ食感が生まれるのです。
(女性の常連客)
「他にはない」
「雪の富士山みたい。日本一」
まさに、客たちに愛される珠玉の“看板メニュー”です。
友人「チャーハンじゃつまらん」、常連メシの誕生秘話!
「白いあんかけチャーハン」誕生のキッカケは、店長・田和瀬さんの親友でもある常連客が関係しているようです。
名古屋市中川区にある中華の名店「相羽 本店」。中国料理の世界大会にも出場するオーナーシェフのもとで、当時修業をしていた田和瀬さん。そこへ忘年会にやってきた親友から、メニューに関して提案がありました。
(親友)
「いつもはシメでチャーハン。チャーハンじゃつまらん。天津飯が有名な店なので、天津飯のあんが特徴的、天津飯×チャーハン(にして出してみたら?)」
田和瀬さんは試作してみますが、白いご飯の上にかける味の濃い天津飯のあんを、チャーハンの上にかけると、味がぶつかってしまいます。
(店長・田和瀬宣隆さん)
「チャーハンに合う“あん”(を作る)、あっさり(した感じで)」
チャーハンと相性のいいあんを追求していったら、卵白で作るサラサラのあんにたどり着いたのです。その後「あんかけチャーハン」は、瞬く間に「相羽 本店」の人気メニューになりました。
「やさしい味」のルーツは店長を育ててくれたおばあちゃん
独立し、「日の出飯店」を開業した田和瀬さんの「あんかけチャーハン」は、本家の味よりも「やさしい味」になっているそうです。
(常連客)
「やさしいあんだけど、チャーハンにしっかり味(がついている)」
「店長の人柄が出ています」
客たちがこぞって「やさしい」と語る、味のルーツを聞いてみました。
(店長・田和瀬宣隆さん)
「たぶん、ばあちゃんのせい。母が亡くなってから、よくばあちゃんの家に行って、ばあちゃんのごはんを食べてた」
早くに母親を亡くし、おばあちゃんの手料理で育った田和瀬さん。おばあちゃんの味噌汁や煮物は、薄味に気を遣っていました。その記憶が「白いあんかけチャーハン」のやさしい味つけにつながっていたのです。
今では酒のシメだけでなく、老若男女に愛されている「白いあんかけチャーハン」。その味を求めて、きょうも常連客がやって来ます。
CBCテレビ「チャント!」5月17日放送より