三重県松阪市飯高町の愛されフード『でんがら』を調査! 朴の葉の香り広がる郷土菓子!
その町以外ではあまり知られていないけど…地元の人はみんな知っている!その町で生まれ、町に根づく愛されフード。CBCの加藤愛アナウンサーが全力で調査します。
今回は、『三重県松阪市飯高町(いいたかちょう)』の『でんがら』です。
全く想像がつかないまま調査すると、小麦粉を練った生地にあんこを包み、今の時季にとれる“朴の葉”で包んで蒸したものだとか。飯高町の限られた地域に伝わるおやつで、田植えなど農作業のあとにみんなで食べるそう。
情報を得て『おふく茶や』におじゃますると、店頭に『でんがら』がズラリ。町の人に聞いた通り、朴の葉に包まれていて、葉を開くと中には四角いおだんごが。この店では、“白”と“よもぎ”の2種類があります。白をいただくと「食べた時に、ほわ~っと香る」と加藤アナ。その香りがまさに朴の葉の香りで、そのあとに中のあんこの甘みが口に広がります。
味からも想像できない『でんがら』という名前の由来を尋ねると、「朴の葉で包んだ形が“田”という字に見えるため、“田の柄”が“でんがら”になった」など諸説あるとか。
この郷土菓子を販売する『おふく茶や』は元々、地元の女性たちが運営していましたが、実は三重県津市から移住した井ノ口さん夫婦が昨年秋に店を引き継ぎ、リニューアルオープン。『でんがら』を継承することが条件でしたが、地元の人たちが慣れ親しむ味を受け継ぐのは簡単ではなかったようで、「一人前になるまで、私たちが手伝ってあげるから」と今も先輩方が作り続けています。
作業場は、店の奥にある工房。よもぎのでんがらを作っているところを見せてもらいました。手作業で小麦粉をよく練り、生地を作ります。店で炊いたこしあんを生地で包んで、さらに朴の葉で包み、蒸し上げます。朴の葉がとれるのは一年の中でもこの時季(6月頃)だけで、この店では『でんがら』を年中食べられるように大きく育った朴の葉を一年分まとめて収穫し、塩漬けにしておきます。
飯高の人にとっては、かつて各家庭で作っていた幼い頃の思い出と共にある大切な味。手間暇かかる作業ですが、この味を絶やさぬよう『おふく茶や』の先輩方が守ってきました。高齢になり店を続けるのは難しくなっても、『でんがら』を愛する気持ちは皆さん変わりません。「これをなくしてはもったいない」という頼りになる後継者も見つかり、これからも受け継がれていく愛されフードでした。
(6月29日(木) CBCテレビ「チャント!」より)