危険な頭痛の見極め方

2021年3月14日(日)放送 【第448回】
危険な頭痛の見極め方

サマリーSummary

ゲンキスチューデント:須田亜香里
ゲンキリサーチャー:U字工事
ドクター:新百合ヶ丘総合病院 脳神経救急・外傷センター センター長 医学博士 鈴木倫保
日本人のおよそ4割が悩まされているといわれる「頭痛」。病院に行かずに済ませてしまいがちですが、なかには命にかかわる病気のサインとして頭痛が現れる場合もあるのだとか。そこで今回は、特に危険な頭痛の見分け方を専門医に教えてもらいました。

頭痛の基礎知識

頭痛は、大きく分けて2つに分類されるそうです。1つは脳や身体に問題がないのに起こる「一次性頭痛」。もう1つは頭に病気があって起こる「二次性頭痛」です。

<一次性頭痛>
脳などに問題は無いといわれますが、生活に支障をきたします。
(代表例)
・片頭痛 頭の片側がズキンズキンと痛むのが特徴です。
・緊張型頭痛筋肉のコリやストレスが原因。頭全体を締め付けられるような痛みが特徴です。

<二次性頭痛>
頭に病気があって起こる頭痛。命に関わる危険があります。

~鎮痛剤の飲み過ぎに要注意!~
先生によると、鎮痛剤を飲みすぎる事によって起こる頭痛がある事が最近わかったそうです。月10~15回程度鎮痛剤を使用している方は治りにくい頭痛が発生する恐れがあるので、その前に医師に相談してください。

頭痛を伴う怖い病気「脳腫瘍」

脳腫瘍とは、頭蓋骨の中にできる腫瘍の事。脳は頭蓋骨に囲まれたスペースにあるため、腫瘍などの余計なものがあると頭蓋内の圧力が上がり頭痛が起こるといわれているそうです。また、発生した脳の部位によっては手足の麻痺や言語障害などが起こる場合もあるとの事です。

危険な頭痛①「脳腫瘍による頭痛」

脳腫瘍による頭痛には下記のような特徴があります。

<脳腫瘍による頭痛の見分け方>
・朝に痛い
睡眠中は横になるので頭に血液が溜まりやすくなります。すると、溜まった血液と脳腫瘍の圧力によって朝の痛みが増してしまうそうです。そのため、長期間朝の痛みが続く場合は注意が必要です。

・日を追うにつれて痛みが増す
脳腫瘍が発育するにつれて頭蓋内の圧力も強くなります。そのため、1週間、2週間と日を追うにつれて痛みも強くなるそうです。

頭痛を伴う怖い病気「くも膜下出血」

「くも膜」とは、頭蓋骨の中で柔らかい脳を保護する膜のなかの1つ。くも膜の下には動脈が通っており、その動脈にできたコブ(動脈瘤)が破裂し出血する病気を「くも膜下出血」といいます。くも膜下出血の恐ろしいところは、なんの前触れもなく起こる場合もある事。命に関わる病気ですが、発症した患者さんの3分の1は治療により社会復帰できるそうです。

危険な頭痛②「くも膜下出血の警告頭痛」

くも膜下出血の前兆として頭痛が起こる事があります。原因は、動脈瘤からの少量の出血や膨らんだ動脈瘤の刺激。大きな出血の前触れを警告するという意味で「警告頭痛」と言われる事もあるそうです。警告頭痛は、片頭痛に似た軽い頭痛で大きな出血の数時間~数週間前に見られる場合もあるとの事です。

<警告頭痛の見分け方>
・吐き気を伴う
吐き気を伴う頭痛は警告頭痛の代表的な特徴。しかし、片頭痛の場合も吐き気を伴う事が多いので気づけない事も多いそうです。

・頭痛薬を飲んでも治らない痛み
先生によると、警告頭痛を見極めるポイントは「休んでも良くならない」「薬を飲んでも痛みが治らない」など。頭痛とともに少しでも意識が低下する場合は、警告頭痛の可能性が極めて高いそうです。

・頭痛以外の症状が現れる場合も
先生によると、目の近くに動脈瘤ができると出血する前に大きく膨れ上がる事で神経を圧迫し「まぶたが落ちる」などの症状が現れるとの事。他にも、動脈瘤ができる場所によっては、頭痛とともに「めまい」や「物が二重に見える」などの症状が出る場合もあるそうです。

危険な頭痛③「くも膜下出血の雷鳴頭痛」

動脈瘤が破裂すると、バットで殴られたような強烈な痛みを感じるそうです。この激しい痛みは「雷鳴頭痛」とも呼ばれています。

<雷鳴頭痛の見分け方>
・バットで殴られたような激しい痛み
このような痛みを感じた場合は、一刻も早く病院へ行ってください。

危険な頭痛④「髄膜炎による頭痛」

髄膜炎とは、細菌やウイルスが脳を包んでいる膜に侵入し炎症を起こす病気。高熱を伴う頭痛を起こします。

<髄膜炎による頭痛の見分け方>
・高熱を伴う
脳を包んでいる膜の炎症によって、高熱を伴う頭痛が起こります。
・首が硬くなり回しにくい
頭痛とともに、首が硬くなって回しにくくなったり曲げにくくなったりする症状を伴います。

脳の病気を早期発見!「脳ドック」とは?

くも膜下出血を含む脳血管疾患の死亡率は近年減少傾向にあり、その要因の1つに「脳ドック」の普及が挙げられています。

Q.脳ドックって何をするの?
A.脳ドックでは大きく分けて3つの検査が行われ、脳のわずかな異変も見つけ出します。
<脳ドックで行う主な検査>
・頭部MRI(脳細胞組織を調べる)
数百~数千枚の画像を撮って脳の隅々までチェック。脳腫瘍や脳梗塞などの病変を見つけだします。
・頭部MRA(脳の血管を視覚化する)
MRAは、血管を3Dで映してくも膜下出血などの原因になる動脈瘤を見つけます。一般的に検査をした人の約5%から動脈瘤が見つかるといわれています。
・頸部MRA(頸部の血管を視覚化する)

Q.脳ドックを受けた方が良い人は?
A.脳ドックが推奨されているのは40歳以上の方。特に下記に当てはまる方は適しているそうです。
<脳ドックを一度受けた方が良い人>
・お酒を大量に飲む人
・タバコを吸う人
・血縁で脳卒中になった方がいる人

Q.脳ドックの費用は?
A.脳ドックは自由診療。検査内容により異なりますが、一般的に費用は4~8万円程度といわれています。事前の食事制限はなく、注射を打つ事もないそうです。

Q.検査後は?
A.検査結果に応じてその後の流れはさまざまです。
⇒異変がない場合
何も見つからなかった場合は、次回2~3年後の検査が推奨されています。
⇒5mm以下の動脈瘤があった場合
先生曰く、動脈瘤が1つで5mm以下の場合は様子を見てもいいとの事。半年後に再検査を行い、変わりがなければ以後1年毎に検査を行うそうです。
⇒5mm以上の動脈瘤があった場合
治療を行います。動脈瘤の大きさや場所によって大きく2つの治療法があるそうです。
①クリッピング術
開頭し、動脈瘤をクリップで挟む事で血流を止めて破裂を防ぎます。
②コイル塞栓術
開頭せず、カテーテルにより動脈瘤にコイルを詰めて破裂を防ぎます。

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