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伝説のスコアラーが“必要”と語る「軸になる野手4人」ドラゴンズでは誰と誰?

伝説のスコアラーが“必要”と語る「軸になる野手4人」ドラゴンズでは誰と誰?
論説室コラム

伝説のスコアラーが“必要”と語る「軸になる野手4人」ドラゴンズでは誰と誰?

 2022年2月8日(火) 10:30
北辻 利寿
北辻 利寿
「サンデードラゴンズ」よりダヤン・ビシエド選手と大島洋平選手©CBCテレビ
「サンデードラゴンズ」よりダヤン・ビシエド選手と大島洋平選手©CBCテレビ

よもやの新型コロナ禍に襲われた中日ドラゴンズの春季キャンプ。しかし立浪和義監督やコーチ陣によるタブレット端末を使った“リモート指導”というアイデア導入もあって、来月に迫ったシーズン開幕に向けて、選手たちの濃密な時間は進む。

伝説のスコアラーが語る

『ザ・スコアラー』(KADOKAWA・2020年発行)という本がある。讀賣ジャイアンツで22年間スコアラーを務めた三井康浩さんが、豊富な現場経験をもとに、プロ野球の深さ、魅力、そして出会った選手たちのことなど書き綴った。タイトルに「ザ(THE)」が付けられているように、本には三井さんのスコアラーとしての矜持があふれて、野球好きとしてはたまらない内容だ。竜党として嬉しいのは、この百戦錬磨のスコアラーが、“戦いにくかった相手”として、投打2人のドラゴンズ選手の名前を挙げていることだ。

ライバルも脱帽した落合と川上

打者では、日本人では唯一、3度の三冠王を取った落合博満選手。ドラゴンズ“不動の4番”だった。スコアラーは打者がボールをどう見逃すか、その“見逃し方”によって攻略方法を立てるというが、落合選手の場合「その考えがまったく読み取れなかった」と言う。「どんな球でも同じように見逃し、同じようにバットを出す天才的な選手」だと評している。投手では「もっとも意識していた」として、1998年から“竜のエース”として活躍した川上憲伸投手を挙げた。「完成度の高い投手で、いかに打つかは熟考が求められた」と三井さん。川上投手が、ストレート、カーブ、カットボールに加えて、新たにシュートを投げ始めた時は「スコアラーとしてパニック状態だった」と本音を明かす。エースと4番、この投打の両輪を有したドラゴンズ、ファンとしても嬉しい評価である。

軸となる野手4人は誰?

「サンデードラゴンズ」©CBCテレビ
「サンデードラゴンズ」©CBCテレビ

本の中に興味深い分析を見つけた。三井さんが理想としていたのは、ある一定レベルの投手が揃っていることを前提に、野手で軸となれる選手が「4人いる」状況をつくることだったと言う。2021年シーズンのドラゴンズに当てはめると、ダヤン・ビシエド選手と大島洋平選手の2人だけか。立浪新監督が就任時に「レギュラーはビシエドと大島だけ」と語ったことは、まさに的を射ている。本来ならば、そこに高橋周平と京田陽太という三遊間コンビが名を連ねなければならなかった。待望の正捕手候補の木下拓哉選手も、起用された試合数が足りず“候補”のままだった印象だ。2人足りなかった。

日本シリーズに見る「4人」

2021年の日本シリーズは、球史に残る激戦の名シリーズだった。セ・リーグ優勝から日本一になった東京ヤクルトスワローズには、侍ジャパンでも活躍した村上宗隆、山田哲人の両内野手の他、青木宣親、塩見泰隆の両外野手、そして正捕手として中村悠平がいた。5人である。そこにホセ・オスナとドミンゴ・サンタナの助っ人たちも活躍。前年の最下位から一気に日本一になったことも納得できよう。片やパ・リーグ覇者のオリックス・バファローズには、吉田正尚と杉本裕太郎のクリーンアップに加えて、福田周平と宗佑磨の1、2番コンビが固定された。頭の一字を取って「福宗正杉」と名づけられたリーグ屈指の上位打線である。軸となる野手が「4人いる」、それが両チームだった。

野手も輝いた竜の球団史

ドラゴンズも負けていない歴史がある。球団史上で“最強”とも言える2006年のチーム。荒木雅博と井端弘和両選手の1、2番に続き、福留孝介、タイロン・ウッズ、森野将彦の3人がクリーンアップ、すでに「5人いる」。谷繁元信捕手とアレックス・オチョア外野手が“アライバ”二遊間と共に、センターラインをがっちりと固めた。新たにドラゴンズの指揮を取る立浪選手も控えていた。ファンをワクワクさせた近藤貞雄監督の“野武士野球”では、田尾安志と平野謙両選手の1、2番に、ケン・モッカ、谷沢健一、大島康徳の3人がクリーンアップ、宇野勝選手、中尾孝義捕手、上川誠二内野手が続いた。この打線は、投手以外で軸が「8人いる」チームだった。どちらの年もリーグ優勝を果たした。

鵜飼?石川昂?それとも?

「サンデードラゴンズ」より石川昂弥選手©CBCテレビ
「サンデードラゴンズ」より石川昂弥選手©CBCテレビ

伝説のスコアラーが語る「軸となる野手4人」、新生・立浪ドラゴンズではどうなるのだろうか?日本での7年目を迎えたビシエド選手そして野手キャプテンになった大島選手、この2人に誰が加わるのだろうか。キャンプ前、立浪監督の弁によれば、高橋周、京田、そして木下が続くと思われるが、それはあくまでも“キャンプ前”のこと。長年の低迷に苦しむチームが飛躍的に成長するには、既存の顔ぶれだけでは物足りない。3年目の石川昂弥選手と、ルーキーながらその力強いスイングに注目が集まる鵜飼航丞選手、この2人の迫力満点の打撃練習に期待が高まる。さらに根尾昂選手、岡林勇希選手、そして鵜飼選手と高校時代同じチームだった伊藤康祐選手も負けてはいまい。誰が飛び出してくるのか、楽しみな日々である。

毎年のことだが、春季キャンプの日々はあっという間に過ぎる。ドラゴンズ選手たちには時間を惜しんでの猛練習に期待すると共に、2022年シーズン、立浪竜の「軸となる野手4人」に誰が名を連ねるのか、注目したい。
                              

【CBCテレビ特別解説委員・北辻利寿】

<引用> 三井康浩『ザ・スコアラー』(KADOKAWA・2020年)

※中日ドラゴンズ検定1級公式認定者の筆者が“ファン目線”で執筆するドラゴンズ論説です。著書に『愛しのドラゴンズ!ファンとして歩んだ半世紀』『竜の逆襲  愛しのドラゴンズ!2』(ともに、ゆいぽおと刊)ほか。

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