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強い!これで優勝できないワケがない!落合野球の真髄~ドラゴンズ2000年代~

強い!これで優勝できないワケがない!落合野球の真髄~ドラゴンズ2000年代~

新型コロナウイルスの影響によって延期されていた2020年プロ野球ペナントレースの開幕がようやく決まった。球音を待ちわびながら、球団創設84年目を迎えた中日ドラゴンズの歴史と熱戦譜を年代別にふり返ってきたが、今回は「2000年代」(2000~2009年)への旅をする。(敬称略)

バンチが勢いつけた新世紀への道

21世紀を目前にした2000年代早々の快挙は、新外国人投手メルビン・バンチのノーヒットノーラン達成だった。開幕直後4月7日の快挙に、連覇を夢見るファンは大喜びだった。前年1999年の優勝を“置き土産”に退団した宣銅烈に代わる助っ人投手は、このシーズン14勝で最多勝のタイトルに輝いた。テキサス出身、陽気で明るいキャラクターの上、マウンドでは闘志あふれる投球を見せ、まさに当時の星野仙一監督好みの選手だった。
しかし、連覇は讀賣ジャイアンツに阻まれた上、1996年に続き今度は東京ドームで、またしても長嶋茂雄監督の胴上げを目の前で見せつけられる悔しい結末となった。それも4点リードを追いつかれた上でのサヨナラホームランによって・・・嗚呼。

星野仙一との別れに泣いた!

ドラゴンズファンにとって衝撃だったのは、2001年シーズンオフである。2期目6年チームを率いた星野仙一監督の退任、それは仕方なしとしても、直後に阪神タイガースの監督に就任したことは、本当にショックな出来事だった。ナゴヤドーム最終戦で「私ほどドラゴンズファンに愛された男はいない」とファンに挨拶していただけに、巷間いろいろ伝えられた理由はともかく、裏切られた悲しい気持ちだった。
星野監督の後を受けて、ヘッドコーチから監督に就任した山田久志による2年間は、次に到来する黄金時代の礎を築いた。福留孝介を内野から外野にコンバート、バッティングに目覚めた福留は球団記録の186安打で首位打者を獲得した。横浜ベイスターズから谷繁元信を獲得して正捕手にした。川上憲伸がジャイアンツ相手にノーヒットノーラン達成し、エースとして君臨した。「二塁・荒木雅博」「遊撃・井端弘和」を起用、この“アライバ”コンビは日本を代表する二遊間に育っていく。山田は秋田県出身、次にそのバトンを引き継いだのが同じ秋田県出身であり、またパ・リーグ時代の好敵手だった落合博満だったという縁(えにし)も今ふり返ると実に感慨深い。

黄金期が始まった開幕ゲーム

リーグ優勝4回、日本一1回、采配をとった8年間すべてAクラスという“黄金時代”を築いた落合博満監督。その最初の開幕戦こそ、そこから始まる8年間の象徴となる忘れえぬ試合となった。
2004年4月2日、予告先発がなかった当時、ナゴヤドームに場内アナウンスされた先発投手の名前に、ドラゴンズファンはもちろん、全国の野球ファンが度肝を抜かれた。
「ピッチャー川崎憲次郎、背番号20」。
FA宣言して移籍して以来、肩の故障で一度も登板のなかった投手、それが記念すべき新監督最初のゲームの開幕投手なのである。川崎は2回早々に5点を奪われて降板したが、試合は8対6の大逆転勝ちだった。「オレ流采配」という言葉が一気に流行語にもなった。他球団は「何をしてくるか分からない」と疑心暗鬼になり、逆に竜党はその深みのある落合采配を心から楽しむ日々が始まった。

本当に強かった!落合竜の輝き

2000年代で最も強烈な優勝は2006年であろう。落合ドラゴンズがその実力を見せつけたシーズンだった。4番タイロン・ウッズはホームラン王に打点王の2冠、川上憲伸は最多勝、最優秀防御率、最多奪三振と投手タイトル総なめ、岩瀬仁紀は2年連続となる最多セーブ。しかしシーズンMVPに輝いたのは2度目の首位打者となった福留孝介だったという、何とも胸ときめく顔ぶれ。山本昌が41歳で最年長ノーヒットノーランを達成したのもこの年の9月だった。
リーグ優勝を決めた東京ドームのジャイアンツ戦、優勝監督インタビューに立った落合が「涙もろいので」と号泣した姿は、2000年代ドラゴンズの名場面のひとつとして、これからもファンの記憶に残っていくだろう。
その後2009年に3代目「ミスター・ドラゴンズ」立浪和義がユニホームを脱いだ。
80年代、90年代、そして2000年代と“竜の顔”であり続けた名選手は去ったが、竜は力を維持し続けたまま、球団初の連覇を達成する2010年代へと昇り続ける。

【CBCテレビ特別解説委員・北辻利寿】

※中日ドラゴンズ検定1級公式認定者の筆者が“ファン目線”で執筆するドラゴンズ論説です。著書に『愛しのドラゴンズ!ファンとして歩んだ半世紀』『竜の逆襲  愛しのドラゴンズ!2』(ともに、ゆいぽおと刊)ほか。

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