根尾、石川昂そして高橋宏斗?ドラゴンズジュニア3年連続の獲得で広がる夢

根尾、石川昂そして高橋宏斗?ドラゴンズジュニア3年連続の獲得で広がる夢

プロ野球のシーズンも大詰めを迎えた中、今年もこの日が近づいて来た。
明日のプロ野球スターを夢見る選手たちのチームが決まるドラフト会議。しかし、今回は例年とは大きく様相が違っている。

新型コロナの影響はドラフトにも!

ペナントレースの開幕を3か月も遅延させるなど大きな影響を与えた新型コロナウイルスは、2020年のドラフト会議も直撃した。10月26日の開催予定、しかし実はまだシーズン途中である。試合日程が大幅に変更されたため、オフを待たずしての会議開催となった。このため、各球団はシーズン総括ままならない内に、来季の戦力補強に向き合う。首脳陣の交代がありそうな球団にいたっては、チーム作りへ新監督の意向を反映することもできない。さらに新型コロナによって、春と夏の甲子園大会はじめアマチュア野球の大会は多くが中止となった。スカウトたちが選手を品定めする機会は激減した。その眼力が格別に問われる局面を迎えると共に、1軍2軍などチーム全体の戦力を日頃からきちんと分析できているか、フロントと現場のコミュニケーション力も試される。

根尾と石川昂に続くのは?

中日ドラゴンズにとって、希望した選手を順当に獲得するなど、ここ最近“成功ドラフト”が続く。特にここ2年は、2018年に根尾昂、2019年に石川昂弥と、地元出身かつ全国的にも名の知られた“高校球界のスター選手”を他球団との競合に勝って獲得した。与田剛監督の強いクジ運にドラゴンズファンは狂喜し、ドラフト会議は歓喜の場となった。2年間「野手」の指名獲得が続いたことから、2020年ドラフトでドラゴンズは早くから1位指名候補に「投手」を挙げていた。
そんな中、ドラフト戦線に思いもかけないニュースが飛び込んできた。地元・中京大中京高校のエース高橋宏斗(たかはし・ひろと)投手が大学進学希望から一転、プロ入りを表明したのだ。

“負けない投手”高橋宏斗

「サンデードラゴンズ」より高橋宏斗投手©CBCテレビ

高橋宏斗投手は、ドラゴンズにとって特別な存在である。愛知県尾張旭市出身。本格派の右腕であり、高校時代は2年生からエースとしてチームをけん引した。150キロを超える球は、それを近くで見た人の証言でも「うねりをあげていた」そうだ。
2019年の明治神宮大会で初優勝し全国的な注目を集めた。続いて出場するはずだった春のセンバツはコロナ禍によって大会中止となってしまったものの、その代表校を集めて1試合だけ実施された夏の甲子園交流試合でも完投勝利し「不敗神話」を継続して高校野球生活を締めくくった。
“特別な存在”という意味は、こうした輝かしい戦績だけではなく、高橋投手が「ドラゴンズジュニア」出身であるということだ。

小学生時代から「ドラゴンズ」

「ドラゴンズジュニア」は中日ドラゴンズが運営する少年野球チームである。子どもたちに野球の魅力を知ってもらおうと各球団が力を入れる中、ドラゴンズも選手OBを監督やコーチに配置して活発に活動している。12球団のジュニアチームによるトーナメント大会もある。チームには元気な“竜の子”たちがあふれている。高橋投手はその「ドラゴンズジュニア」出身である。さらに言えば、根尾選手、石川昂選手の2人も「ドラゴンズジュニア」出身、小学生時代にすでにドラゴンズブルーのユニホームを着てプレーしていたのだ。これを運命と言わずして何と言おうか。もしドラゴンズが高橋投手を1位指名して獲得したら、「3年連続でドラゴンズジュニア出身」「3年連続で高校球界のスター選手」そしてもし抽選の末に勝ち取るのなら「3年連続クジ引きで勝利」となる。

勢いをつけて来季のペナントへ!

ドラフト会議の目的は「新しい戦力の補強」である。しかし、もう一つ大切な目的がある。以前から当コラムでも書いてきたが、それは「チームに勢いをつける」ことである。
会議を生中継する番組は高視聴率を記録して、全国的な注目度はプロ野球ファンに留まらない。根尾選手のように、自らの愛読書が名古屋市内の書店に特設コーナーとして並ぶなど“社会現象”になることもあった。
ドラフトで手にするこうした新しい勢いを、春季キャンプそしてペナントレースへの“起爆剤”にできるといいのだが、残念ながら昨今のドラゴンズは、この手の“演出”が決して上手いとは言えない。“全国区のスーパースター”根尾昂を与田監督の右腕で獲得した時のファンの熱狂、石川昂弥を日本一球団の福岡ソフトバンクホークスから勝ち取った快感、いずれも長くは続かなかった。高橋宏斗という投手獲得に向かうのなら、ドラゴンズには是非、“その後”のブームアップ戦略にも期待したい。

根尾昂と石川昂弥、両先輩がバックを守るマウンドで高橋宏斗投手が投げる。「ドラゴンズジュニア」OBたちが、大人になって再び竜ブルーのユニホーム姿で躍動する。考えただけでもワクワクする。ナゴヤドームもきっと大勢の観客で湧きかえることだろう。
どうかそんな未来が実現しますように、ファンのひとりとして竜の2020年ドラフト会議に明るい夢を託したい。

【CBCテレビ特別解説委員・北辻利寿】

※中日ドラゴンズ検定1級公式認定者の筆者が“ファン目線”で執筆するドラゴンズ論説です。著書に『愛しのドラゴンズ!ファンとして歩んだ半世紀』『竜の逆襲  愛しのドラゴンズ!2』(ともに、ゆいぽおと刊)ほか。

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