CBCラジオ『ドラ魂キング』「川上憲伸、挑戦のキセキ」は、野球解説者の川上憲伸さんが、自身のプロ野球人生を「挑戦」という視点から振り返るコーナーです。3月4日の放送は、谷繁プレイングマネージャー・谷繁元信さんから託された最後の開幕戦について伺いました。聞き手は宮部和裕アナウンサーです。監督室への呼び出し2013年オフ、中日ドラゴンズから再び離れることになった川上さん。次の歩みとして、ゴルフの打ちっぱなしの練習場にいたところ、プレイングマネージャーに就任する谷繁さんから1本の電話が届きます。このラブコールで、ドラゴンズへの復帰が決まりました。キャンプではピッチャー陣の中で一番いいという評価を受けていた川上さんは、谷繁さんから監督室に呼ばれます。川上「『お前、今年頼むよ。スタートね』って。もう喉が詰まったんです。嬉しくて」喜びの直後に起きた異変ところが、喜びと同時に思わぬ異変が起きました。プロ野球人生で一度も痛めたことのなかった肘が、突然ロックしてしまったのです。「言われた瞬間に初めてネズミができた」と川上さんは振り返ります。オープン戦も肘がロックしたまま。腕を振ると肘を痛めてしまう危険があります。トミージョン手術も、しっかり腕が振れている投手がなりやすいそうです。川上「その年、振れてたんですよ。怪しくなって。ちゅんちゅん肘が鳴いてると思ったんですよ。キャンプ中から違和感はあったんですけど、それを言われた瞬間にガチガチッと固まって」オープン戦では、この肘の影響で打ち込まれてしまいます。治療を経て投げられるようになったものの、今度はぎっくり腰に見舞われました。意地で立った開幕マウンドぎっくり腰はなかなか治りませんでしたが、それでも川上さんは意地で開幕投手を務めます。広島東洋カープとの開幕戦で、6回あたりまで2対1とリードしていましたが、助っ人外国人のキラ・カアイフエ選手にツーランホームランを打たれ、逆転を許してしまいました。川上「もうこの時のショック。谷繁さんと目が合って。その試合勝てずに。『谷繁さん、すいませんでした、今日。谷繁さんにウイニングボールを渡すのが夢だったんですけど』って言ったら、『いいよ、そんな気にすんなよ』って」その声が、かえって胸に迫ったといいます。今回が7回目の開幕投手で、谷繁さんとバッテリーを組むのは6回目でした。川上「一番むなしいというかね」開幕投手が背負う使命川上さんは、開幕投手としてマウンドに上がる時の心境を明かします。川上「自分の勝ち星はどうでもいいんですよ」日本シリーズの第1戦なども同様で、チームの監督がうまく采配できるように持っていくための点差で野球をすることが大切だといいます。川上「初回は絶対に0点で抑えるんだという思いで、ずっと投げていたんで」だからこそ、谷繁さんのプレイングマネージャーとしての開幕戦では、采配がうまくいくように支えたかった。それが崩れてしまったことに、「自分がどうこうというより、谷繁さんに申し訳ないことをしてしまった」と振り返ります。普段は口にしない言葉試合後、谷繁さんから「俺もショックだった、お前が打たれたのは」という言葉がありました。普段はそうしたことを口にしない谷繁さんだけに、川上さんはプレイングマネージャーとしてのプレッシャーの大きさを感じたといいます。川上「いい思い出もあったんですけど、最後が一番その思い出でしたね」対戦相手として出会い、チームメイトとなり、そして監督と選手へ。川上さんと谷繁さんの関係は、形を変えながら続いてきました。(minto)