「小太りの方が長生き」という定説を医学博士が解説!適度な小太りの基準とは?
ここ数年「小太りの方が長生きする」という記事をよく見かけます。8月にもWebメディア『婦人公論.jp』にも「結局『小太り』の人がいちばん長生きする!コレステロールや体重にピリピリしてもあまり意味はないと言えるワケ」と題した記事が掲載されました。
9月15日放送のCBCラジオ『北野誠のズバリ』には、41歳男性から「やせすぎより少し小太りの方が長生きと言われますが、小太りとはどのくらいまででしょうか」との相談が寄せられました。
心療内科本郷赤門前クリニック院長で医学博士の吉田たかよし先生がこの質問に答えます。
小太りは死亡率が低い
北野「オレは小太りといえば小太りかもしれませんが(苦笑)、最近コレ、よく言われますね」
吉田「肥満によって動脈硬化が進んで心筋梗塞とか脳梗塞になりますので、昔は肥満がよくないと言われていました。その後の研究で『少し太っている方が死亡率が低い』ということがわかってきました。最近では小太りの方がいいというのは、ほぼ定説になっています」
気になるのは「小太り」の基準です。
吉田「だいたい結論が共通しています。以前はBMI(体重をメートル単位の身長で2回割った値)が22が理想と言われていました。死亡率を詳しく調べたら、最も死亡率が低いのが女性の場合はBMI23.5、男性は26前後でした。
例えば、女性なら身長160cmなら体重59kg、男性なら身長170cmなら75kgが、最も死亡率が低いです。これが小太りです」
やせた人の弱点
なぜ小太りは死亡率が低いのでしょうか?
吉田「やせた人は骨粗鬆症になりやすく、転んで骨折しやすいです。それで寝たきりになって老化が進んで、死亡するという因子が大きいです。
あと免疫力が低い傾向もあり、それで肺炎も起こしやすいし、あとやせていると脳梗塞は少ないけど、それ以上に脳出血が増えて、それで死亡する要因も大きいです。
あと、皮下脂肪が健康を守るよい働きをしていることもわかってきました。ぺプチンという物質を作って食欲を抑えて安定させてくれます。だから健康的な、ほどよい食事をずっと続けられる。それで血糖値が安定して、老化を抑えてくれる効果も見つかってきています」
ゆっくりダイエットが決め手
脂肪はどのくらい増えるのがいいのでしょう?
吉田「健康によいか悪いかは、その脂肪がどこについているかで決まります。健康によくないのは内臓脂肪。血圧を上げて動脈硬化が進み、心筋梗塞、脳梗塞、糖尿病にもなる。一方、皮下脂肪は、圧倒的にこうした悪さは少ないです」
内臓脂肪は減らすのは難しいもの。これについて「コツがある」と話す吉田先生。
吉田「できるだけ遅いスピードでダイエットをすることです。これで内臓脂肪はかなり減ります。
多くの人はダイエットとリバウンドを繰り返していますが、実はこれが最悪です。極端なダイエットをすると、内臓脂肪も落ちますが、皮下脂肪も落ちる。その後、リバウンドすると皮下脂肪はなかなか元に戻らず、内臓脂肪だけが優先的に増える仕組みになっています。
だからダイエット、リバウンドを繰り返すと、老化が早まり、死亡率を上げてしまっています」
内臓脂肪の増減は腹囲でわかる
健康的な体重を維持するためには、何を基準にしたらいいのでしょうか?
吉田「これは体重で管理するより、腹囲を測定することです。腹囲を測ったら内臓脂肪の変化を正確に把握できます。同じ人で比較すると、腹囲を測ると正確に内臓脂肪の増減がわかります。腹囲が1cm減れば、内臓脂肪が600g減っています。腹囲が1cm増えたら、内臓脂肪が600g増えています」
腹囲はどこを測ればいいですか?
吉田「おへその高さで測ります。立った状態で、空腹の時に測ります。自然に呼吸して息を吐き切ったところで測定します」
腹囲の変化に注目して、しっかりと内臓脂肪をコントロールしましょう。
(みず)