一冊の本だけ売ってる「一冊屋」選定基準は"変化"
山形県山形市には1冊の本だけを売っている少し変わった書店があります。その名も『一冊屋』。オーナーはなんとレストラン店主で作家でもあるのです。5月16日放送の『CBCラジオ #プラス!』では、そんな“三刀流”で活動する渡辺大輔さんが電話出演し、一冊屋の取り組みやその背景にある思いについて語りました。聞き手は天野ななみと竹地祐治アナウンサーです。
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渡辺さんは2011年に1人で料理店を始め、その営業と並行しながら2017年頃から自ら執筆し、自社出版の形で本を出し始めました。
さらに2025年には書店「一冊屋」を開店。現在は料理店を営みながら、取材や執筆もこなしています。
渡辺「お客様がお酒を飲み終わって、ラストオーダーが終わってくつろいでらっしゃる時間帯に、こっそり調理場のパソコンで文章を書いたりとか」
竹地「頭が器用に切り替わるもんですね」
また、作家活動のきっかけについて、渡辺さんは自身の店がある山形市・七日町の歴史に興味を持ったことを挙げました。明治時代には遊郭、昭和には大きなキャバレーがあった土地で、地元の年配客から町の歴史を教わるうちに「じゃあちょっと本にしようか」という流れになったということです。
一冊屋とは
2025年に始めた「一冊屋」は、その名の通り毎月1冊だけを特集販売する書店です。
渡辺「私1人でやってるので、力を入れて紹介できるのは1冊だろうっていうところから始まってる」
毎月、自身が実際に読んで勧めたいと感じた本を選び、その1冊だけを並べているといいます。
竹地「それって結構売れるもんなんですか」
渡辺「書店だけで経営を成り立たせようというと、ちょっと難しい業態」
料理店と作家業があるからこそ成立しているようです。
店舗はレストランに隣接しており、イギリスから取り寄せたというレトロな扉が特徴的。天野も「喫茶店みたい」と印象を語り、「入口の照明が昔のガス灯みたい」と雰囲気の良さを絶賛しました。
選ぶ本の基準は
一冊屋で扱う本について、渡辺さんは自分があまり関心を持ってこなかったジャンルを、あえて選んでいると話します。
例えば美術や化学など、自分にとって未知だった分野の本を読み、「知らなかったことを知るのって単純に楽しい」と感じているそうです。
現在特集しているのは化学に関する本。生命の起源を炭素に求める仮説を追う内容です。
渡辺さんにとってわからない専門用語が冒頭から出てくるので、化学の基礎の本から読み始めたと振り返りました。
その話を聞いた竹地は、「学問というより考え方に共鳴しちゃう」と、自身も最近数学の本を読んで"知ること"の楽しさを見出しているそうです。
渡辺さんもその楽しさを客に伝えているのとこと。
渡辺「本の詳細というよりも、体験を伝えるっていうことだと思います。呼んでみたらちょっと世の中の見方が変わったというような、自分の変化をお伝えするっていうところが主かと思います」
一冊屋を始めた理由
一冊屋を始めた理由について、渡辺さんは「料理好きのコミュニティだけでなく、本を読みたい人たちのコミュニティも作りたかった」と説明しました。
「本は読んでみたいけど、何から読めばいいかわからない。情報が多すぎて選べない」という人に向け、そこを誰かに任せてみて、読書習慣の第一歩を踏み出してほしいと語ります。
また、「お客様が私の上司だと思ってやってます」と話し、モチベーション管理の難しさも告白。それでも、「新しいことを知る楽しみ」が活動の原動力になっていると明かしました。
4月には、自身の新刊『伝説探偵』を一冊屋で特集したという渡辺さん。
レストラン、執筆、書店という異なる活動を行き来しながら、“知らない世界への入口”を届け続けています。
(ランチョンマット先輩)
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