人手不足解消、外国人労働者より氷河期世代雇用のほうが効果的?
参議院は先月26日、施政方針演説に対する2日目の各党代表質問を行なった際、高市早苗総理が「就職氷河期世代の支援策に関し、今年度内を目処に新たな支援プログラムを取りまとめる」と述べたと時事通信が報じました。また、外国人労働者の受け入れを疑問視する声に対して、高市総理は「人口減少に伴う人手不足の状況で、外国人を将来の労働力人口の一部として考えるべき分野があることは否定できない事実だ」と答えました。3月21日放送『北野誠のズバリサタデー』(CBCラジオ)では、雇用ジャーナリストで大正大学招聘教授の海老原嗣生さんに対し、就職氷河期世代の雇用実態と外国人労働政策について、パーソナリティの北野誠がインタビューしました。
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この記事をradiko(ラジコ)で聴く氷河期世代が損をしてきた賃金の額
一般的に日本の労働実態についてよく言われるのが、「就職氷河期世代は非正規雇用者が多く、それが貧困につながっている」ということですが、海老原さんはそれは間違いだと指摘しました。
就職氷河期世代は損をしていて、本来ならもっと良い就職先に勤めることができたはずで、東京大学の近藤絢子教授の調査によりますと、生涯賃金が7%ほど安いというデータもあるとのことです。
海老原さんによりますと、氷河期世代に限らず40代時点のデータを見ると3割近くが非正規雇用。
非正規雇用のうち85%が女性であるとともに75%は既婚者で、子育てなどで正社員になりにくくパート労働者になっているという現状があるそうです。
大卒の男性に絞るとどの世代でも非正規は5%ほどで、さらに「他に俳優やお笑いなどの夢を追いかけながら働いている」といった、不本意ではなく希望して非正規になっている方が多いとのことです。
正社員になりたい人の本当の数
また、非正規雇用者は2,100万人で、労働者の3人に1人が非正規というようにデータを使われますが、非正規雇用者の圧倒的多数が主婦や高齢者、学生であり、「本来なら正社員になりたいのになれない」と思っている方は180万人のため、割合は少ないということになります。
これは内閣府が行なっている労働力調査に基づくもので、毎月10万人に継続的にヒアリングしていますので、信ぴょう性の高いデータといえます。
よく「人手不足解消のために外国人労働者を受け入れる前に、氷河期世代の人たちを雇用すべき」という意見がありますが、海老原さんはこれらの調査結果から「氷河期世代の非正規雇用者が外国人労働者の代わりにはなり得ない」と語りました。
氷河期世代対策は効果的か?
冒頭、高市総理が就職氷河期世代への支援策をまとめるという話がありましたが、これは効果があるのでしょうか。
海老原さんによりますと、国はこれまで氷河期世代と名前のついた施策だけでも7,000億円ほど使ってきたと語り、まだこの世代の方々が若かったうちは効果があったそうです。
では今は非正規労働者への施策は無駄かというと、そういうわけではありません。
心の病や家庭の事情によりやむなく非正規雇用で働いていたが、正社員で働きたいという人に対しては、海老原さんは世代に関係なくフォローすべきと語りました。
研究があまり進んでいない
また、非正規雇用が女性中心になっている点については、国の政策だけでは解消できず、社会や家庭での問題でもあるため、なかなか解消できないことでもあります。
そして、男性の正社員登用はある程度進んできたことから、人数的にこれ以上劇的に増やすのは難しいですが、これまで結婚・出産でせっかくのキャリアを断絶された女性に対しては、パートから正社員に登用するのは効果的です。
ただ、海老原さんは今の労働政策が就職氷河期対策なのか、女性活躍対策なのかわからなくなっていると指摘。
学術分野でもさまざまな雇用・労働データを突き合わせて分析、研究する学者が少ないのも問題であるとまとめました。
(岡本)
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