CBC web | 中部日本放送株式会社 / CBCテレビ / CBCラジオ

MENU

トランプが激怒したAI企業・アンソロピックに支持が殺到する理由

トランプが激怒したAI企業・アンソロピックに支持が殺到する理由

AI(人工知能)の開発を手がけるアメリカの新興企業Anthropic(アンソロピック)と、トランプ米政権の対立が激しさを増しています。イラン攻撃などにもAIが利用されるようになる中、人工知能はどうあるべきかという大きな課題が浮上しました。3月9日放送の『CBCラジオ #プラス!』では、CBC論説室の石塚元章特別解説委員が、対立の背景とAIの今後のあり方について解説しました。

関連リンク

この記事をradiko(ラジコ)で聴く

急成長した新興企業

アンソロピックは、生成AIのClaude(クロード)を開発している企業です。

生成AIとしては、OpenAIが開発したChatGPTが日本では広く知られていますが、そのOpenAIに元々勤めていたダリオ・アモデイ氏らが、当時の経営陣と意見が対立して退社し、2021年頃に立ち上げたのがアンソロピックです。

クロードの使い勝手が優れていたことから注目を集め、設立からわずか数年で大手の一角に食い込む存在へと成長しました。

その性能の高さから、アメリカの国防総省(ペンタゴン)もクロードを採用しました。石塚によると、国防総省が使っているAIはクロードだけだといいます。

使用制限をめぐる衝突

ところが、アンソロピックはAIの利用に一定の制限を設けています。AIはまだ開発途上であり、自国民を大規模に監視する目的や、人間が一切介在せずAIだけで判断して攻撃する「完全自律型兵器」には使わせないという方針です。

これに対し国防総省は、国家の安全のために無制限で使わせるよう求めましたが、アンソロピック側は拒否。これにドナルド・トランプ大統領が激怒し、「左翼の狂信者だ」と強い言葉で非難しました。

さらに国防総省は、アンソロピックを「サプライチェーンリスク」(供給網のリスク)に指定しました。

供給網に悪影響を及ぼすおそれのある企業を排除するためのリストで、通常は中国のファーウェイのような敵対国の企業が対象です。国内のAI企業が指定されるのは異例の事態といえます。

なびく大手、屈しない一社

しかし、アンソロピック側はこの措置に怯みません。「うちは真面目に原則を守っている。国の方がおかしい」として、裁判で争う姿勢を示しました。

石塚「そういう態度がまたトランプさんは気に入らないんでしょうね。あんなにプレッシャーかけてるのに跪かないんだこいつらはと、多分思ってるんじゃないですかね」

背景には、他のテック企業の動きがあります。Amazonの創業者ジェフ・ベゾス氏、Meta(旧Facebook)のマーク・ザッカーバーグ氏、Appleのティム・クック氏など、第1次トランプ政権時には批判的だった経営者たちが、第2次政権になって次々とすり寄り始めたのです。

興味深いのは、アンソロピックの創業者が元々在籍していたOpenAIのサム・アルトマン氏も、トランプ大統領に接近している点です。

多くのテック企業がなびく中、アンソロピックだけがすり寄らないという構図が鮮明になっています。

支持者が急増

注目すべきは、政府と対立しながらも、イラン攻撃や今年初めのベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領拘束の作戦計画にクロードが使われたとされている点です。

高い能力を持ちながらも政権に屈しない姿勢を取ったことで、これまでChatGPTを使っていた150万人もの利用者がクロードに乗り換え、利用者ランキングでChatGPTを抑えて1位になったという情報もあるそうです。

さらに、ライバル企業であるGoogleやOpenAIの社員が数百人規模で、「アンソロピックを応援する」とネット上に連帯の声明を発表しました。これには自社の経営陣に対して「考え直してほしい」というメッセージも込められています。

AIのあり方が問われる

石塚は、この対立がAIの今後に大きな課題を示していると指摘します。

石塚「まだまだ不安定なところのあるAIが、すごい権力を持ってる人に『自由に使ってください』という時代ではまだないだろうと。アンソロピックの経営陣は言うわけですよね」

さらに、制限をかけるなというトランプ大統領の主張に対しても「何に使われるかわからないからこそ不安になる。ルール作りが今後の課題だ」と懸念を示しました。
(minto)
 

この記事の画像を見る

オススメ関連コンテンツ

PAGE TOP