新START失効。核兵器開発に歯止めがかからなくなる?
アメリカとロシアの間で結ばれた新戦略兵器削減条約、いわゆる「新START」が期限を迎え、5日に効力が失われました。大国間の核軍縮の枠組みが失われてしまった今、世界は再び核軍拡競争の時代に戻ってしまうのでしょうか?2月4日放送『CBCラジオ #プラス!』では、CBC論説室の石塚元章特別解説委員が、新STARTが失効された理由や今後の懸念点などについて、わかりやすく解説しました。聞き手は永岡歩アナウンサーと三浦優奈です。
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この記事をradiko(ラジコ)で聴く20年以上前に締結した条約が元
かつて東西冷戦が80年代末期に集結しましたが、米露という2大国の間で核兵器を減らそうと「START I」を1994年に締結しました。
当時は核弾頭が2国合わせて5、6万発もありましたが、これを6千発程度にまで減らすことができ、2009年に期限を迎えました。
削減している間にも、次の軍縮を行なおうと「START II」や「START III」も調整していましたが、これはうまくいかず。
その後、オバマ元米大統領とメドベージェフ前露大統領で新たに「新START」が2011年に発効され、期限を2026年2月までとしていました。
新STARTでは核弾頭を1,500発に減らす目標を掲げていて、実際に核弾頭は減りました。
石塚が「新STARTの大きな意義」として挙げたのは、お互いに核弾頭を減らすという約束をしていただけではなく、お互いに査察ができる点。
しかし、新STARTに続く新たな条約は結ばれていないため、これから核兵器の開発に歯止めがかからないことが、大きな課題となっています。
新たな条約締結がストップしている理由
次の核軍縮の話が進まなくなった原因のひとつは、やはりロシアのウクライナ侵攻。
ウクライナ侵攻に反対する欧米に対して話し合いに応じなくなりましたが、昨年にプーチン露大統領が、「条約の期限が切れても1年間、新STARTのルールは守る」とアメリカに打診しています。
ただし、「アメリカも同じようにルールを守るなら」と条件をつけたようですが、言われた側のアメリカは無回答。
最近、トランプ米大統領は「新STARTが期限切れになるなら、それでいい」という態度を取っているそうです。
それは核軍縮をしたくないというよりは、新しい条約を結ぶ必要があると考えているためと見られています。
人類滅亡まで85秒?
STARTは長らく米露間で結んできた条約ですが、この30年以上もの間に中国が大量に核兵器を開発してきているという状況。
ストックホルム国際平和研究所によると、ロシアは核弾頭を4,300発、アメリカは3,700発を持っていると推計されていますが、中国はすでに600発。
しかも、そのうち100発は最近1年間で作られたという専門家の話もあり、数が急激に伸びてきています。
そのため、中国が参加しないと効力がないというのが、トランプ大統領の見方のようです。
また、STARTは長距離攻撃が対象で実際には使用せず、世界に影響を与えようという戦略核が対象である一方、戦術核といって戦場で実際に使用する小型核兵器は対象ではありません。
効力が弱まっているSTART。新たな条約がない限り、核兵器の開発には歯止めが効かなくなるのも事実。
最近、人類の絶滅まであと何分と例えている世界終末時計が今、過去最短の85秒になったとニュースになりました。
科学者が集まって決めていて、東西冷戦が終わった年は17分でしたが、ここまで危険性が高まっている今、新たな国際ルールの締結が求められています。
(岡本)
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