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「お前これ、カットだよ」谷繁元信が川上憲伸に伝えた新球種の正体

「お前これ、カットだよ」谷繁元信が川上憲伸に伝えた新球種の正体

CBCラジオ『ドラ魂キング』、「川上憲伸、挑戦のキセキ」は、野球解説者の川上憲伸さんが、自身のプロ野球人生を「挑戦」という視点から振り返るコーナーです。1月14日の放送では、2002年春キャンプで谷繁元信捕手から新球種の正体を教わったエピソードについて伺いました。聞き手は宮部和裕アナウンサーです。

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投げられなかった新球種

2001年のオフ、川上さんはアメリカに渡り、ワールドシリーズで活躍するマリアノ・リベラ投手やカート・シリング投手が投げる新しい球種を目にしました。帰国後、秋季キャンプから習得に取り組み、ついに2002年の沖縄春キャンプを迎えます。

この年、横浜ベイスターズからFAで移籍してきた谷繁元信捕手が中日ドラゴンズに合流。キャンプでは谷繁捕手がブルペンで受けてくれる機会がありました。

しかし川上さんは、新球種をすぐには投げませんでした。

川上「おこがましくて言えなかったんですよ。『新球があるんです』と。1回目は投げなかったんです」

まだキャンプが始まったばかり。評価してもらわないといけない立場だからこそ、仕上がっていない球は見せられなかったのです。

ブルペンキャッチャー相手には堂々と投げていましたが、谷繁さんが来た時には投げられなかったといいます。

こっそり投げた新球種

キャンプも中盤に差しかかり、新球種がだんだん仕上がってきたと感じた川上さん。谷繁捕手がまた受けに来てくれた時、申告せずにこっそりその球を投げてみました。

すると谷繁捕手は首を傾げたのです。

川上「谷繁さんが『お前、今日なんかまっすぐ動いてるな』って言って。『あ、はい。ちょっと意識してます』って答えたら、『ああ、ええよ。もっとちゃんと投げろよ』って話になって」

それから1週間ほど経った第4クール終盤、川上さんの変化球はさらに成長していました。その球を見た谷繁捕手は、こう言いました。

『お前これな、カットだよ』

「カットボール」の誕生

「カット」が何のことかわからない川上さんに、谷繁捕手は「俺、向こうで受けてるから」と説明しました。アメリカでテスト生として実際にメジャーリーガーの球を受けた経験があったのです。

川上「『向こうのピッチャー投げるんだよ、こういうの。カットボールっていうの』『あっ、そうなんですか』」

川上さんはアメリカにいた時、この球種の名前が「カラー」と聞こえていたといいます。「cutter」(カッター)のttの発音が「ラー」っぽくなるからです。

川上「一緒の発音なんですよ、実際は。カタカナ英語で言うとカットなんですけど。それが一致して、谷繁さんが作ってくれたんです、名前を」

当時の日本では「カット」という呼び名はあまり一般的ではなく、「真っスラ」などと呼ばれることもありました。谷繁捕手はサインもちゃんと作ってくれたそうです。

日米野球での実戦投入へ

マリアノ・リベラやカート・シリングを参考にして川上さんが投げた球と、谷繁捕手がアメリカで実際に受けていた球が合致したのです。

そして2002年のシーズンを終えた秋、日米野球が開催されます。
メジャー側には、バリー・ボンズやマリナーズのイチロー選手、バーニー・ウィリアムスなど素晴らしい左バッターが揃っていました。谷繁・川上バッテリーがメジャーリーガーに挑むドリーム対決です。

今やゲームでも「カット」と表示されるほど一般的になったカットボール。その日本での呼び名は、2002年春キャンプでの谷繁捕手のひと言から始まったのです。
(minto)
 

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