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なぜ日本は地震大国なのか?プレート運動から学ぶ地震の基本メカニズム

なぜ日本は地震大国なのか?プレート運動から学ぶ地震の基本メカニズム

9月は防災月間です。私たちの暮らしを守るために欠かせないのが、災害への備えです。9月15日放送の『CBCラジオ #プラス!』では、名古屋大学減災連携研究センター長の鷺谷威教授に、地震が起こる仕組みと私たちが備えるべきことについて詳しく伺いました。

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地震はなぜ起こるのか

私たちが立っている地球の表面は硬い岩でできていますが、実は常に絶え間なく動いています。地球の表面は約10数枚のプレートで分かれており、それぞれが異なる動きをしています。

特に日本列島は異なるプレートが接している場所に位置しています。日本列島の周辺では約4枚のプレートが接しており、陸地は北米プレートやユーラシアプレートという大陸のプレート上にあり、海側には太平洋プレートやフィリピン海プレートという海底のプレートが存在します。

これらの海洋プレートが日本列島の下に潜り込み続け、その際に陸地のプレートを押し込んでいきます。押されることによって力が蓄積され、陸のプレートと海のプレートの境界面で摩擦により支えられていますが、やがて限界を迎えます。

力がある程度溜まってくると、その摩擦で支えきれなくなって壊れてしまいます。それが一番大きな、いわゆる海溝型のプレート境界の大地震が起きるメカニズムです。

地震予知の現状と限界

鷺谷教授によると、一説には世界で起きる地震の1割から2割が日本の周辺で起きているということです。地震は世界中どこでも満遍なく起きるわけではなく、非常に限られた場所で起きる現象です。

南海トラフ地震が起きると言われているのは、プレートが沈み込んでいることと、過去に繰り返し似たような地震が起きていることが根拠になっています。この繰り返しのパターンから、今後30年以内に80%の確率で発生すると予測されています。

しかし、30年という長い期間の中でいつ起きるのか、実際の規模や影響範囲がどうなるのかを事前に予測することは、現状の科学では不可能です。

地震が起きる場所や数十年単位での予測はある程度可能ですが、実用的な予知は現状ではできないのが現実です。

緊急地震速報の仕組み

地震は岩盤が壊れる、断層がずれる現象ですが、断層が壊れた瞬間と地面が揺れ始める時刻は同時ではありません。断層の破壊から発生した地震波が、地中を伝わって各地に到達するまでには時間がかかります。

地震波の伝播速度は1秒間に数キロメートル程度のため、震源から数百キロ離れた場所では数十秒の遅れが生じます。最初に到達するP波に続いて、より大きな揺れをもたらすS波がやってきます。

緊急地震速報は、この時間差を利用したシステムです。震源に近い観測点で地震を検知し、その情報を電波で瞬時に遠方へ伝えることで、強い揺れが到達する前に警報を発することができます。

緊急地震速報が出たら

緊急地震速報が出た際の行動について、鷺谷教授は「どこで何をしているかによって違う」と強調しました。

今ここで地震が起きたら自分が何をすべきかということは、どこにいるか、何をしているかによって違います。いろいろな場面を想定して、考えておくことが必要です。

基本的には不意打ちをされるわけですが、緊急地震速報は強い揺れが来る前にそれをお知らせしてくれます。それだけでもありがたいことで、それをいかに活用できるかを考えておくことが重要です。

マグニチュードと震度の違い

地震が起きた時によく耳にする「マグニチュード」と「震度」の違いについても説明がありました。

1つの地震が起きた時のマグニチュードは1つです。これは地震の規模を表すものですので、大きい地震、小さい地震はマグニチュードで区別ができます。

一方で、同じ地震でも震源に近いところだと強く揺れ、遠く離れているとそれほど揺れません。震度というのはその地震による揺れのことを表しますが、同じ地震でも震度が大きい場所、小さい場所というのは分かれてきます。

海外にも震度の概念はありますが、日本の震度階級とは異なっています。世界標準では12段階程度に分かれているのが一般的です。

震度とマグニチュードの目安

日本では震度6弱以上で大きな被害が出始め、震度6強以上になると相当な被害や影響が出てきます。

震度5でも非常に強く揺れますが、耐震基準を満たした建物であれば、大きな被害が出ることはほとんどありません。

マグニチュードでいうと、6.5以上が大地震と呼ばれる規模になります。マグニチュード4や5の地震は頻繁に起きますが、日本では大きな被害をもたらすことはほとんどありません。

過去の大地震を振り返ると、能登半島地震はマグニチュード7.6、東日本大震災は9.0で日本の観測史上最大の地震でした。

日本に住む以上、地震と向き合い続ける必要があります。そのメカニズムを理解し、緊急地震速報を活用しながら、日頃から様々な場面を想定した備えをすることが大切です。
(minto)
 

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