憂歌団「おそうじオバチャン」作詞家・沖てる夫さんが語る放送禁止事情。

7月21日放送のCBCラジオ『つボイノリオの聞けば聞くほど』では、パール兄弟のサエキけんぞうさんを招き「放送禁止ソング」を特集しました。出す曲が軒並み放送禁止となったつボイノリオならではの特集です。こうした放送禁止ソングのひとつが憂歌団「おそうじオバチャン」。番組には作詞を手掛けた沖てる夫さんが出演し、小高直子アナウンサーを加えた4人でリリース当時を振り返ります。
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この記事をradiko(ラジコ)で聴く番組リスナーだった
沖「遅咲きの天才詩人・沖てる夫と申します。本日はお招きいただきありがとうございます」
この番組では5月に、リスナーから憂歌団の木村充揮さんのライブを観たとの報告が寄せられ、それに対しつボイが「憂歌団は僕の放送禁止仲間ですからね」と発言。
すると翌日に「初めておたより差し上げます。憂歌団の放送禁止曲『おそうじオバチャン』を作詞した張本人の沖てる夫と申します」とのメッセージが。
実は沖さん、番組リスナーだったのです。
「おそうじオバチャン」の成立
沖さんは名古屋在住ですが、関西を中心に活動していた憂歌団のデビュー当時の歌詞を数多く手掛けました。当時は大阪に住んでいて憂歌団とは知り合いだったとか。
そんな中で生まれたのが「おそうじオバチャン」です。
実はこの歌には笑福亭仁鶴の「おばちゃんのブルース」という元歌が存在していました。
この曲を聴いた憂歌団の木村さんがブルースコードで演奏してみたところ、沖さんがイメージを膨らませて「おそうじオバチャン」が生まれたのだそうです。
女性労働者に対する差別?
ところが、この歌詞が内容から職業差別と見なされ、発売から1週間で放送禁止になりました。
小高「これは放送禁止になるかも、と予想しながら書いていたんですか?」
沖さん「僕はおばちゃんの“ユメはかわいいパンティ”…のところでひっかかるかと思ったら、案外そうでなく、“クソにまみれて2,000円”というところが、働く女性労働者に対する差別ととられたようです」
1988年まで、日本民間放送連盟には要注意歌謡曲指定制度というものがあり、指定された楽曲のオンエアを各局が自粛した経緯があります。
放送禁止といっても、あくまで自主規制のため、楽曲を放送したところで罪に問われるわけではありません。
小高「その後、テレビとかラジオでこの曲はまあまあかからないので、放送で聴けるのは貴重です」
そして「おそうじオバチャン」がオンエアされました。
今日も歌って仕事する
つボイ「木村くんはこの頃から歌うまいですね。ずるいですよね(笑)」
小高「歌詞はやっぱりダメだわ。さらに多様性とかジェンダー平等とか言われている時代ですから、なかなかこの歌詞そのものは受け入れられないところが、昔より多くなっているかもしれません」
サエキ「“あたいのパンツはとうチャンのパンツ”というところが昔の感じで、なんともいいですね。いろんなことが書いてあってカラフルなんです、この詞は。沖さんの才能を感じますね」
つボイ「ブルースはアメリカの黒人の労働歌ですよ、まさに綿つみ歌を都会に置き換えたらこういう歌になるんだろうなと思います」
沖「最後の“今日も歌って仕事する”というオチがちゃんとついていると思います」
「おそうじオバチャンに対する親愛の気持ちや共感をこの曲から感じ取る人もいて、解釈の仕方で意見はさまざまですね」と小高はまとめました。
(みず)
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