がん告知は隠す時代から伝える時代へ。体験談から考える今

CBCラジオ『つボイノリオの聞けば聞くほど』。4月18日の放送では、つボイノリオが小高直子アナウンサーと共にがんの告知について語りました。番組にはリスナーから様々な体験談が寄せられ、医師の告知の仕方から本人・家族の受け止め方まで、多角的な視点からがん告知のあり方を考える内容となりました。
関連リンク
この記事をradiko(ラジコ)で聴くがん告知の変遷と現在の考え方
番組内で先日取り上げた「がん告知」の話題に対して、多くのリスナーから反響がありました。
この日はつボイノリオの76歳の誕生日。
つボイ「命に関わるような日ですもんね。今日こういうおたよりを読むというのも意味があることではないかと思います」
「がん告知の件ですが、当事者によって様々だと思います。僕は、がんなら知らせてほしいと思います。なぜなら、死んでから家族に迷惑をかけないために、荷物の整理、処分、身の回りの諸々のことを片付けてあの世に行きたいからです」(Aさん)
つボイは「こういうのは、本当に元気なうちに考えといた方がいいかもわかりません」と応じました。
告知が必要な現実的理由
「がんの告知についての件ですが、がん治療はどうしても高額になります。なので、近頃はがん保険に入ってる人も多いと思います。本人告知が主流になったのも、患者本人が知らないといろんな手続きが進まないからだと思います」(Bさん)
つボイは自身の例を挙げます。
つボイ「私もがん保険入ってますから。『がん告知されました』ということで保険会社に連絡して保険金をもらう、そういうシステムがあります。本人にやっぱり知らせて本人が対処するというような、がん保険というものがあるからこそ、余計に本人に伝えることなんだということですね」
さらに告知には、治療法の選択という側面もあります。
小高「治療法も様々になってきて、メリット・デメリットや費用面も考慮されます。その中からどれが自分に合っているかを選ぶには、きちんと告知された上でないとスムーズに進まないこともあるんでしょうね」
このように現代では、がん告知が患者自身の経済的な権利行使や治療への積極的な参加を可能にする、医療の重要な一歩となっているようです。
医師の伝え方と患者の受け止め方
「母のがんは、画像読影の先生がレントゲンを見ながらボソッと『えー、ここががんなんでね』と。
診察を待ってる間に、母と『聞き間違いじゃなかった?さっきがんって言ったよね』『私もそう聞こえた』という会話をしたほど、さらっと言われました。
しっかりした母だったのでよかったですけども、人によってはショックを受けるのではないでしょうか」(Cさん)
小高は告知の伝え方と受け止め方の関係について考察します。
小高「お医者さんの気持ちの中で、『はっきり言った方がわかりやすくていい』って思ってる先生と、『そんなに大したことじゃないんだよ』って言いたくて、さらっと言っちゃう先生もいるけれども、受け取る患者さんの受け取り方も様々です」
昔のがん告知事情
「40年以上前のことですが、私の祖母ががんで入退院を繰り返していました。あの時代なので、祖母にはがんであることを周りの人は隠しておりました。
ところが、当時幼稚園児だった私は、祖母に面と向かって『おばあちゃん、がんなの?』と言い、周りにいた大人たちは肝を冷やしたそうです」(Dさん)
Dさんによれば、大人たちはこどもにも病名を隠していたつもりでしたが、どこかで聞き漏らした言葉から祖母に質問してしまったとのこと。
「祖母は自分の病状からして自分ががんだと薄々気づいていたそうですが、無邪気な幼稚園児の私がとどめを刺してしまいました。祖母は治療の甲斐もなく、私が小学校に上がってすぐに亡くなりました。
おばあちゃんが『がんなの?』と言われた時、祖母はどう思ったんだろうと今になって思います」(Dさん)
情報時代のがん告知
「高1の時に倒れ、『血液が薄すぎる』と即入院。肋骨の中の血液を採血された時、白血病の検査だと思いました。先生はただの検査だと言ってるけど、血液を作るところ、骨の中から採血するってそういうことだよね」(Eさん)
結果的に白血病ではなかったものの、Eさんはもし本当に白血病だったら告知されなかったのか、疑問に思ったそうです。
「でも生物は得意科目だし、自分でいろいろ調べて疑心暗鬼になったと思うんです。ましてや、今ではネットで情報が溢れますから、告知は必然だと思います」(Eさん)
つボイ「ネットで調べるよね、自分の病気って」
小高「お医者さんから見てみると、自分でネット検索して自己診断しちゃって、ほぼ正しかった場合もあるでしょうけど、全然違う方向に行ってたりとか。そういうことがあると、しっかりと本人に伝えた方がいいんじゃないかなってことにもしかしたらなってるのかもしれませんね」
現在のがん告知事
がんの告知に対する考え方は、時代とともに変わってきました。
かつては隠すことが当たり前だった病名も、現在では保険の手続きや治療の選択などを理由に、患者本人への告知が重要になっています。
その伝え方や受け止め方には、医師の告知スタイルと患者一人ひとりの状況に応じた配慮が大切です。
(minto)
番組紹介

読んで聴く、新しい習慣。番組内容を編集した記事からラジオ番組を聴いていただける”RadiChubu”。名古屋を拠点とするCBCラジオの番組と連動した、中部地方ならではの記事を配信する情報サイトです。