プロ野球の伝統に一石!セ・リーグ「DH制」導入の賛否と未来
近い将来、セ・リーグの伝統が揺らぐかもしれません。先日、プロ野球の榊原定征コミッショナーが「セ・パでルールが違うというのはノーマルな状態ではないと思う」と述べ、セ・リーグへのDH制導入に前向きな姿勢を示しました。さらに、「高校野球」にもDH制導入を検討しているという話もあります。果たして、野球の未来はどう変わるのでしょうか?1月8日放送のCBCラジオ『ドラ魂キング』では、リスナーからの投稿を交えながら、宮部和裕アナウンサーと安藤渚七が語り合いました。
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「DH採用、断然賛成派です。まず確実に選手寿命は延びる。投手は投げることに専念できるし、野手はチャンスが増えるし、悪いことなし。そもそもセ・リーグがパ・リーグに弱いのはDHがあるかないかに尽きますよ。
投手でひとつアウトがもらえるセ・リーグと違い、パ・リーグは1番から9番まで気が抜けませんからね」(Aさん)
「セ・リーグ、高校野球にDH制導入ですが、セ・リーグは大賛成。
高校野球はどちらかというと反対です。4番・ピッチャーという高校野球ならではのものが見られなくなるのは悲しい」(Bさん)
「高校野球にまでDH制度を導入するのは反対です。こどもの頃からエースで4番・二刀流を排除することになってしまいますからね」(Cさん)
やはりいろいろな意見があるようです。
DH制がもたらした日本一
宮部「エンターテインメントとしてのプロ野球のDH制と、高校野球のDH制。狙いとか、いいところ、そうでないところ、若干の違いはあるんですが。プロ野球、NPBのコミッショナーの私見として、セ・リーグもDH制にセとパで何十年とルールが違うというところにポイントを当ててということですね」
現に昨年の日本シリーズでは、セ・リーグ3位だったベイスターズが下克上で日本一になりました。
この大きなポイントのひとつが、DHにありました。それは、オースティン選手の大爆発です。
宮部「オースティンが打ちまくったのはDH制。それから9番から1番桑原へのランナー溜めての流れが生まれて、桑原も大活躍。珍プレー好プレー含めて、めっちゃ活躍してましたよね!」
これらのスター選手を産んだのは、DH制のあるパ・リーグの本拠地でした。
異なるルールへの疑問
一方、こんな考え方もあります。
宮部「小松辰雄さんのホームランとか、(川上)憲伸さんの開幕ピッチャーを務めて、自分がホームラン打って得点あげちゃうっていう」
ピッチャーの打席から生まれるドラマがなくなってしまう寂しさはあります。
安藤は野球を知らない友人に野球について説明する時に、「なんでリーグでルールが違うの?同じ野球じゃないの?」と不思議がられることもあるそうです。
安藤「最後は日本一を決めるために両リーグで戦うのならば、シーズン中から同じルールでいいじゃんっていうところも。自分の意見も含め、なんで違うんだろうっていうのはずっとあったので」
確かに他のエンタメスポーツにおいて、ルールが違う種目はないかもしれません。
安藤「そこを統一するのは私は賛成派ですね」
DH制で進化する観戦の醍醐味
メジャーリーグでは、ナショナルリーグもDH制になりました。
現在大学野球では東京六大学野球と、中日ドラゴンズの金丸夢斗投手が活躍した関西学生野球リーグのみが、投手の打席を残している状況です。
宮部「そこはエンタメ性として、それから新しいファンが魅力を感じるためにはDH制というのはいいかもしれません」
さらに宮部は、試合中にお手洗いに行くタイミングについて言及します。
宮部「下位打線の時、ピッチャーが打席の時に行こうかなっていうのがあるんですよね。守りも見たいから。でもDH制だとダブルクリーンナップというか、山場が2回も3回もあるから」
安藤「目が離せない!常に」
宮部「そちらの方がいいのかなっていうのを。今まではセ・リーグのドラゴンズ中心に見てきたんですが、改めて侍ジャパンのゲームで感じたというのは正直なところあります」
DH制で広がるチャンス
高校野球に関しては、夏の暑さ対策や選手の負担軽減でのDH制があります。7イニング制は検討中で、延長タイブレークは実現しました。
自身も「甲子園まであと6歩」の千種高校の野球部員だった宮部はこう語ります。
宮部「一時、怪我でレギュラーじゃなかった時期があって、三塁コーチの時期がめちゃくちゃ悔しかったです。でもDH制にすれば、ピッチャーはピッチャーとして大活躍して、もうひとりレギュラーが増える」
DH制を導入することで、試合で活躍できる選手がひとり増えることになります。
宮部「両方がストロングポイントを活かせるっていう意味では、アマチュアスポーツでも将来のためにも、大いにこれいいんじゃないかなという気持ちもあるんで」
プロ野球でも高校野球でも、「チャンスが増える」という意義のある制度といえそうです。
(minto)