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ニッポンの死因を地域で分析~都市部は結核、地方は交通事故が目立つと判明

ニッポンの死因を地域で分析~都市部は結核、地方は交通事故が目立つと判明
イメージ画像:「地方の道沿いにあるカーブミラー」(写真ACより)

日本人の死因のトップは「がん(悪性新生物)」、病気全体の4分の1を占める。これは厚生労働省が発表した人口動態統計による実態なのだが、では、住んでいる地域によって死因は異なるのか。興味深い分析結果がまとまった。

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地方と都市部の“健康格差”

イメージ画像:「山間部を走る救急車」(写真ACより)

研究成果を発表したのは、東北大学大学院医学系研究科(公衆衛生学)の香田将英講師の研究チームである。地方と都市部(都会)、住んでいる地区による“健康格差”は、例えば病院の数が少ない、遠い、交通が不便など「地理的な事情」なのか、所得や仕事が安定しているという「経済的な事情」なのか、実は漠然としたイメージはあったものの、データ分析として十分に解明されていなかった。

408万人のデータ分析

その理由が分かれば、命を守る対策を具体的に立てることができるのではないか?研究チームは、人口動態統計や国勢調査などの結果から、全国1890市区町村の死亡データを分析した。その数は408万人分にのぼった。地理的な条件として、人口密度、病院の数や距離、医師の数、さらに山間部なのか豪雪地帯なのか、それを指標とした。その結果、所得や雇用などの「経済的な事情」を差し引いても、地方と都市部では、「地理的な事情」による格差が、死因と結びついていることが明らかになった。

地方で目立つ「交通事故」

イメージ画像:「事故で曲がったガードレール」(写真ACより)

では、地方ではどんな死因が目立ったのか?死亡率が高い傾向が明らかな死因は「交通事故」だった。「老衰」「急性心筋梗塞」と続く。また、「クモ膜下出血」や「脳梗塞」など、発症したら迅速な医療対応が求められる死因も多かった。そこにあるのは、病院までの距離や救急車などでの搬送時間など医療機関との連携に問題があって、治療を始めるまでに時間を要するなどの背景があることが浮き彫りになった。

都市部では「生活環境」が要因

イメージ画像:「病院の一室」(写真ACより)

一方、都市部で死亡率が高い傾向を最も見せていた死因は「結核」だった。次いで「喘息(ぜんそく)」など人口が多い都市独特の生活環境による死因が目立った。また「乳がん」「肝臓がん」など、上位11項目の「がん」が7項目を占めていた。「がん」については、日本人の死因のトップであり地方でも多いのだが、都市部の方がより目立つ結果となった。

地方と都会、それぞれの対策は?

こうして、地方と都市部、そこにはいわゆる“健康格差”が存在することが分かった。そうなると“地方は不利”と一括りにするのではなく、死因ごとの特徴を、健康対策に活かしていくことが求められる。地方では、「心筋梗塞」や「脳梗塞」などのように、発症から治療までの時間が生死を分けるような疾患に対しては、救急搬送体制や医療機関との連携の強化が重要になる。都市部では、感染症対策や生活環境の改善などと共に、がん検診の促進が、地方以上に必要になる。

海外にも発信された研究

今回の研究成果は、2026年(令和8年)7月に、英国の医学誌でも発表された。香田講師によると、「地方で死亡率が高い」という傾向は、米国やオーストラリアでも報告されているという。ただ、離島や豪雪地帯など、その国ならではの地理的な事情まで組み入れての研究は、世界的にも珍しいとのことで、日本が一歩前に踏み出した形である。同じような分析方法を取っていけば、国同士の比較研究に発展することも可能だと香田講師はコメントを寄せた。

日本は、健康保険証があれば、基本誰でも医療を受けることができる。地方と都市部の差はあるものの、現在の医療制度は“健康格差”を和らげているとも言える。そんな日本発の研究が、世界の人々の健康維持や命を守ることに結びついていく将来に期待が高まる。
 
【東西南北論説風(726)  by CBCマガジン専属ライター・北辻利寿】

<参考資料>
「地方と都市の健康格差は疾患によって異なる-全国408万人データから地理的要因と社会経済的要因の関連を解明-」(国立大学法人東北大学)

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