「地球外生命体みたい!」謎多きイセエビの生態に迫る 三重・志摩市「三重県水産研究所」の挑戦とは?

三重県志摩市にある「三重県水産研究所」では、世界で初めて卵から稚エビまでの人工飼育に成功。今回は、神秘に包まれたイセエビの生態解明に迫る研究者たちを、よしお兄さんが取材しました!
まるでガラス細工!?人工海草に隠れた繊細な生き物

よしお兄さんが訪れたのは、「三重県水産研究所」。研究員の田中さんが1か月前に海中に仕掛けた、人工海草を引き上げる作業に密着します。一見何も付いていないように見える海草でしたが、ガサガサと振ってみると驚きの光景が!
(研究員・田中真二さん)
「あ!たくさん!これが目的の生き物、イセエビの子どもです」

手のひらほどの大きさながら、確かにイセエビの形をした小さな生き物が次々と現れました。生後1年の幼生は透明で美しく、まるでガラス細工のような繊細さです。
(研究員・田中さん)
「まだ色がついていなくて透明なので、ガラスエビと呼ばれています。これもイセエビです。いま採れたものの1年先輩ですね」
謎多き生態の解明に課題も 資源保護のための重要な研究とは?

なぜこのような採集調査を行うのでしょうか。田中さんによると、この調査には重要な意味があります。
(研究員・田中さん)
「約2年後に漁獲できるイセエビの数を把握することで、資源を守りながら効率的に漁ができる」
この調査データは、将来の漁獲量予測に欠かせない貴重な情報となり、持続可能な漁業の実現に役立てられています。

研究所では、さらに驚くべき生き物を見せてくれました。透明で平たく、まるで宇宙からやってきたような不思議な形の生き物です。
(研究員・田中さん)
「これはフィロゾーマ幼生と言いまして、卵から孵化したばかりはこのような姿をしています」
(よしお兄さん)
「地球外生命体みたい!」
「フィロゾーマ幼生」はおよそ1年で「ガラスエビ」と呼ばれる「プエルルス幼生」に変態し、その後「稚エビ」となって、およそ2年で漁獲サイズへと成長します。

実は、「三重県水産研究所」は世界で初めて卵から稚エビまで人の手で育てることに成功した施設。現在は年間100匹程度の人工飼育技術を確立していますが、まだまだ課題は山積みです。特にフィロゾーマ幼生の餌は、適切なものが2種類しかわかっていません。
(研究員・田中さん)
「生殖巣、卵の部分だけしか食べないんです。細かくカットして与えます」
さらに共食いを防ぐための飼育方法や、大人の伊勢エビが住みやすい環境づくりなど、研究者たちの情熱は止まりません。
(研究員・田中さん)
「研究を続けていき、水産資源を守ることを目指したい」

(よしお兄さん)
「本日の推しどころキャッチコピー!『謎多き伊勢海老。日々研究、未来の為に』」
11月9日(日)には、「豊かな海づくり大会」が41年ぶりに三重県で開催!この研究所で育てられたイセエビも放流される予定です。
CBCテレビ「チャント!」2025年8月27日放送より
番組紹介
