隧道の中に屋根!?独特すぎる「此の木隧道」&山中に眠る崩れかけの「大平隧道」
全国の道に特化したバラエティ番組『道との遭遇』では、道マニアがイチオシの道をご紹介。今回は、石川県にある“隧道”を巡ります。(この記事では道情報だけをまとめてご紹介します)※安全に留意して撮影しています
天井に大きな穴!?山中に眠る崩れかけの「大平隧道」
能登半島にある七尾市の山の中には、崩れかけた「大平隧道」が眠っています。つづら折りの山道をしばらく歩いていると突如その姿を現し、立派なコンクリート製の入口が目を引きます。
隧道の上には「大平隧道」と書かれた扁額(へんがく)があり、入口の両脇には「昭和41年3月竣工」の文字や、工事に携わった人の名前が書かれています。内部は崩壊しており、入口近くの天井には大きな穴が。反対側の天井にも同じように大きな穴が開いています。
道マニアは、崩れやすい出入口を守るために後からコンクリートで補強し、その際に電気のない隧道内に光が届くよう、あえて隙間を作ったのではないか、と考察。「大平隧道」は長い間使われないまま、今も山の中で眠っています。
隧道の中に木製の屋根!?地域住民が造った「此の木隧道」
七尾市大田町には、道マニア界でもファンが多いという珍しい形をした隧道「此の木(このき)隧道」があります。
一風変わった趣で、隧道の内側が木製の屋根で覆われており、入口には高さ制限の標識があります。隧道が崩れないよう、隧道内には天井や壁を支える「支保工(しほこう)」があり、木の支保工が残っている隧道は珍しいそう。
この地域で生まれ育ったという81歳の男性に伺ったところ、「此の木隧道」は山の上にある畑へ行くために、地域の人たちが協力して2年ほどかけて造ったそう。隧道までの道にレールを敷き、手動のトロッコに掘った土を乗せて下まで運搬。さらにその土を利用して隧道につながる道も造り、昭和35年に完成したのだとか。
また隧道内の支保工は後付けで、鉄やコンクリートよりも経費のかからない木材でしっかり補強できる構造を試行錯誤した結果、あの独特な形に行き着いたのではないか、とのことでした。
この60年で劣化した木の入れ替えを3回行うなど、年々この道を使う人が減っても、地域の人たちで定期的に手入れしているそうです。
8月29日(火)午後11時56分放送 CBCテレビ「道との遭遇」より