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食事中にむせませんか?…名医が徹底解明!命を脅かす「誤嚥」の原因や予防法

食事中にむせませんか?…名医が徹底解明!命を脅かす「誤嚥」の原因や予防法
CBCテレビ『健康カプセル!ゲンキの時間』

身近な健康問題とその改善法を、様々なテーマで紹介する番組『健康カプセル!ゲンキの時間』。
メインMCに石丸幹二さん、サブMCは坂下千里子さんです。
ドクターは、東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科
摂食嚥下リハビリテーション学分野 准教授 歯学博士 中川量晴先生です。

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今回のテーマは「〜食事中にむせませんか?〜命を脅かす誤嚥の恐怖」

番組で50〜70代の100人にアンケートをとったところ「食事中にむせたり、咳き込んだりすることが増えた」と答えたのは、なんと100人中90人。食事中にむせてしまうのは、“飲み込み力”が衰えて誤嚥が起きているからだそうです。さらに、体力が落ちている時に誤嚥するようになると、誤嚥性肺炎につながり命の危険もあるのだとか。そこで今回は、誤嚥の原因や予防法などを専門医に教えてもらいました。 

「誤嚥」の基礎知識

CBCテレビ『健康カプセル!ゲンキの時間』

<誤嚥とは?>
誤嚥とは、飲み込んだ食べ物や唾液などが食道ではなく気管に入る事。普段空気しか通らない気管に食べ物・飲み物・唾液などが入る事でむせる症状が出ます。先生によると、食事中にむせてしまうのは、“飲み込み力”が衰えているからだそうです。

<誤嚥が命にかかわる恐れも>
病気や加齢などで免疫が落ちている場合は、誤嚥に特に注意が必要だそうです。誤嚥したものが吐き出せず肺に届いてしまうと炎症が起こり、命に関わる誤嚥性肺炎につながってしまうのだとか。事実、誤嚥性肺炎により命を落とす人は年間約5万人。現在、日本人の死亡原因の第6位になっているそうです。

飲み込み力が落ちる原因(1)「舌の力の衰え」

<むせと舌の衰えの関係>
食べ物が通る食道は喉の奥にあり、気管はその手前にあります。そして、口に入った食べ物は咀嚼された後、舌が上顎にくっつき押し潰されながら食道に運ばれます。ところが、舌が衰えると、食べ物を押し出す力が弱くなり食道まで食べ物を送り込めず、手前の気管に入る事が増えてしまうそうです。

<なぜ舌は衰える?>
先生によると、舌は筋肉の塊。普段から使っていないと徐々に力は衰えていくそうです。「軟らかいものばかり食べる」「噛まない」「食事のスピードが速い」といった習慣は、舌を使う機会が減るので、舌の力が衰える傾向にあるのだとか。他にも、人は話す時にも舌を使うため、会話の機会が少なくなると舌の筋肉が衰えてしまいます。そのため、「滑舌が悪くなった」「電話で聞き返されることが増えた」と感じる場合は、舌が衰え始めている可能性があるそうです。

飲み込み力が落ちる原因(2)「喉のブロック力の衰え」

喉の気管の入口には「喉頭蓋(こうとうがい)」という蓋があります。飲み込む時、この蓋が反射的に閉じる事で、食べ物・飲み物が気管に入らないよう自動的にブロックしているそうです。しかし、喉の筋肉が加齢などで衰えてしまうと喉頭蓋が閉まるタイミングがズレてむせてしまうのだとか。舌の力が正常でも喉頭蓋の動きが悪いと食事中のむせにつながるため、注意が必要だそうです。

飲み込み力が落ちる原因(3)「声帯の衰え」

<声帯の衰えとむせの関係>
声帯は喉頭蓋の下にあり、空気を吐き出す時に震えて声を発するという役割があります。実は、その他に気管に入ってきた食べ物をブロックする役割もあるのだとか。ところが、しっかり閉まる健康な声帯と比べて、衰えた声帯は少し隙間が空いてしまいます。すると、その隙間から食べ物が通過してむせにつながってしまうそうです。

<あなたの声帯は大丈夫?声帯の衰え簡単チェック法>
裏声で「あー」と5秒間声を出してみてください。先生によると、裏声は声帯を上手に使わないと出すのが難しい声なのだとか。そのため、声が掠れる場合や裏声が出せない場合は、声帯が衰えている可能性があるそうです。

麺類はむせやすい?

CBCテレビ『健康カプセル!ゲンキの時間』

ラーメンなどの麺類は、固体と液体がある食べ物。麺を勢いよく啜るとスープも一緒に吸い込まれます。すると、スープが気管に入りやすく誤嚥につながりやすいのだとか。そのため、高齢者やむせる人は一気にすすって食べないようにしたり、麺とスープを分けて食べたりして工夫する事でむせや誤嚥などの事故を予防する事ができるそうです。

簡単!声帯の衰えを予防する「発声エクササイズ」

姿勢を正して、お経を唱えるようにゆっくり一息で五十音を発声します。五十音全て言う必要はなく、無理のないスピードと長さでOK!これを1セット3回朝昼夜に行いましょう。徐々に長く言えるようになるのが理想だそうです。

誤嚥を防ぐ工夫とは!現場から学ぶ誤嚥予防法

飲み込み力は、加齢の他にも脳梗塞の後遺症やパーキンソン病などによって衰える事があるそうです。そこで、病気や怪我で飲み込み力が衰えた人たちが実際に行っている回復法や誤嚥予防法をご紹介します。

<まだむせていない方にも効果的!頭部拳上トレーニング>
入院などで長期間寝たきりの状態が続くと全身の筋力が低下します。それに伴い、飲み込みに必要な喉元の筋力も低下するのだとか。そこでリハビリでは、頭を上げ下げする筋トレ「頭部拳上トレーニング」を行うそうです。やり方は簡単!横になった状態で10秒間頭を持ち上げ、つま先を見るだけ。喉元の筋肉が鍛えられ誤嚥のリスクが下がる効果が期待できるそうです。

<食事にも誤嚥を防ぐ工夫を>
誤嚥を防ぐためには、食べやすいように小さく切る事も重要ですが、特に大切なのが「軟らかさ」だそうです。取材をした病院では、飲み込む力が衰えている人のために食事を軟らかくしたり、とろみをつけたりして飲み込みやすくしているのだとか。さらに、食事の際に炭酸飲料も出しているといいます。先生によると、炭酸飲料はシュワシュワという炭酸の感覚が喉を刺激し、食べ物の飲み込みをスムーズにする効果が期待できるそうです。毎日の大切な食事を楽しく摂るためにも、工夫と対策で誤嚥を防ぎましょう。

(2024年8月11日(日)放送 CBCテレビ『健康カプセル!ゲンキの時間』より)

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