梅雨の3大トラブル「梅雨痛」「梅雨うつ」「梅雨バテ」…専門家に学ぶ!原因と改善法
サマリーSummary
ドクター:愛知医科大学 医学部 疼痛医学講座 医学博士 佐藤純
身近な健康問題とその改善法を、様々なテーマで紹介する番組『健康カプセル!ゲンキの時間』。
メインMCに石丸幹二さん、サブMCは坂下千里子さんです。
ドクターは 愛知医科大学 医学部 疼痛医学講座 医学博士 佐藤純 先生です。
今回のテーマは「〜1年を健康に過ごすカギ!〜梅雨の3大トラブル改善法」
今年も梅雨のシーズンに突入。梅雨の時期には、倦怠感や頭痛、気分の落ち込みなど、身体の不調を感じる人が多くいるそうです。そこで今回は、梅雨の3大トラブル「梅雨痛」「梅雨うつ」「梅雨バテ」の原因と改善法を専門家に教えてもらいました。
梅雨の3大トラブル(1)梅雨痛
梅雨時の天気痛「梅雨痛」には、肩こり・腰痛・頭痛・古傷がうずくなどの症状があるそうです。
<梅雨痛の原因は?>
先生によると、梅雨痛の原因の1つは「気圧の変化」だそうです。気圧とは、ヘクトパスカルで表現される空気の重さが生む圧力の事。高気圧だと晴れ、低気圧だと雨が降る傾向があります。
<気圧の変化と自律神経>
自律神経には、活発な時や緊張している時に働く「交感神経」とリラックスしている時や、寝ている時に働く「副交感神経」があります。身体は、その2つのバランスによって、自分の意思では動かせない心臓や腸など、臓器の動きをコントロールしているそうです。ところが、2つのバランスが大きく崩れると、身体のあちこちに不調が起き痛みを生じさせてしまうのだとか。通常は、気圧が変化しても自律神経にあまり変化はありませんが、影響を受けやすい人は、気圧が下がった時や上がる時に自律神経が乱れ天気痛につながってしまうそうです。
<気圧で自律神経が影響を受けるのはなぜ?>
先生によると、気圧を感じるセンサーは、耳の奥にある内耳にあると考えられるそうです。内耳とは、鼓膜の奥にある三半規管などの事。視界と連動し身体のバランスをとる働きがあり、ここが気圧を感知し脳に伝えています。ところが、気圧の変化は目に見えないため、脳が混乱してしまうケースがあるのだとか。すると、それがストレスとなり、全身に張り巡らされている自律神経に影響。持病や古傷の痛みを発生させる神経も混乱し、
様々な痛みにつながってしまうそうです。
<内耳が敏感なのはどんな人?>
先生によると、両親が敏感だと子供も敏感になる傾向があるそうです。また、子供の頃から片頭痛がある人や乗り物酔いをしやすい人も、内耳が敏感で痛みが出やすい傾向があるのだとか。梅雨痛を予防するには、内耳の血行を良くしてセンサーの過敏さを抑える方法が有効だそうです。
<梅雨痛のオススメ改善法「くるくる耳マッサージ」>
▼耳を軽くつまんで 上下・横に5秒ずつひっぱる
▼耳を外側にひっぱりながら5回ゆっくりと回す
▼上と下から耳をたたむように閉じて5秒キープ
▼手のひらで両耳を覆い後ろに5回まわす
▼朝昼晩、1日3回程度行うと効果的
※強くやりすぎないように行なってください。痛みが強く出る場合はかかりつけ医にご相談ください。
マッサージを行う事で、内耳の血流やリンパの流れを良くする効果が期待できるとの事。さらに、お湯につけたハンドタオルを耳に1分間あてる「耳温活」もオススメだそうです。
梅雨の3大トラブル(2)梅雨うつ
梅雨時になると、気分が乗らない、憂鬱になるといった不調が現れるのが「梅雨うつ」だそうです。
<梅雨うつの原因は?>
梅雨うつの原因の1つは、曇ったり雨が降ったりする事で日照時間が少なくなる事だそうです。光を一定時間浴びると、身体の中で「セロトニン」というホルモンが作られます。セロトニンには、身体を活性化し、記憶力や活動量を上げる働きがあるのだとか。さらに、セロトニンは約14時間で眠気を促す「メラトニン」に変化。セロトニンが作られなければ、眠気を促すメラトニンも作られなくなってしまいます。すると、睡眠不足になってしまい、うつや気分の沈みが増してしまうそうです。
<梅雨うつの改善法(1)午前中に光を浴びる>
曇りや雨の日でも、朝起きたらカーテンを開けて光を浴びる習慣をつけましょう。太陽の光は強いので、雨でもセロトニンを作る事ができるのだとか。朝の支度をしながら15分程度でも良いそうです。
<梅雨うつの改善法(2)食事でセロトニンを増やす>
アミノ酸の一種「トリプトファン」は、セロトニンの材料となるそうです。そのため、朝トリプトファンを摂るのが良いのだとか。それに加えて、トリプトファンからセロトニンを作る時に必要な「ビタミンB6」と「鉄」も一緒に摂ると、セロトニンを増やすのに最適だそうです。
〜トリプトファンたっぷり!かぼちゃとほうれん草とツナの味噌汁〜
≪材料(2杯分)≫
・カボチャ 120g
・ホウレン草 40〜50g
・ツナ缶 1個
・水 300mL
・味噌 大さじ1
≪作り方≫
▼カボチャは8ミリ幅の一口大に切る
▼ホウレン草は茹でておく
▼ツナ缶の油でカボチャを炒める
▼全体に油が回ったら水を加える
▼沸騰してから3分ほどカボチャを煮る
▼茹でたホウレン草とツナを入れる
▼味噌を溶かしたら完成!
トリプトファン(味噌・かぼちゃ・ホウレン草・ツナ)、ビタミンB6(かぼちゃ・ツナ)、鉄(ホウレン草・ツナ)が一度に摂れる朝にぴったりの一品。トリプトファンが豊富な卵や油揚げを加えるアレンジもオススメだそうです。
梅雨の3大トラブルその(3)梅雨バテ
梅雨バテとは、疲れが取れない・倦怠感があるなど、夏バテのような症状だそうです。
<梅雨バテの原因は?>
先生によると、梅雨バテの原因は腸。腸には脳に次ぐ1億以上の神経細胞があり、脳と約2000本の神経線維で連携。第二の脳とも言われています。そして、腸と脳・自律神経は相互作用があり、互いに影響しあっているのだとか。例えば、多くの動物はストレスを感じるとお腹が痛くなり便意を催します。これは、脳が自律神経を介して、腸にストレスの刺激を伝えるから。逆に腸が不調になると、自律神経に不調が起こり、倦怠感が起きるそうです。
<梅雨バテの改善法(1)食事で腸の働きをアップ!>
梅雨バテを改善するには、毎日の食事で腸の働きをアップさせる事が大事だそうです。オススメは、水溶性食物繊維が含まれているめかぶ・とろろ・なめこなど、ねばねば系の食材やキウイフルーツ。水溶性食物繊維は、腸内の善玉菌のエサになり良い状態の便を作って排出してくれるそうです。
<梅雨バテの改善法(2)「腸ひねり体操」>
▼仰向けに寝て両足を揃えてひざを立てる
▼ゆっくり息を吐きながら両ひざをゆっくりと右に倒す
▼ゆっくり息を吸いながらひざを元の位置に戻す
▼反対側も同じように行う
▼起床時・就寝時に1分ほど行う
水溶性食物繊維を摂るのに加えて、腸ひねり体操を行うとより効果的だそうです。
(2023年6月11日(日)放送 CBCテレビ『健康カプセル!ゲンキの時間』より)