災害時に気をつけたい意外な病気&対策法

2021年8月22日(日)放送 【第470回】
災害時に気をつけたい意外な病気&対策法

サマリーSummary

ゲスト:西野未姫
ドクター:東京医科大学病院 救命救急センター長 医学博士 織田順
近年、地震や台風などの自然災害が増加傾向にあります。もしも、大きな災害が起きて電気・水道・ガスなどのライフラインが停止すると日常が奪われ生活が困難に…。さらに、その状態が続くと思わぬ病気につながったり、健康を損なうリスクが高まったりするといいます。そこで今回は、災害時に気をつけたい病気やその対策法を専門家に教えてもらいました。

身近な健康問題とその改善法を、様々なテーマで紹介する番組『健康カプセル!ゲンキの時間』。
メインMCに石丸幹二さん、サブMCは坂下千里子さんです。

今回のテーマは「~肺炎・心筋梗塞・腎不全!?~災害時に気をつけたい意外な病気

近年、地震や台風などの自然災害が増加傾向にあります。もしも、大きな災害が起きて電気・水道・ガスなどのライフラインが停止すると日常が奪われ生活が困難に…。さらに、その状態が続くと思わぬ病気につながったり、健康を損なうリスクが高まったりするといいます。そこで今回は、災害時に気をつけたい病気やその対策法を専門家に教えてもらいました。

災害時に注意すべき健康被害(1)「感染症」

CBCテレビ『健康カプセル!ゲンキの時間』

<災害時に多い感染症「肺炎」>
多くの人が行き来する避難所や物が散乱した自宅などでは、ホコリ・チリ・細菌などが多く舞い上がってしまいます。それが肺に侵入し、肺炎につながる事があるのだとか。そのため、できるだけホコリを吸引しないように、マスクや換気をする事が重要だそうです。

<口内環境の悪化が「肺炎」などの病気につながる恐れも>
水が不足しがちな災害時は、飲む水の量や歯磨きの頻度が少なくなってしまいます。すると、口の中で細菌が増殖。それが誤って肺に侵入する事で、誤嚥性肺炎を引き起こす恐れがあるそうです。また、口内環境の悪化は肺炎だけでなく、歯周病の原因にもなります。そこから糖尿病や骨粗しょう症、動脈硬化などさまざまな悪影響を及ぼすそうです。

~専門家おすすめ対策法!水が限られた状況での「口内ケア」~
口内環境の悪化を防ぐために、ほんの少しの水で歯を磨ける方法をご紹介します。
▼ペットボトルキャップに水を入れ 唇を付けないように口の中に水を垂らす
▼5秒間そのままでいると唾液が出てくる
▼歯磨き粉を使わず軽く濡らした歯ブラシで磨く
▼ペットボトルキャップに水を入れ2回ほど口をゆすぐ
※小さなお子様や高齢の方はキャップを飲み込まないようにご注意ください。

≪ポイント≫
唾液のおかげで口の中が潤い歯を磨きやすい環境になります。また、唾液には殺菌作用があるため、少量の水でも口内を綺麗にする効果が期待できるそうです。他にも、水がない状態で使える「歯磨きシート」もおすすめ。状況に応じて使い分けると良いとの事です。

<「ウイルス性胃腸炎」にも注意>
ノロウイルスは、感染者の便や嘔吐物に含まれています。水道が止まると手洗いが不十分になるため、ノロウイルスなどによる「ウイルス性胃腸炎」に感染しやすくなるのだとか。また、トイレの水が流せない時にトイレに溜まった便から感染する事もあるそうです。

~専門家おすすめ対策法!「災害トイレ」で感染予防~
感染症を防ぐために、自宅の便器を使った「災害トイレ」の作り方をご紹介します。
▼便座を上げ便器にゴミ袋を2枚セットする
▼ペットシーツ(ペット用トイレ)の吸水面が外側になるように折る
▼折ったペットシーツをゴミ袋の中に敷く
▼新聞紙1枚分をちぎり中心を窪ませるようにしてゴミ袋の中に敷いたら完成
▼用を足したら2枚目のゴミ袋を外してしっかり閉める

≪ポイント≫
ゴミ袋の1枚目は止水弁の水が付いてしまうため、2枚目を使用。しっかりゴミ袋を閉じる事で感染症の予防につながります。新聞紙は吸水だけでなく防臭効果も期待できるそうです。さらに、大便の後に新聞を追加すると、中身を見せずに捨てる事ができます。ゴミ袋を閉じた後は、手洗いと手の消毒をしっかり行いましょう。

災害時に注意すべき健康被害(2)「水分不足」

<暑い時期は水分不足による「熱中症」に注意>
ライフラインが止まると、摂取する水分が少なくなる上、エアコンも使えないので熱中症にかかりやすくなってしまうそうです。

~専門家おすすめ対策法!少量の水でできる熱中症予防~
霧吹きを使って細かい水を皮膚に吹きかけると、その水が蒸発する時に体温を下げてくれるため、熱中症予防につながるそうです。汗を分泌する汗腺の働きは、加齢に伴い衰えてしまうため、高齢者の方に特におすすめの方法だそうです。

<循環器系の病気にも要注意>
体内の水分が不足すると、血液の濃度が高まり粘りが出て血栓ができやすくなります。すると、血栓が血管につまりやすくなり心筋梗塞や脳梗塞などにつながる恐れがあるそうです。また、先生曰く災害時に意外と多いのが「腎不全」。腎臓は血液をろ過して老廃物や余分な水分を主に尿として体外に排出してくれる臓器ですが、水分の摂取量が少ないと腎臓の機能が低下する「腎不全」を引き起こす恐れがあるのだとか。急性腎不全は症状が特にないので注意が必要だそうです。

~専門家おすすめ対策法!1人あたり30Lの水を備蓄~
水分不足による健康被害を防ぐためにも大切なのが水の備蓄です。1日に必要な水の量は、1人あたり3L(飲用2L+生活用水1L)。それを家族の人数に応じて10日分備蓄するのがおすすめ。東日本大地震では、震災発生から1週間で水道が復旧したのは約60%。自治体に届く救援物資もそこから再度配分されるため時間がかかります。道路事情が悪いとさらに遅れてしまうため、10日間分の備えがあると安心だそうです。また、まとめて保管すると地震などで扉が開かなくなり取り出さない場合があるので、家の中に分散して備蓄するのがおすすめ。大きさも2L、500mLなど何種類か揃えておくと使いやすいそうです。

災害時に注意すべき健康被害(3)「ストレス」

「身近な人と連絡が取れない」「これからどうなるんだろう」など、災害時はさまざまな非日常がストレスとなります。すると、ストレスが溜まる事で免疫力が低下し、病気のリスクをより高めてしまうそうです。

~専門家おすすめ対策法!モバイルバッテリーでストレス緩和~
コロナ禍では避難所でも人との距離が離れているため、ガス抜きもできず孤立しやすい環境にあります。そこで用意しておきたいのがモバイルバッテリー。バッテリーによってスマホが一時的にでも使えると災害の情報や家族の安否が確認できるため、不安が薄れてストレスの緩和につながるそでうす。

<もしものときのために備えを万全に>
先生によると、他にも用意しておくと良いのがお薬手帳。持病や病気の状態を知る手がかりになるので、災害時の診察に役立つそうです。もしものときのために、備えを万全にしておきましょう。

(2021年8月22日(日)放送 CBCテレビ『健康カプセル!ゲンキの時間』より)

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