名医が答える!健康相談会
サマリーSummary
ゲンキリサーチャー:U字工事
ドクター:はなふさ皮膚科 理事長 医師 花房火月
そこで今回は、さまざまな皮膚トラブルの原因や対策法などを専門医に教えてもらいました。
皮膚のトラブル①「頭皮のかゆみ・フケ」
先生によると、頭皮のかゆみ・フケの原因として一番多いのは「脂漏性皮膚炎」。頭や髪の生え際など皮脂の分泌が多い部位に起こる皮膚炎で、主な症状はかゆみとフケ。ひどい場合は、痛みを伴う事もあるそうです。
<脂漏性皮膚炎の原因は?>
脂漏性皮膚炎の主な原因は、皮膚カビの一種である「マラセチア菌」といわれています。マラセチア菌は、誰の皮膚にもいる常在菌。普段は無害ですが、頭皮の衛生状態が悪く、皮脂の分泌が多くなると、それらをエサにして増殖。排出する物質が皮膚に炎症を起こしてしまうそうです。例えば、お風呂上がりにすぐ髪を乾かさない、濡れた髪を後ろにまとめるなどの行為は、頭部が蒸れてマラセチア菌が増殖しやすくなるので要注意。さらに、梅雨で湿気が多い時期は、菌が増えやすいので普段よりもしっかり対策をする事が大切だそうです。
<ドクターおすすめ!頭皮のスキンケア>
先生のおすすめは、髪を洗う時、皮膚への刺激が少ない38~39℃のぬるま湯で洗う事。さらに、シャンプーを洗い流す時は、少なくとも1分以上時間をかけましょう。すすぎ残しをなくす事で、皮膚へのダメージが抑えられるそうです。
皮膚のトラブル②「手や足にできる蕁麻疹」
日本人の約2割が、生涯に一度は蕁麻疹を経験するといわれています。蕁麻疹の種類は大きく分けて2つあり、そのうちの1つが刺激誘発型。アレルギーや汗、寒さなど、物理的な刺激によって起こる蕁麻疹で、原因がはっきりしているものをいいます。もう1つは、特発性蕁麻疹といって、感染症や疲労、ストレスなどが複雑に絡み合い、原因が特定できない蕁麻疹。蕁麻疹のうち約9割は、特発性蕁麻疹といわれているそうです。
<冷やすのはNG!別の病気が潜んでいるケースも>
先生によると、保冷剤や氷などで患部を冷やすのは、やってはいけない行動との事。血管が収縮するため一時的にかゆみを抑えられますが、冷やすのをやめた途端、反動で血管が拡張し症状が悪化する事があるのだとか。また、疲労やストレスが関係している場合は、それらを見直す事が大切だそうです。さらに、胃炎やウイルス性肝炎、副鼻腔炎、虫歯などが蕁麻疹の発症に関係しているケースもあるといます。理由もなく、頻繁に蕁麻疹が出ている方は、これらの病気が潜んでいる可能性も考えられるそうです。
皮膚のトラブル③「日光を浴びると腕にできる湿疹」
日光を浴びる事によってできる湿疹は「多形日光疹」と呼ばれています。多形日光疹は、紫外線が当たった箇所に免疫反応が起き、数十分~数日後にできる湿疹。腕や首筋にできやすくて、痛がゆくて赤い粟粒のような形が特徴です。誰でも発症する可能性があり、日本人の約1割が生涯に一度は経験すると考えられているそうです。
<多形日光疹の対策法>
先生によると、多形日光疹の症状が現れやすいのは5月~6月の急に薄着になる季節。そのときにしっかり日焼け止めを塗って紫外線対策をすると、湿疹ができにくくなるといわれているそうです。日焼け止めを塗る量の目安は、1か所につき500円玉一枚分の面積。顔・首・腕など、それぞれに同じ量を塗って、紫外線を防ぎましょう。
皮膚のトラブル④「水虫」
水虫は、カビの一種である「白癬菌(はくせんきん)」が原因といわれています。症状が良くなったと思っても白癬菌が足に残っている事があるので、自己判断で薬を止めると再発する事があるそうです。
<高温多湿な場所に要注意!>
白癬菌は、カビの一種なので高温多湿な場所を好むそうです。特に夏場は、白癬菌が増えやすい環境なので要注意。例えば、水分を多く含んでいるバスマットは、白癬菌が増えやすい場所の1つ。また、雨の日に履くレインブーツや長靴なども、蒸れやすく白癬菌の温床になりやすいので注意が必要だそうです。
皮膚のトラブル⑤「背中のニキビ」
先生によると、顔にできるニキビと背中にできるニキビは、原因が異なる事が多いのだとか。
顔にできるニキビは、アクネ菌が主な原因。背中にできるニキビは、マラセチア菌が主な原因になっている事が多いそうです(※他の菌によりニキビができる場合もあります)。背中のニキビは、正式にはマラセチア毛包炎と呼ばれていて、背中やお尻・首・デコルテの辺りに良く出るといわれています。
<マラセチア毛包炎の対処法>
マラセチア菌はカビの一種なので、汗をかいたらすぐに着替える、布団のシーツをこまめに交換するなど、高温多湿な環境を避けるようにするのが有効だそうです。
皮膚のトラブル⑥「口周りにできるヘルペス」
ヘルペスとは、ヘルペスウイルスが感染する事で皮膚の一部に小さな水泡ができる病気の事をいいます。なかでも、感染者数が非常に多いのが唇や口の周りにできる「単純ヘルペスウイルス1型」。また、ヘルペスウイルスの保有率は、年齢が上がるにつれて高くなるそうです。
<再発を繰り返すヘルペスの恐怖>
ヘルペスウイルスは、1回かかると身体から完全になくなる事がなく、神経節という神経の根元に潜伏するといいます。普段は、免疫細胞に監視されているためおとなしくしていますが、体調不良などで免疫力が低下するとウイルスが増殖し、水ぶくれが再発してしまうそうです。また、紫外線にも要注意。免疫細胞の司令塔といわれるランゲルハンス細胞は、皮膚の表面に存在します。しかし、強い紫外線を浴びると機能が低下するため、ヘルペスが再発しやすくなってしまうそうです。
<繰り返すヘルペスが認知症につながる恐れも>
先生によると、ヘルペスができる時、ヘルペスウイルスが神経を介して脳へ侵入する事があるのだとか。それにより、徐々に脳炎を起こし、認知症につながる恐れがあるそうです。事実、アルツハイマー型認知症患者の脳を調べたところ、ヘルペスウイルスが多く検出されたという研究データもあるのだとか。これを防ぐためにも、普段から睡眠・入浴などで免疫力を高める生活を送り、病院で抗ウイルス薬を処方してもらうなどして、再発を抑える事が大切だそうです。