山梨県に学ぶ!健康長寿の秘訣
サマリーSummary
ゲンキリサーチャー:コカドケンタロウ(ロッチ)
ドクター:山梨大学大学院 総合研究部医学域 社会医学講座 医学博士 山縣然太朗
山梨の健康長寿の秘訣①「高齢者の就業率が高い」
高齢者の就業率が高い山梨県は、1人当たりの医療費が他県に比べ低い傾向にある事がわかっています。先生の研究によると、特に農業に携わっている方は健康寿命が長いそうです。
<就業の健康長寿ポイント①身体を動かす>
健康長寿ポイントは、活発に動く事で運動量が増えて足腰が鍛えられる事。例えば農業に携わっている方は、収穫で1日中歩きまわる事などが良い運動になり、健康寿命を長くしていると考えられるそうです。
~家庭でできる!健康寿命を延ばす方法「スクワット」~
先生おすすめの方法は、スクワットで太腿の筋肉を鍛える事。ひざがつま先より前に出ないようにゆっくり行うのがポイントです。膝が悪い方は、椅子に座ったままでもOK。座った状態で片足ずつゆっくり前に伸ばす事で太ももの筋肉が鍛えられるそうです。転倒に注意し、体調に合わせて無理のない範囲で行ってください。
<就業の健康長寿ポイント②手先を動かす>
手先を使うと脳の血流が良くなるため、認知症の予防になるとともに健康長寿につながるそうです。
~家庭でできる!健康寿命を延ばす方法「輪ゴム手指体操」~
先生がおすすめするのは、輪ゴムを使った手指体操。輪ゴムを指にひっかけ、指の動きだけで親指から順に小指へと移動させます。小指まで行ったら同じく親指まで戻していってください。脳の血流がアップし、認知症予防につながるそうです。
山梨の健康長寿の秘訣②「山梨独自の食生活」
山梨名物の「ほうとう」は、地元でとれるかぼちゃに里芋、にんじんなどの豊富な野菜類に豚肉やきのこ類、モチモチ食感の平打ち麺を味噌で煮込んだ山梨のソウルフード。山梨県の高齢者でほうとうをよく食べる人は、あまり食べない人に比べて1年後も健康に活動できる確率が約2.5倍高いというデータがあるそうです。また、山梨県は、海なし県にもかかわらず、マグロの購入量が全国上位。足のはやい魚などに比べて比較的日持ちするマグロを食べる文化が根付いており、これも健康長寿につながると考えられるそうです。
<食生活の健康長寿ポイント①色鮮やかな野菜>
ほうとうに入っているかぼちゃやにんじんなどの色鮮やかな野菜には、抗酸化力のあるポリフェノールが豊富に含まれています。先生によると、ポリフェノールは、老化や動脈硬化を予防し、健康寿命を延ばす効果が期待できるとの事です。
<食生活の健康長寿ポイント②マグロ>
先生曰く、マグロに含まれるオメガ3脂肪酸の中のEPAには心臓病の死亡率を下げるという科学的な報告があるとの事。さらに、同じくオメガ3脂肪酸の1つDHAは、脳の神経伝達をスムーズにし認知症の予防にもつながるそうです。
山梨の健康長寿の秘訣③「山梨独特の文化」
先生によると、山梨独自の文化「無尽」も健康長寿につながるといいます。無尽とは、元々仲間内で定期的にお金を集め、冠婚葬祭など大きなお金を使う人を助けるために行っていたもの。今では、月に1回程度みんなでお金を出し合って開催する食事会へと変化したそうです。健康長寿につながる理由は、人に会ってさまざまな話をしたり、無尽を楽しみにしたりする事。実際、無尽を楽しみにしている人は、そうでない人に比べ約4.3倍健康を維持できる事がわかっているのだとか。こうした社会・地域における人々の結びつきや信頼関係を表す概念を「ソーシャル・キャピタル」といい、健康寿命に大きく関わるとして注目されているそうです。
<無尽の健康長寿ポイント①健康情報の交換>
健康の話が出た時にさまざまな情報が入ってきたり、誰かが病気になって困った時にみんなで助け合ったりする事などが、健康長寿につながるそうです。
<無尽の健康長寿ポイント②健康の変化に気づく>
月に1回程度会う事によって、お互いの変化がよく分かるので健康長寿につながるそうです。現在は新型コロナウイルスの影響で集まる事が難しいので、少人数やオンラインで開催している方も。先生曰く、大切なのはコミュニケーションを続けて良い人間関係を築いていく事だそうです。